ファッションストーリー「ようこそ、マーティン・パー ワールドへ!」
イギリスを代表するドキュメンタリーフォトグラファー、マーティン・パー(Martin Parr)によるファッション撮影が実現。社会を見つめる独特のセンス、ポップな色彩で写し出されたリゾートコレクション。ロンドンを舞台に、マーティンがヴィヴィッドな世界へといざなう。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年1・2月合併号掲載)
伝統とエスプリを呼び起こすレトロスペクティブ
アーティスティック ディレクター、ヴィルジニー ヴィアールが再解釈したシャネル(Chanel)の魅力が詰まったコレクション。鮮やかなグリーンのジャケットに合わせたのは、シャネルのロゴとレターが施されたレギンス。マーティンも思わずクローズアップした、存在感のあるアクセサリーをアクセントに。新たなビジョンを生む異国情緒あふれる装い
ディオール(Dior)は、アフリカの創造性あふれる文化と、大自然のパワーを美しく表現。アーカイブのジャングルを描いたポンチョを主役に、パワフルな存在感を確立。現代の社会現象とも言えるスマートフォンでセルフィーをする姿と、ほかの撮影に遭遇するという稀有な場面をキャッチした。
個性が引き立つモードなマリンルック
アメリカンポップカルチャーとフレンチクチュールを融合させたパコ ラバンヌ(Paco Rabanne)は、デカダンでゴージャスなコレクションを発表。王道のマリンルックには、ウェスタンブーツで足元にスパイスを。モデルの一瞬の表情を収めた、躍動感のあるヴィジュアルが生まれた。
伝統と革新が融合する新たな攻めのスタイル
バーバリー(Burberry)のチーフ・クリエイティブ・オフィサーのリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)がフォーカスしてきたクラシックとファッション性を大胆に表現。ストリートに溶け込む、イギリス国旗が施されたフライトジャケットにサイクリングショーツのスタイル。偶然にもブレグジットのデモ日と重なり、まさに揺れるイギリスをキャッチ。撮影が終わるとすぐ、マーティンはデモ行進の後を追って行った。
ユーモアのセンスが光るクリエイティビティ
JW アンダーソン(JW Anderson)が追求するコンセプト「ジェンダーレスなワードローブ」がさらにパワーアップ。ブランドのシグニチャーのひとつ、ニットは、斜めに切り替えたバイカラーで登場。ロンドンで根強い人気のバラロマーケットで、大きなパンとそれに負けない個性を収めた。
ワントーンカラーにグラムな煌めきを
ヴァレンティノのベース、ローマを舞台に都会的なロマンティシズムを感じさせるコレクションを披露。煌めくスパンコールのセットアップスタイルは、圧倒的な存在感を放つ。ロンドンの人気レストラン、スケッチの卵の形をしたトイレでの撮影は、フューチャリスティックな不思議な空間に!
Photos : Martin Parr Stylist : Natalie Brewster Hair : Raphael Salley Makeup : Jenny Coombs Manicure : Tomoko Komiya Production : Martin Coceres Model : Lera Abova Edit & Text : Maki Saito Special thanks to Raw Production