東京の個性派フラワー&プランツショップ案内 | Numero TOKYO
Culture / Lifestyle

東京の個性派フラワー&プランツショップ案内

目利きの視点で植物をセレクトするお店が増えている。クリエイターとコラボレーションしたり、衣服や食事が出てきたり、オリジナルの器を作っていたり…。個性ゆたかな価値観に出合える、おすすめの東京のフラワー&プランツショップ。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2016年12月号掲載

季節の花束(¥5,000) edenworks bedroom アーティストやクリエイターが参加するギャラリーみたいな花屋 フラワークリエイターの篠崎恵美さんによる週末限定の花屋「edenworks bedroom(エデンワークス ベッドルーム)」は、朝目覚めて夜には眠り、自由自在に夢を見ることができる寝室のように開かれた場所。ギャラリーとも思える白い空間にはガラスケースに入った真っ白なベッドが置かれ、その上に花たちが飾られる。 ベッドの上に並べられた色鮮やかな花々。 花を手にしたときに感じる初期衝動のままに彼女が組み合わせていくアレンジメントは「世界まるごと」がコンセプト。「日本、南国、熱帯ヨーロッパなどでで生まれた普通に咲いていたら出合わない植物の組み合わせ(p.194の花束)は、ルールにとらわれず束ねました。お花に正解、不正解はないですから」


石井啓一とコラボした一点物の一輪挿し花器(¥8,000〜)

陶芸家の石井啓一などさまざまなアーティストと花にまつわるオリジナルプロダクトをコラボレートしたり、ポップアップストアも定期的に開催。店頭に立つメンバーも花屋のプロではないけれど生粋の花好きの面々。だからこそ、常に固定概念のない新しさを見つけることができる。


ロスとなってしまう花は独自の手法でドライフラワーに変換。パック詰め(S ¥4,000、M ¥5,000)された姿もキュート。

edenworks bedroom
エデンワークス ベッドルーム
住所/東京都渋谷区元代々木町8-8 motoyoyogi leaf 3F
営業日時/土・日のみ13:00~20:00
定休日/不定休
URL/edenworks.jp/


アレンジメント(¥5,000)を、花器にも使えるデザインという目線でセレクトし、パリから不定期に仕入れているアンティークの食器(¥8,000)に活けて。絵画で見た色彩を再現。

DILIGENCE PARLOUR
パジャマと一緒に花が並ぶ、日常に寄り添うフラワーショップ

2016年3月に表参道ヒルズにオープンした「DILIGENCE PARLOUR(ディリジェンスパーラー)」。フラワーアーティストの越智康貴さんが手がけるのは、花と日常生活をつなげる花屋。ここでは花だけでなく、日本人デザイナーによるMAdéshabillé(エムエーデザビエ)のパジャマや花器にもなる食器、花のあるシチュエーションのヒントを見つけることができる。


MAdéshabilléのパジャマ(¥23,500~)は引き出しに。実店舗での取扱いは現在こちらのみ。

「物を提案するのが主流の世の中で、花とパジャマがあったら、それだけで一つのシチュエーションが成立する。お客さまそれぞれに対してお花だけではなく、花のある日常のシーンを提案していきたい」と越智さん。彼は、1種類だけで作る花束や、絵画や古い洋雑誌で見た花を現代のアレンジメントで再現する手法など、遊び心のあるアプローチで花を楽しむことを体現している。


一輪でも愛らしいクリアパックのラッピング。


バスケットアレンジメント仕立てのプードル(¥2,800)

「花って必ず枯れるものだから、気軽に思ってもらっていいんです。でも、見ると何かわからない胸のときめきがある。コーヒーを買うような気分で来てもらいたいですね」。


ハッとするように美しい色の花が並ぶ店頭。

DILIGENCE PARLOUR
ディリジェンスパーラー
TEL/03-6434-7826
営業時間/11:00〜21:00(日 〜20:00)
定休日/無休
URL/diligenceparlour.jp


野性味溢れるアレンジメント(¥5,000)は、19世紀ロシアのミルク壺・ゴルショーク(¥9,500)にジャストフィット。

はいいろオオカミ + 花屋 西別府商店
山の恵みで作るブーケとロシアの古道具が融合する秘密の場所

南青山の住宅街の一角に、異世界に迷い込んだような空間がある。もともと佐藤克耶さんがロシアを中心に集めた古道具を扱う「はいいろオオカミ」に、西別府久幸さんが手がける花屋「西別府商店」が加わり、共存した一つのお店になったのだという。

店内には、他の生花店では巡り合えなさそうな約100年ものの古道具と、不思議とそれらと同じ雰囲気を醸し出している野性味のある植物が寄り添う。山火事を利用して種を増やすバンクシアや、食虫植物のウツボカズラやサラセニア、アーティチョークまで。「山で自由に育っている、真っすぐではなかったり、きれいすぎないものが好きで、アンティークに合う絵画のような世界をイメージして活けています」と西別府さん。

オリジナルのガラス花器はもちろん、オイルランプやミルク壺に花を活けてもすごくしっくり。佐藤さんは「古いものだけで常に店内を新鮮に見せるのは難しいけれど、生花が入ることで店に季節感が生まれました」と話す。

はいいろオオカミ + 花屋 西別府商店
住所/東京都南青山3-15-2 マンション南青山102
TEL/03-3478-5073
営業時間/11:00〜20:00(日 〜19:00)
定休日/無休
URL/haiiro-ookami.com


ユーフォルビアやサンスベリアなどの多肉植物とオリジナル鉢のセット(¥6,000~)。ぬいぐるみ(¥8,900)も潜んでいたり…。

TOKY
グラフィックデザイナーが生みだす植物と器のいい関係

月に二度しかオープンせず、オンラインショップでの販売が基本。実際に商品を手に取ってみたいという声が後を絶たず、営業日には人が列をなすという多肉植物と鉢の店「TOKY(トーキー)」。店舗に足を踏み入れると、多肉植物それぞれの個性に合わせて日本各地の陶芸家とコラボレートし制作したオリジナルの鉢や、セレクトされた輸入鉢がズラリ。

お店を運営する藤原連太郎さんと神谷真由美さんは、企業サイトやスマートフォンアプリの制作、ディレクションなどを行ってきたデザイナーでもある。植物とは縁遠かった二人が園芸店で見た多肉植物に一目惚れし、「デザイナーだからこそ、植物と器のバランスを汲み取った仕立てができるのでは」と園芸の世界に没頭。南アフリカ、マダガスカル、メキシコ、ブラジルなどの多肉植物を中心に健康状態を徹底的に管理して、厳選した器とのセットで販売している。

「きっちりといいものを提供したい」という真摯な姿勢に多肉植物のお悩み相談室化しているとの噂も!

TOKY
トーキー
住所/東京都中央区東日本橋3-3-17 RE-KNOW東日本橋5C
TEL/03-3527-2767
営業時間/12:00〜19:00
定休日/不定期開店、毎月頭にWEBカレンダーにて営業日公開
URL/toky.jp/shop


季節のブーケ(¥5,000)

Forager
出張花屋として長年活躍するフローリストによるお店

「PADDLERS COFFEE」や「NODE UEHARA」「LIFE son」などカフェで度々見かける出張花屋「Forager(フォレジャー)」。オーガニックなグロッサリーストア「FOOD & COMPANY」の野菜バイヤーとしての経験も持つ、フローリストのChi-ko(チーコ)さんが提案するのは、フローラルじゃない花屋。

シンプルでワイルド、でもなんだかかわいらしいのが彼女らしいラインナップ。森でキノコやハーブなどといった植物や食物を採ることを指す「Forage」に由来する店名のとおり、ここでは普段は主役にならない森から摘んできたような枝や実物などの脇役がメインを張っているという。

縁でつながった作家・和田麻美子やflaska glassの花器も、脇役たちの魅力をさらに引き立てる。「育った環境は植物に影響する。部屋に花を持っていくことで、その土地の光や風を呼び起こしてくれることもあるんです。花を見てパッと華やいだり、ほっとしたりする瞬間を生みだしていけたら」。

現在は下北沢の小屋をお休み中。幡ヶ谷の店舗にてオーダー可能。

Forager
フォレジャー
住所/東京都渋谷区西原2-26-5 101
TEL/080-3425-9184
営業時間/11:00〜18:00
定休日/月
URL/forager-tokyo.tumblr.com


突然変異を起こして葉緑素を失った個体を接ぎ木した白檀(¥10,000)。コンクリートの無機質な器との相性も抜群。

叢 – Qusamura
“いい顔してる植物”が、ROOTS to BRANCHESに集結

サボテンや多肉を中心に独自の視点で植物を扱い、空間デザインも手掛ける植物屋「叢 – Qusamura(くさむら)」を営む小田康平さん。彼が見つけてきた植物に東京でも出合うことができるのが、中目黒の衣食住にまつわるセレクトショップ「ROOTS to BRANCHES(ルーツトゥブランチズ)」だ。

花屋を営む家で生まれ、海外を暮らすように旅する経験を経て独立。「世界的なアートコレクターのお客様が、自らの刺で傷ついた植物を見て『闘う植物は美しい』と言ったことに衝撃を受け、植物の見方が変わりました。整った美しさではなく重ねた年月や物語を重視するようになったんです」。

“いい顔してる植物”を求める買い付けは、全国の農家から海外までと幅広い。陶芸家や現代美術家など異分野のアーティストとのコラボレーションも意欲的に行っている。一見、叢=(くさむら/草の群がり)にしか思えない場所にこそ、「なんだこれは!」という個性的な美しさを持った植物は見つけられるもの。ここにも、そんな嬉しい発見が潜んでいる。

ROOTS to BRANCHES
ルーツトゥブランチズ
住所/東京都目黒区青葉台1-16-7 朝日橋ビル2F
TEL/03-5728-5690
営業時間/12:00〜20:00
定休日/無休
URL/roots-to-branches.jp


「ROKU BEAUTY & YOUTH」の入り口すぐ、ドライフラワーのカーテンが迎えてくれる店舗。ドライフラワーの花束は¥750から販売。

THE LITTLE SHOP OF FLOWERS / CAT STREET
アパレルショップの中に誕生した服好きのための新提案

キャットストリートの「ROKU BEAUTY & YOUTH」の路面店内に併設されている、フローリストの壱岐ゆかりさんが手がける「The Little Shop of Flowers / Cat Street(リトル・キャットストリート)」。「Eatrip」と併設した原宿のアトリエは日常使いの生花を中心に販売していたが、街中に誕生した新ショップではドライフラワーと生花のどちらも取り扱う。

お花ビギナーや男性へのギフトにもうれしいのが、ドライフラワーのブーケ。「記憶に残る生花も素敵だけれど、その記憶を物としても残せるドライフラワーの魅力もある。ドライ中心のお花屋さんをどれだけ素敵にできるかを考えたのが、このショップです」と壱岐さん。

アパレルショップに併設するという特性柄、事前予約をしておけば閉店後にピックアップも可能。いつでも開いていて、いつでも来られる花屋という形態もうれしい。仕事帰りにふらっと立ち寄りたい。

THE LITTLE SHOP OF FLOWERS / CAT STREET
リトル・キャットストリート
住所/東京都渋谷区神宮前5-17-9 1F
TEL/03-6427-6003
営業時間/11:00〜19:00
定休日/木(定休日でも事前オーダーのみ引き取り可能)
URL/www.thelittleshopofflowers.jp


3号鉢の植物(各¥3,900)に、 5号鉢の植物(各¥6,900)。鉢は単品での購入も可。3号(5柄 各¥2,000)、5号(3柄 各¥3,800)。

花園樹斎
日本の伝統的な園芸をアレンジ中川政七商店による植物ブランド

「花園樹斎(かえんじゅさい)」は、2016年1月にスタートしたプラントハンター西畠清順さんが目利きとなる植物と創業300年の老舗「中川政七商店」がプロデュースする工芸が出合い、日本の園芸文化の楽しさを再構築するブランドだ。

長崎県の波佐見焼のオリジナルの鉢に入った、日本の四季を感じる植物が毎月登場する。「花園樹斎」とはもともと江戸時代にはじまった園芸ブームの仕掛け人であり、植木商を指した言葉。この言葉を体現する西畠さんが選んだ植物を自宅に持って帰ってすぐ飾れる気軽さがブランドの魅力。

「人がみんなそれぞれ違うように、植物にも種類や育つ環境によってさまざまな個性が生まれてきます。日々の生活の中で少しずつ、その個性を知り、仲良くなってみてください」。そう西畠さんが話すように、植物は仲良くなるきっかけにちょうどいいサイズ感。3号、5号の二種類の鉢から選ぶことができる。植物に合わせて気に入った絵柄のものを選んでみては?

中川政七商店 表参道店
TEL/03-3409-2260
営業時間/11:00〜19:00
定休日/無休
URL/kaenjusai.jp/

Photos:Go Tanabe Text:Tomoko Ogawa Edit:Yukiko Shinmura

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