「Dries Van Noten」の世界が映画になった | Numero TOKYO
Fashion / Editor's Post

「Dries Van Noten」の世界が映画になった

ベルギー、アントワープを代表するファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries van Noten)のクリエイションのインスピレーションを探るドキュメンタリー映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』が2018年1月13日より公開される。

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「ドリス ヴァン ノッテン」と言えば、昨年2017年3月に発表したコレクションで、メンズ、ウィメンズ通算100回目のショーという記念すべき時を迎えた。そして、秋には、その100回分の貴重なショーの裏側や未公開写真を納めた豪華アートブックもリリースした。100回というと、メンズ、ウィメンズ各年2回、ショーを25年間も継続して行ったということだ。

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2013年春夏ウィメンズ・コレクション

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2014-15年秋冬ウィメンズ・コレクション

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2018年春夏ウィメンズ・コレクション
過去100回のショーの様子は「ドリス ヴァン ノッテン」のホームページでチェック!
URL/www.driesvannoten.be/

ひとつの節目を迎え、今度はドキュメンタリー映画が公開される。映画の中では、そこに至るまでの、紆余曲折も語られている。ファッション業界ではブランド買収の波が打ち寄せて来たりする中で、彼も常に順風満帆というわけではなかったようだが、自分たちのスタンスを変えることはなかったという。自己資金で活動し、広告も一切しない、という独自の方法論を貫き、ここまでやってきた。そんなドリス・ヴァン・ノッテンの服作りとその姿勢を垣間見ることのできる内容だ。

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ドリス自身はデザイン画を描かず、生地作りからスタートする。織物メーカーから届く膨大な量の生地サンプルをチェック選定、「ドリス ヴァン ノッテン」の服に欠かせないスパンコールやビーズの細かい刺繍を生み出すインドの自社刺繍工場の職人たち、150点以上もの仮縫いサンプルから実際にショーで発表される50~60点のルックに絞り込んでいく様子、自社スタジオで撮影しながらスタイリングを組んでいく様子。

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28年連れそう公私共にパートナーである、パトリックと暮らす邸宅と、広大に庭、そこに溢れる植物、花々に自家菜園での日々の庭仕事の様子にも密着している。常にファッションと共に身を置きながら、程よい距離感を保ち、黙々と作業する彼の達観した日常やプライベートまで見事に捉えている。

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「自宅や旅先でもやることリストと時間割を作ってのんびりすることができない性分」とドリスのことを語るパトリックの言葉が印象的だった。自称「病的な完璧主義者」とだけあって、ドリス・ヴァン・ノッテンというデザイナーは、自由奔放なアーティストというよりは、几帳面な職人気質なのかもしれない。


Instagram/@driesvannoten

話は変わって、以前、2017年春夏コレクションのショー会場は、小誌連載でもお馴染みのフラワーアーティスト東信さんとのコラボレーショーンによって制作された「Iced Flowers」で演出されていた。それ以前の2014年に、パリの装飾美術館で開催されていた「ドリス ヴァン ノッテン」の回顧展の際にも、彼のガーデンをテーマにした展示会場は、壁から床まで空間全体を埋め尽くしたフラワーアートの壁紙も東さんの作品だったのを覚えています。

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当時は、なぜ植物?と思っていたが、もちろん彼のコレクションには、フラワーモチーフが多用され、フラワープリントがないのは数えるほどのシーズンしかないぐらいだったけど、この映画を見て、何よりも、彼の生活には植物が欠かせないものであり、広大な庭と植物を黙々と手入れするガーデナーのような姿を目にしたら、思わず納得でした。彼もある意味、植物を扱うアーティストの一人なのかもしれないと。植物を扱うファッションデザイナーなのだと。

ベテラン、大御所と呼ばれる今なお、インディペンデントなスタンスを守り続けている、彼のクリエイションの姿勢にじーんときてしまいました。そんな映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』は、1月13日(土)から!ぜひ彼のコレクションの背景にある物語に触れてみて。

『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』
出演/ドリス・ヴァン・ノッテン、アイリス・アプフェル、スージー・メンケス他
監督/ライナー・ホルツェマー
音楽/コリン・グリーンウッド(レディオヘッド)
URL/dries-movie.com/
2018年1月13日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

Profile

佐々木真純Masumi Sasaki フィーチャー・ディレクター/ウェブ・コンテンツディレクター。大学在学中から編集プロダクションにて雑誌などに携わる。『流行通信』編集部に在籍した後、創刊メンバーとして『Numero TOKYO』に参加。ファッション、アート、音楽、映画、サブカルなど幅広いコンテンツを手がける何でも屋。操上和美が撮影する「男の利き手」や「東信のフラワーアート」の担当編集。ここ数年の趣味は山登りで、得意芸の“カラオケ”は編集部名物。自宅エクササイズ器具に目がない(なんならコレクター)。

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