出雲大社へのお詣り支度に。朝日と夕日に恵まれた「界 出雲」 | Numero TOKYO
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出雲大社へのお詣り支度に。朝日と夕日に恵まれた「界 出雲」

島根に2022年11月に生まれた2つの界。前回はリニューアルを経た「界 玉造」をご紹介し、今回は新規にお目見えした「界 出雲」を。縁結びの神様、出雲大社に近いこちら、温泉で身を清めてからお参りすれば、恋愛成就の確率もアップするかも!?

出雲大社へ詣でる前の、禊の場に

「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、星野リゾートが運営する、日本初の温泉旅館ブランド「界」。全国に22軒を数え、それぞれの“ご当地”にまつわる客室や体験、食などの魅力を、界ならではのスタイルで伝えています。


その楽しさを一度知れば、きっとハマってしまうはず。おまけに施設ごとにカラーリングが異なるふろしきや「お湯印帳」などのアイテムも、コレクター魂をくすぐってきます。リピーター増殖中なのも、納得です。


そんな界、島根県には2つあり、今回ご紹介するのは「界 出雲」。2022年11月に日御碕(ひのみさき)にオープンしたこちら、コンセプトは「灯台と水平線を望むお詣り支度の宿」。


出雲神話において日本の夜を司る日御碕に位置し、徒歩約5分のところに日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)、車で約20分には出雲大社があります。まさに出雲神話の舞台。しかも温泉の泉質は塩分濃度が高い“塩化物強塩泉”。これを“清めの塩”に見立てて“禊(みそぎ)の湯”として温泉に浸かり、身も心もまっさらに神社に詣でることができる、というわけです。

出雲松島を眺めながら、お湯にぷかり

大浴場があるのは岬の突端。出雲松島と呼ばれる風光明媚な眺めが、インフィニティエッジの水面の先に広がります。お湯が熱めの露天風呂は、潮風を受けながら心地よい湯浴みが楽しめます。また、浅く寝転がったまま入れる “寝湯”も目を、閉じれば波音に包まれ、とっておきのリラックス。海のそばでの温泉はタラソセラピー効果も期待できそうです。そして周囲に民家が少ないため、光害を受けることなく見上げれば満天の星空が広がります。

内風呂は源泉かけ流しのぬる湯と、あつ湯。湯船のへりにアゴを乗せていたら、ふわ~っとカラダが浮いてきます。さすが塩分濃度が高いお湯です。保温効果が高いので一度入ればポカポカがキープされます。


湯上がり処では出雲麦茶と出雲生姜ドリンク、そして3種類のミルクアイスバーが用意されています。たっぷり汗をかいた後のひと息、カラダも心もほぐれます。

ちなみに、湯上がり処のある眺めのいいスペースにはご当地の石州瓦のベンチ、そして大浴場の暖簾には地元の長田染工場による筒描藍染(つつがきあいぞめ)が採用されています。ご当地の伝統工芸が目を楽しませてくれます。

温泉に入る前にはぜひ、“温泉いろは”に参加を。温泉の歴史や泉質、ストレッチと呼吸法といった効果的な入浴法などを、芝居仕立てで教えてくれます。温泉効果も、リラックス度もグッとアップするはずです。

夕日と真っ白な灯台、朝日と出雲松島、どちらにしよう? ご当地部屋

「界 出雲」は39の客室すべてがご当地部屋「彩海の間」。通路をはさんで西側と東側に客室が分かれ、いずれも趣の異なる海の風景が広がります。

西側は、青空にすっくとそびえる真っ白な日御碕灯台が印象的。この灯台、実は灯塔の高さが日本一を誇ります。あたり一面がオレンジ色に染まるサンセット時をより鮮やかに感じられるよう、窓際のリビングルームは補色効果のある藍色で統一。ドラマティックに一日を終えられそう。

一方の東側は“かわたれ時”(“黄昏時”に対比した夜明けの時間帯)の朝焼けをイメージ。ピンク、オレンジと刻々と海の色が変わっていく情景を、壁紙の淡いべんがら染めの石州和紙で表現。窓からは出雲松島の眺望が広がります。

どちらのタイプも、ベッドボードの高さが窓の先の水平線とつながるようなデザイン。ご当地の職人による、藍染や草木染のクッションなどがアクセントになっています。


お詣り気分を盛り上げる、見た目も美味なお食事

界の大きな楽しみのひとつが、食事。ここ「界 出雲」では出雲大社にまつられている大国様にちなみ、縁起のいい器に盛りつけた会席料理が供されます。

ある日の夕食は、出雲そばの先付から始まり、続くはカラスミが乗った烏賊真砂焼など色とりどりの八寸を盛り合わせた“宝楽盛り”。お料理の賑やかさに楽しくなってきます。

メインの焼き物は、和牛と島根県名産の十六島海苔(うっぷるいのり)の小鍋。八方だしと手摘みの岩ノリの香り、そして牛肉のうまみがあいまって至福の一皿です。

朝食には神様と同じ朝食をいただくことでご縁を結ぶ「神饌(しんせん)朝食」も用意。出雲國風土記を参考に、米・塩・水に加え、煮穴子やサザエ、豚ロースなど海の幸、山の幸からなる料理が並びます。

料理を乗せた“三方”という木の台も、継ぎ目を自分に向けて、神様に捧げるように置かれます。お膳も日本海の青、夕日の朱色と、日御碕の風景を思わせます。この神饌朝食は出雲大社のガイド付きプランにつく朝食となります。

また、蟹漁が解禁される11~3月にかけては、山陰のごちそう“松葉蟹”をあますことなく堪能できる蟹会席でおもてなし。メインの蒸し蟹は、大黒様が抱える俵をイメージし、蟹を稲わらで包み、俵型の器で提供されます。秋のお楽しみです。

出雲のご当地楽は、大迫力の石見神楽

界の人気のおもてなしに、“ご当地楽”があります。これは各施設でその地域に伝わる伝統芸能や工芸の魅力を知る体験プログラムです。

界 出雲では「石見神楽(いしみかぐら)」をスタッフが披露します。演目は出雲大社の起源を描いた神話「国譲り」。天上から下りてきた遣いと、大国主命(おおくにぬしのみこと)の息子が、国をかけて戦います。

かがり火が灯る舞台を縦横無尽に舞い踊り、その迫力は思わずのけぞるほど。華やかな衣装も見どころで、あっという間の衣装替えには「え、いつの間に!?」と驚くはず。スタッフの日頃の練習が目に浮かびます。

「界 出雲」で、出雲神話の世界に没入する旅、いかがでしょう。

界 出雲
住所/島根県出雲市大社町日御碕604
TEL/050-3134-8092(9:30〜18:00)
URL/hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiizumo/

 

Photos & Text: Chieko Koseki

Profile

古関千恵子Chieko Koseki 旅行ライター。リゾートやエコ、ダイビングなど、国内外のビーチにフォーカスして寄稿。ここ最近は国内のビーチの美しさを再発見し、全国津々浦々を探訪中。目指すは伊能忠敬!? Instagram: @chieko_koseki

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