世界的アーティスト、ジャウメ・プレンサの彫刻が語るメッセージ
世界最古のシャンパーニュメゾン「ルイナール(Ruinart)」が、2017年、世界各地でパブリック・アートを展開するアーティスト、ジャウメ・プレンサ(Jaume Plensa)とのコラボレーションを発表。インタビューを通じて彼の世界に触れる。
触るのではなく、撫でるアートを
──ご自身が発表される作品は、実際、触れる作品が多いですね。
「アートを鑑賞する人と、アート作品の相互の交流があることはとても大切なことだと思います。アートは触れないものではなく、撫でられるものであるべきだと。私の出身地である、スペインの地中海文化では、『指には目がある』という言葉があります。我々は触ることが好きで、触ることでそこに存在していることを確かめたい。美術館によく、『触らないでください』という注意書きを目にしますが、『触らないでください、でも撫でてください』と書きたいですね」
──最後に、「ルイナール」というひとつのメゾンがアートを支援する、メセナ活動についてのどう思われますか?
「歴史的に、他のところでもそうだと思うのですが、少なくとも西洋ではアートは個人によって支えられてきました。そして今では多くのプライベートカンパニーがアートを支えています。例えばアメリカの美術館は多くの企業がスポンサーをしています。今回、どこかのメゾン(や企業)とコラボレートするのは初めてのことだったのですが、お互いの歴史をシェアできたことがとても有意義でした。
コンテンポラリーアートであっても、伝統と深く結びついています。伝統をよく知らなければなりません。『ルイナール』は伝統とともに歩んでいる企業であり、その伝統をシャンパーニュという形で世界に広げています。今回、コラボレーションすることで、お互い世界に対して、ダイバーシティの重要性、グローバリズムについてメッセージを送れることを喜ばしく思っています」
Photos:Ayumi Shino
Interview&Text:Hiroyuki Morita
Edit:Masumi Sasaki