世界にはさまざまなビーチリゾートがあるが、日本人に今こそおすすめしたいのが南太平洋に浮かぶフィジーだ。米国の権威ある雑誌「USニューズ・アンド・ワールド・レポート」による「世界最高のビーチランキング 2025」においてモルディブやハワイのマウイ島、沖縄を抑えて1位に輝いた場所でもある。今回実際に訪れてみたからこそ分かった、フィジーに今日本人が行くべき理由を5つの項目に分けて紹介したい。
1. 直行便なら約9時間でスムーズなアクセス、時差+3時間で体の負担が少ない

南太平洋に浮かぶフィジーは、ニュージーランドの北島から約2,000キロメートル北東に位置する。日本の成田空港からフィジーのナンディまでは直行便があり、片道約8〜9時間でたどり着く。現在、国営のフィジーエアウェイズが週2往復直行便を運航している。

フライトスケジュールは成田発が16:30(水曜、土曜)でナンディ着が翌日の4:20、ナンディ発が23:50(火曜、金曜)で翌日6:10に成田着。どちらも深夜便のため機内で眠り、到着後すぐに観光やリゾートステイを満喫できる。
しかもフィジーエアウェイズは、今の時代には珍しいサーチャージ0円で、先日のセールでは東京―ナンディ往復を65,000円~販売していた。実はフィジーエアウェイズはニュージーランド人やオーストラリア人が、アジア各地への旅行の際に渡航費を抑えるために使うほど、良心的なエアラインなのだ。とはいえフルサービスキャリアなのでご安心を。玄関口となるナンディは、フィジー最大の島であるビチレブ島西部の主要都市で、ここから各リゾートへと船や飛行機で移動するのが一般的だ。

ちなみにフィジーと日本の時差は+3時間。日付変更線は超えないため、時差ボケに悩まされることもない。
2. 333の島からなるフィジーは、5つ星ホテルの選択肢が豊富&リーズナブル
333の島々からなるフィジーは5つ星ホテルの選択肢が豊富なのも魅力の一つ。しかも、ハワイなどに比べると宿泊費がかなりリーズナブルなのも特筆すべき点だ。1泊2人2万円台(2025年4月滞在で検索)で検索しても、多くの5つ星ホテルがヒットする。
今回訪れたのは、フィジー随一の人気リゾート地であるママヌザ諸島に位置する5つ星ホテルの「シェラトン リゾート & スパ トコリキ アイランド フィジー」。ナンディ近くのデラナウ港からスピードボートに乗り、1時間ほどでアクセスできる。VIP用のヘリポートもあり、ヘリコプターであればナンディから15分ほどでたどりつく。
船で到着して目に飛び込んでくるのは、透明度の高い青い海と白砂。移動疲れも一気に吹き飛ぶほどの、まばゆいばかりの美しさだ。
リゾートの中心にあるメイン棟にはフロントロビーのほか、オーシャンビューテラスも有する2つのレストランとバー、インフィニティプールやアクティビティデスク、ショップなどがある。
客室はメイン棟の左右でそれぞれ、ファミリー用と大人用に分かれており、シーンに合わせて選ぶことが可能だ。どちらもオーシャンビューもしくはガーデンビューで、一部はプライベートプランジプールも付く。
オールデイダイニングの「Waitui House Restaurant」では、ハンバーガーやステーキ、ローカルフィッシュを使ったフィッシュアンドチップスやパスタなど、洋食をメインとしたインターナショナル料理を味わえる。青く澄み渡る海と白砂を眺めながらの、モーニングやランチは格別だ。
レストランやバーで使用されるハーブやトロピカルフルーツなどいくつかの食材は、リゾート内にある「シェフズハーブガーデン」にて化学肥料不使用で栽培されたものだ。離島でありながらフレッシュな食材で体が喜ぶ料理が味わえるのも、このリゾートの魅力の一つと言えるだろう。
リゾートステイに欠かせないスパ施設は、ママヌザ諸島最大規模だ。ピュアココナッツオイルを使ったフィジー伝統のボボマッサージをはじめ、フェイシャル、ワックス脱毛、ペディキュアなどのサービスが受けられる。
リゾートではサンライズウォークや魚のエサやり、アクアエアロビクスなどゲスト向けの無料アクティビティが連日開催されており、特にフィジーならではなのが「カヴァ・セレモニー」だ。フィジーなど南太平洋諸国に伝わる伝統的な儀式で、ヤンゴーナと呼ばれる胡椒科の木の根っこを乾燥させて粉末にしたものを、水と合わせてろ過した飲み物を掛け声や手拍子に合わせて飲むというもの。実際に味わってみるとゴボウや土のような味で、お酒を飲んだ後のような感覚を受けた。
このほかにもフィジー産のラムやトロピカルフルーツを使ってカクテルづくりを学べる「オーシャンカクテルミクソロジークラス」(1人2杯80 FJD)やカバナでのディナー(2人利用で250 FJD)などオプショナルプランも豊富だ。
シェラトン リゾート & スパ トコリキ アイランド フィジー
住所/Tokoriki Island Mamanuca Islands
TEL/+6796667707
URL/www.marriott.com/en-us/hotels/nanti-sheraton-resort-and-spa-tokoriki-island-fiji/overview/
日本人フレンドリーなリゾートなら、同じくママヌザ諸島にあるマナ島の「Mana Island Resort & Spa」もいいだろう。4つのレストランと4つのバー、2つのプール、ウォーター スポーツセンター、ダイビングセンター、ブティックショップ、テニスコート、キッズクラブがあり、日本人スタッフも常駐している。
Mana Island Resort & Spa
住所/Mana Island Mamanuca Islands
TEL/+6796661455
URL/manafiji.com/
Instagram/@manaisland_resort_spa_jp
3. とにかく海がきれいで絶景の宝庫! マリンアクティビティも充実
フィジーの魅力を語る上で欠かせないのは、やはり海とビーチ、自然の美しさだろう。「シェラトン リゾート & スパ トコリキ アイランド フィジー」も目の前に美しいビーチが広がり、まさに南国の楽園を体現したような場所だ。そしてこれがフィジーでは、決して珍しい景色ではないというのだからすごい。
このリゾートではシュノーケルやスタンドアップパドルボート(SUP)やカヤックなどモーターなしのアクティビティは無料で体験できるほか、様々なマリンアクティビティが用意されている。
有料のアクティビティやツアーも各種そろっており、今回私はトコリキ島からスピードボートで30分ほどの場所にあるモヌリキ島へのオプショナルツアー(1人175 FJD)に参加してみた。
モヌリキ島はトム・ハンクス主演の映画『キャスト・アウェイ』のロケ地として知られており、「HELP ME」のサインなど映画を彷彿とさせるフォトスポットもある。
モヌリキ島は無人島ということもあり、海の透明度はトコリキ島以上。『ファインディング・ニモ』のモデルとなったカクレクマノミなど、潜らずとも肉眼で数えきれないほどの魚たちを見ることができた。
シュノーケルをしてみると、浅瀬でも驚くほど多くの海の生き物たちが目の前を行きかっており、息を飲む。ここはツアー客もそこまで多くなく大変静かで、多種多様な生き物たちが人間の目もはばかることなく悠々と海の中を泳いでいる。シュノーケルというとアクティブなマリンスポーツのように思っていたが、静かな海で思い思いに活動する生き物たちを眺めることは、まるでメディテーションのように癒される行為なのだと知った。
フィジーの美しい海を満喫するなら、マリンアクティビティだけでなく、四方を海に囲まれた水上レストラン&バーもぜひ訪れたいところ。
デラナウ港からボートでアクセスしやすい、最新のフローティングレストランが、ママヌザ諸島に位置する「Seventh Heaven Fiji」。360度海に囲まれたロケーションで、海を眺めながら食事やお酒を嗜めるだけでなく、ジャンプ台も用意されており海にそのままダイブすることも可能だ。
しかも水上レストランでありながら本格的なピッツァ釜が用意されており、焼きたての絶品ピッツァが味わえるのもこのお店ならでは。まさに“天国”の名がふさわしい非日常感あふれる場所だ。
Seventh Heaven Fiji
住所/Fiji, Mamanucas
TEL/+6796751161
URL/www.seventhheavenfiji.com/
4. インド系の料理など、日本人の舌に合うおいしいごはん
フィジーと言えば、イギリスの旧植民地という歴史を持つ。同じくイギリスの植民地であったインドから、サトウキビ農園の労働力として多くのインド人が19世紀後半以降移り住んでいる。そのためクミンやターメリックなどのスパイスを使った料理が、インド人によってフィジーにもたらされたのだ。やがてフィジーの食文化と融合したフィジーインディアン料理となり、現在ではフィジーを代表する食文化の一つとなった。
インドのフュージョン料理をコンセプトにした「シェラトン リゾート & スパ トコリキ アイランド フィジー」内の「Curcuma」でも、そんなインディアンインスパイアの料理が味わえる。インドのスパイスで具材を漬け込んで火鉢や炭火で焼き上げるチキンティッカやフィッシュティッカ、香辛料で具材を味付けして小麦粉の生地で包んで揚げたビーフサモサ、ラムやビーフ、チキンカレーなど日本人にも親しみやすい料理がそろう。
デラナウ港にある「ポート デラナウ ショッピングセンター」内の「Indigo Indian Asian Restaurant & Bar」も、オーシャンビューのテラス席で、絶品のインディアン&アジアンフュージョン料理を味わえるお店だ。
地元産の食材、一部は自社農場で栽培されたものを使用し、新鮮さへのこだわりが光る。唐辛子のスパイシーさとバターとクリームのコク、トマトの酸味にカニのうま味が溶け込んだ「マサラクラブ」は必食だ。
Indigo Indian Asian Restaurant & Bar
住所/Port Denarau, Nadi
TEL/+6798922956
URL/www.indigofiji.com/
5. 治安が良く快適。フィジアンスマイルに心が洗われる
「フィジアンスマイル」という言葉に代表されるように、現地フィジー人のフレンドリーでウェルカムな人柄もこの国の魅力の一つだ。滞在したホテルでも生演奏付きの歌と手拍子、そして太陽のようにまぶしい笑顔のスタッフたちに出迎えられた。ショッピングモールなどの繁華街も治安が良く、強引な客引きもなく、お店の人も朗らかな笑顔で接客をしてくれる。レストランやホテル、航空会社のスタッフも、諸外国に比べて気持ちの良いホスピタリティだと感じた。
また、フィジーは立地の関係上、日本人を含めた東アジア人観光客が少なく、ニュージーランド人やオーストラリア人が大半を占める。滞在するホテルにもよるかもしれないが、静かで落ち着いたマナーの良い観光客がほとんどで、大変快適なリゾートステイが叶った。
フィジーには「フィジーマジック」という言葉がある。美しく透き通る海とさんさんと輝く太陽、真っ白な砂浜に、フィジアンのまばゆいばかりの笑顔とホスピタリティ。これらが織りなす極上のリゾートステイが忘れられず、再びフィジーを訪れてしまうということからこの言葉が誕生したらしい。今回初めてフィジーを訪れた私も、このマジックにすでにかかってしまった一人のようだ。
取材協力:フィジー政府観光局
Photos & Text : Riho Nakamori