パリに数日間行って来ました。
ファッションウィーク期間中じゃないパリに来たのは初めてだ。
活気は少し落ち着くが、美しさは変わらないまま。
クリスマスツリーが街の至るところにあり、煌びやかだった。
一番最初にパリに来たのは、おそらく24歳になったばかりの2012年2月。
空港を降りて、車内からパリの景色を見ながら、これは現実なのかな、と何度も自分のほっぺたをつねってみた。
早朝6時着だったから、街中はまだ薄暗く、オレンジかかった街灯が何よりロマンチックだった。
あれから5年が経ち、何度もパリに来ているが、憧れや躍動感は昔のまま。
今回は、CHANELメティエダ―ルコレクションが、リッツパリで行われるので、それを見てきました。
4年もの歳月をかけて改装したリッツパリで、CHANELがショーをやるからにはなにがなんでも駆けつけなければいけない。
改装前のリッツには、今のパートナーと泊まっていたので、自分にとってもすごくスペシャルでゆかりのある場所。
自分がまだ別ブランドのPRをやっていたときは、初めて触れたラグジュアリーブランドはCHANELだったから、この2つのコンビネーションはこれ以上にない特別なのだ。
夢心地というか、世界最高のひと時に自分もいられて、これ以上ない幸せな気分とともに、モチベーションがより高まる。
いまさらメティエダ―ルとは何?と、聞けない人たちのために短めに説明しよう。
コレクションのメティエダール(Métiers d’art)とは、クチュリエールたちの技術が生み出す、もはやアートと呼べる遺産のこと。例えば、刺繍、羽根飾り、帽子、手袋、手縫いの靴、ジュエリーボタンなど。職人たちの感性芸や技術なしには、存在できないアートワークのためのコレクションなんだ。こうした職人たちには後継者がいなくて、技術がこの世からなくなってしまうことを危惧して、CHANELが2002年に傘下にいくつかのアトリエを収めた。これは技術の独占ではなく、他ブランドもこうしたアトリエを使えるようになっていて、職人が技術の継承と発展に集中できるためのサポートなのだ。日本でも、伝統工芸や着物、染め物などに関する職人たちがどんどんいなくなっていることとリンクしているかもしれない。しかし、フランスの職人には、CHANELがいるのとても頼もしい。
CHANELは2002年から毎年12月に、このメティエダールに関するコレクションを行っているわけだけれど、リゾートやオートクチュールに加え、他のメゾンよりもコレクションが1つ多いということになる。1つのコレクションを発表するのがいかに大変かは、説明不要だろう。歴史を塗り替えるようなイノベイティブなコレクションもCHANELの魅力だが、こうした卓越した才能を守り、歴史を作品に投影させるところが、本当に世界トップクラスの所以だ。
さて、肝心の今回のショーだけど、「Café Society」がテーマ。この映画内でCHANELは1930年代のハイソサエティのナイトクラブシーンをリクリエイトしている。繊細な装飾がされたヘッドピースやジャケット、パンツ、スカート。そして、クチュリエールの技が光るジュエリー。
どれも、とてもかわいい! 午後4時からのアフターヌーンティーとともに見たコレクションは、こちらも社交界に参加したような感覚に陥りながら、楽しんだ。カーラ・デルヴィーンが、クッキーをぱくっと頬張りながら歩いたりして、エレガントでかつキュートさが演出されていた。
個人的に好きな音楽ジャンルの、エレクトロ・スイングがショーBGMとして流れており、シャンパンゴールドのリッツパリの雰囲気と洋服たちがまさにテーマにぴったりと合った印象だった。
毎回メティエダ―ルコレクションは、マドモアゼルとゆかりの深い場所が会場に選ばれるけれど、マドモアゼルはリッツパリを「ホーム」と呼んで50年もの間、愛し続けてきた。アーネスト・ハミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドも好んで、ハングアウトしていた場所。ロイヤルファミリーや往年の女優などのセレブに愛されたのは当然としても、当時からクリエイターを刺激する何かがあったようだ。マドモアゼルとCHANELがもたらしたのは、まさに「ヴィンテージ・グラマー」。リッツパリも、今回のコレクションも、それを表現していた。
ショーを見に行くだけでスペシャルだが、今回はなんとマドモアゼルが多くの時間を過ごしたアトリエでもあった、アパルトマンにも訪問してきた。
実は、アパルトマンに行くのは2回目。2014年1月に一度行ったことがあって再び来られるなんて思ってもいなかった。
実は、アパルトマンに行くのは2回目。2014年1月に一度行ったことがあって再び来られるなんて思ってもいなかった。
CHANEL好きな人は知っているであろう、この螺旋状の階段と鏡はアイコニックで有名なワンショット。
当時、マドモアゼルはこのアパルトマンのクチュールサロンでジャーナリストや顧客様向けにファッションショーを行い、コレクションを発表していたそう。
雰囲気が残ったままなので、異空間。
誰も住んでいないはずなのに、誰かが常にいる気がするんだ。
幽霊やスピリチュアルなことじゃなくて、CHANELという世界一のファッションブランドのDNAが全て、ここから始まっていたと思うと、とてつもないパワーをもらうことができる。
アジアには行ったことがないはずなのに、オリエンタルな家具もあって、いかに、マドモアゼルがオープンマインドでセンスがいいのかがわかるよね。
ショーに行けたこと、アパルトマンに再び行けたこと。
この上ない幸せとパワーをCHANELから学べました。
誰もが憧れる敷居の高いブランドだが、それほどの価値があるブランド。
それらを再び、自分の目と足で、訪問したいと思っても誰でもが訪問できるわけではないのは重々承知しているからこそ、直接みることができたことに本当に感謝している。
公式ウェブサイト:www.georgerootltd.com
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