佐久間裕美子さんの新刊『Weの市民革命』から私たちが学べること
NY在住の文筆家、佐久間裕美子さん。佐久間さんによる本誌連載「Warrior Goddess── 女性表現者たちの闘い」では、環境から政治、差別などあらゆる問題と勇敢に闘う世界各国の女性たちを毎号一人づつ取材し続けている。
これまで、香港の民主活動家、アグネス・チョウさんらが登場。発売中の1・2月合併号では日本でも注目されているファッションブランド「コリーナ・ストラーダ(Collina Strada)」デザイナー、ヒラリー・テイモア(Hillary Taymor)が真のサステナブルについて語っている。佐久間さんならではの視点で斬り込まれたインタビューは、毎号問題提起とともに私たちに気づきと勇気を与えてくれる。
佐久間さんは『ピンヒールははかない』(幻冬舎)、『真面目にマリファナの話をしよう』(文藝春秋)など書籍も刊行されていて、2014年発売後ロングセラーとなっている『ヒップな生活革命』(朝日出版社)に続くかたちで、新刊『Weの市民革命』(朝日出版社)を先日リリース。
『Weの市民革命』で書かれているのは、トランプ時代、コロナ禍、ブラック・ライブズ・マター、大統領選のもとでの市民のストーリーだ。
佐久間さんを執筆に動かしたのは、ネイティブ・アメリカン取材で出会ったホピ族の女性の「ふだん使っているモノがどうやって作られているか、ほとんどの人は考えたりしないでしょう?」という言葉だったそう。そこから「消費はアクティビズムになった」「インディペンデントは生き残れるのか」「コロナが前進させた社会のシフト」「自分ごとのサステナビリティ」の4章にわたり、ニュースでは伝わってこないアメリカ、丁寧な取材で聞こえる当事者たちの声をかたちにした。
20年以上NYに住み、物事や人と対峙してきた佐久間さんにしか書けない内容だ。いま起こっているのは「We」のムーブメントだと語る。若い世代を中心に、個人の自由より世界全体の人権を重んじ、真の社会的平等を追求する、「Me」ではなく「We」の時代が到来し、新たな価値を築きつつあるという。
この本が見せてくれたアメリカの“いま”は、私たちが地球に住むひとりのステイクホルダーとして、何をどう選択するのかの重要性、自分の中に小さな革命を起こすことが未来につながることを教えてくれる。