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岸井ゆきのと成田凌が語る“恋する映画”

2019年4月19日(金)公開の映画『愛がなんだ』で、一目惚れした男に一途なテルコを演じた岸井ゆきのと、恋のお相手のつれないマモルを演じた成田凌。二人が語る、映画の恋と現実の恋。(「ヌメロ・トウキョウ」2019年4月号掲載)

〈岸井ゆきの〉ワンピース¥38,000/レキサミ(03-3373-7493) その他/スタイリスト私物〈成田凌〉ブルゾン¥265,000/Namacheko(ランド オブ トゥモロー 丸の内店 03-3217-2855) トップ¥18,000 パンツ¥27,000/ともにNeedles(ネペンテス 03-3400-7227) その他/スタイリスト私物<br />
〈岸井ゆきの〉ワンピース¥38,000/レキサミ(03-3373-7493) その他/スタイリスト私物〈成田凌〉ブルゾン¥265,000/Namacheko(ランド オブ トゥモロー 丸の内店 03-3217-2855) トップ¥18,000 パンツ¥27,000/ともにNeedles(ネペンテス 03-3400-7227) その他/スタイリスト私物

誰かと恋に落ちるのはどんなタイミング?

 
——お二人は、どういうきっかけで人を好きになりますか?
 
岸井ゆきの(以下岸井)「言葉で人を好きになったことあります。その人が言ったひとことで。たまたま友人と電話することがあって、最初に『いま何してるの?』と聞いたら、『いまお米炊けるの待ってるんだ』って言われたんです…! 自分はお米が炊けるのを待っていたとしても、それを言葉にしたりはしないから」

成田凌(以下成田)「それはきっと、その人から予想できない狭いところが、ズバッとハマったんだね」

岸井「ちょっと絶句して。そこから意識するようになってしまった(笑)」

成田「いいね、ちょっとわかる」

——成田さんもそういうシチュエーションを体験したことありますか?

成田「米を待ってる時間じゃないですよね? それならいっぱいあるんですけど、早炊き派です(笑)。僕は言葉というより、見た瞬間『この人と付き合うかも』って思う」

岸井「それで本当にそうなるの?」

成田「なる」

岸井「すごい!」

成田「なるというか、する。好きが出ちゃうタイプみたいで『馬鹿でもわかる』ってよく言われます」

岸井「私も好きになると、連絡しちゃいます。好きだ、ってことではなくて、普通に『ご飯に行こう』という誘い方しかできないけど」

成田「それで十分じゃない?」

岸井「うん。友達には絶対ならないけど。でも、相手にはバレます」

成田「漏れちゃいますって」

岸井「特に隠そうとしてないかも」

成田「バレたほうが楽だしね」

岸井「うん」

成田「でも、相手に対して『この人はなんで自分のことを好きなんだろう?』と疑問に思うことはある」

岸井「私も思う。恋人じゃなくて、すごく素敵、尊敬できると思っている友達に対しても『なんでいつも一緒にいてくれるんだろう?』って思ったりもするし」

成田「どこか『僕なんか』という部分はあるかもしれない」

岸井「うん。『どうして私を選んでくれたんだろう』みたいな気持ちはあるかも」

©2019映画「愛がなんだ」製作委員会
©2019映画「愛がなんだ」製作委員会

男のズルさを意識

 
——映画『愛がなんだ』では、好きが高じてテルコはマモルになりたいと思いますが、共感しますか?

成田「全然します。僕はマモちゃんになりたいとは思わないけど、敬意を持っている人には思うかも。好きな人にそう感じたことはある」

岸井「私もその人になりたいと思ったことある! 憧れてて、ずっと相談に乗ってもらっていた人に『なんで私はこの人じゃないんだろう?』って」

——登場人物それぞれが片思いをしていますが、誰がいちばん自分に近いと思いますか?

成田「全員を少しずつかき集めてギュッとしたら、僕になる気がする」

岸井「うん、ちょっとずつね」

成田「でも、マモちゃんを演じていたので『なるほど』という部分はありました、なんならすべての行動に。マモちゃんには無意識なのかどうかわからないズルさみたいなものがあって、そこは無意識風に意識してやってみたところがかなりある。例えば外を歩くときは絶対にテルコが車道側。絶対に!」

岸井「そうだったんだ! 言われてみればそうだね」

成田「言うまで監督も誰も気づかなかったけど。細かすぎて」

©2019映画「愛がなんだ」製作委員会
©2019映画「愛がなんだ」製作委員会

——岸井さんは、そういう男性の気がつかなさにイラっとしたことは?

岸井「あんまり気にしないかな。でもイラっとさせちゃったから、イラっとされてるんだろうなというのはテルコもわかっているから、そういうときはただただ傷つきました。朝起きたら、一線を引かれたときも」

成田「そのときマモちゃんはいきなり敬語になるんです。周りをイラっとさせたいという思いがあったので、『ここを敬語にしたらイラつきません?』って監督に提案したら、『確かにムカつくね』と言ってもらって。いかにダウナーにするかを考えてました」

岸井「私はあんな体験がないから、テルコと一緒にすごく傷ついた。いきなりこんな態度になるんだって」

成田「テリトリーがあるんでしょうね。『あなたが入れるのはここまでですよ。勘違いしないで』って」

岸井「テルコはそのラインを侵しちゃったんですよね」

©2019映画「愛がなんだ」製作委員会
©2019映画「愛がなんだ」製作委員会

全部を捨てて、恋に走る。テルコの真っすぐさ

 
——この映画の魅力って、どこにあると思いますか?

成田「直接的な表現をあまりせずに僕らの行動で見せているので、細かいところで共感してもらえるところを見つけられると思うし、理性みたいなものを飛び越えたところのパラレルワールドみたいな、余白の部分を残している映画だなと」

岸井「本当にそう。不思議な部分を残してる。登場人物が誰も計算高くなくて、もう少し考えたらこうはならないってことがいっぱいあるんですけど、そういう説明のつかない部分がなんかわかるという」

成田「うん。わかんないはずなのに、なんかわかるかもみたいに思ってもらえるのかなと」

岸井「本当はテルコの気持ちもわかるけど、一緒に映画を観に行った友達にはそうは言えない、みたいな部分をテルコは持ってる。できないもん、自分には。テルコは全部捨ててマモちゃんに会いに行くじゃないですか。私は捨てられないから、ちょっと憧れますよね」

成田「2019年は猪突猛進、テルコの年だよ」

——じゃあ、二人は恋愛をしたとき100%夢中にならないタイプ?

岸井「ならないですね」

成田「僕は夢中派かもしれない。もちろん仕事とプライベートのオンオフには支障ないですけど」

岸井「私は、恋愛も大切だけど、仕事は欠かせないものです」

成田「僕はしなくていいならしないかも(笑)。好きだし、楽しいけど」

岸井「私は自分のためにも仕事してたほうがいいな。本当に暇だったらバイトしちゃいます。『ヤバい、今日何もしてない。働くか!』って」

岸井ゆきのが選ぶ恋する映画

 

True Romance © 1993 Morgan Creek Productions, Inc. Package Design c2014 Morgan Creek Productions, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
True Romance © 1993 Morgan Creek Productions, Inc. Package Design c2014 Morgan Creek Productions, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『トゥルー・ロマンス』
激しい恋に落ちた男女の逃避行を、クエンティン・タランティーノ脚本、トニー・スコット監督で描いたバイオレンス・ラブ・ロマンス。「女性がすごく強いところが最高。私もパトリシア・アークエットみたいに、もし殴られても中指立てたいです」『トゥルー・ロマンス ディレクターズカット版』 DVD ¥1,429 発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

『永遠の僕たち』
ガス・ヴァン・サント監督による、死にとらわれた少年と難病で余命宣告された少女の出会いと再生の物語。「ベタといえばベタな話なのだけれど、それを超える主人公二人の愛おしさ。ラストシーンのヘンリー・ホッパーの顔を見てもらいたいです。」Blu-ray ¥2,381 発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

『君の名前で僕を呼んで』
17歳と24歳の青年が織りなす、ひと夏だけの恋を1980年代のイタリアを舞台に描いたルカ・グァダニーノ監督作品。「本当にひとときの恋なんですが、きっと一生忘れない。家族との関係もまた素晴らしい。イタリアに行きたい!と思いました」(作品情報はこちら)DVD¥3,900 発売元 :カルチュア・パブリッシャーズ 販売元 :ハピネット

成田凌が選ぶ恋する映画

 

『キャロル』
女性作家パトリシア・ハイスミスの小説の映画化。1950年のニューヨークを舞台に、強く惹かれ合う二人の女性同士の恋をトッド・ヘインズが美しく映し出す。「ルーニー・マーラがいい。そんなに細かいことやられたらたまらないって思っちゃいます」DVD ¥3,800 発売・販売元:KADOKAWA

『エターナル・サンシャイン』
ミシェル・ゴンドリー監督、チャーリー・カウフマン脚本。お互いを忘れるために記憶除去手術を受けるカップルの皮肉な運命を描く。「ふわっとした中にずっと緊張感が漂っていて、そこがいい。ジム・キャリーのまともな感じが良くて、ズルイ」DVD ¥1,143 発売・発売元:ギャガ

『ディア・ハンター』
マイケル・チミノ監督が手がける、ベトナム戦争で深い傷を負った男たちの苦悩と友情の物語。「恋愛映画じゃないけど、ダンス中に彼女を知らない男に取られちゃった彼が、彼女のほうを殴ったのが衝撃的。もちろんやらないけど、わかる怒りだなって」『ディア・ハンター 4Kデジタル修復版 スペシャル・エディション』3/22(金)発売 Blu-ray ¥5,800 発売・販売元:KADOKAWA

映画『愛がなんだ』

マモルに一目惚れした28歳OLのテルコのすべてはマモルを中心に動いている。しかし、テルコの気持ちはわかっているくせに、マモルからは一向につき合おう、の一言がない。テルコの完全なる一方通行の恋は暴走し始めて……。監督は今泉力哉。4月19日(金)より、テアトル新宿ほか公開。

映画と本はいつだって恋するあなたとともに

Photo:Kohey Kanno Styling:Junko Okamoto(Yukino Kishii), Shogo Ito(Ryo Narita), Hair&Makeup:Kanako Hoshino(Yukino Kishii), Ai Miyamoto(Ryo Narita), Interview&Text:Tomoko Ogawa

Profile

成田凌Ryo Narita 1993年生まれ、埼玉県出身。2013年より『メンズノンノ』専属モデルとして活動。主な出演作は映画『残穢-住んではいけない部屋-』(16)、『君の名は。』(16)など。今後の公開待機作に『さよならくちびる』(2019年5月31日公開)『ガリベン!(仮)』(12月公開予定)がある。
岸井ゆきのYukino Kishii 1992年生まれ、神奈川県出身。2009年デビュー。17年に映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』で初主演し、第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。現在、NHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』に出演中。今春放送のSPドラマ『名探偵・明智小五郎』(EX)に出演。

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