「新・女子力」って何ですか?
差別発言を繰り返すドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任以来、世界中で女性が声を上げ始めています。すべてのジェンダーが平等に生きられる社会に。そして今、日本で生きる私たちが知っておくべきフェミニズムについて、まずは知ることから始めてみませんか?
セレブたちもこぞってスローガンTシャツを愛用。写真はキアラ・フェラーニ
「Dior」が謳い上げた、
女性へのメッセージ
マリア・グラツィア・キウリのディオール就任初コレクションでもあった2017年春夏のショー。そこで話題になった一枚のTシャツに刻まれた言葉「WE SHOULD ALL BE FEMINISTS」。ナイジェリアのフェミニスト作家チママンダ・ンゴズィ・アディーチェによるエッセーのタイトルをマニフェストとして掲げたマリア・グラツィア。戦後の重たい雰囲気の中、贅沢なファブリック使いと女性らしい美しいシルエットの“ニュールック”で、再び装うことの楽しさで女性たちを精神的にも解放したムッシュ ディオール。その継承者であることを高らかに謳い上げた一枚だ。
『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ/著 ¥1,200(河出書房新社) ビヨンセが歌詞に取り入れ、スウェーデン政府が16際以下に配布したなど、強い影響を世界に及ぼしている
「Prada」の時代を超えた
すべての女性への賛歌
会場には女性のプライベートなベッドサイドを再現。壁には女性をモチーフにした数々のポスター。内省的な空間で始まった2017年秋冬のショー。ベイカーボーイの帽子、手編みのニット、長いマフラー、フェザーのトリミング、ビジュー刺繍、ペーパーバックのイラストの表紙で有名なロバート・マクギニスが描くピンナップガールプリント。ボーイッシュだったり、フェミニンであったり、娼婦風だったり。ここはまさにフェリーニの映画のタイトルと同じ「City of Woman(女の都)」。フェミニストを気取らず、強く生きる女性賛歌に満ちたコレクションだった。
「Missoni」ランウェイに再現した
ウィメンズ・マーチ
ショー会場のシートには「ミッソーニ(Missoni)」ニットの“Pussy Hat”が配られた。このハットは世界中で3月に行われたウィメンズ・マーチパレードに参加した女性がかぶっていた猫耳のニット帽。ショーのラストではクリエイティブ・ディレクターのアンジェラ・ミッソーニがファミリーと共に登場しメッセージを読み上げた。「不確定な時代に、私たちを強く安全に、人権を尊重する強いつながりがあります。私たちのファッションコミュニティが強く結ばれ、恐れを知らないことを世界に示しましょう!」。アンチフェミニズムが広がる世界へ向けた宣言となった。
Direction & Text:Sayumi Gunji (P.1,2)
Text: Miho Matsuda(P.3)
Edit:Etsuko Soeda