【Editor’s Letter】色とりどりの「希望」が豊かな社会をつくります | Numero TOKYO
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【Editor’s Letter】色とりどりの「希望」が豊かな社会をつくります

2023年11月28日(火)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2024年1・2月合併号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズレター。

ますます一人一人、一つ一つの表現を認めていく“色とりどりの時代”がやって来ます。

思い返せば男の子のロン毛やメイク、マニキュアは特別なものだと思い込んでいた時代がありました。今でこそ男子のスカート姿もパールアクセサリーも、女子のスキンヘッドにも違和感を感じずに過ごせるようになりました。「オシャレの一環として」といった理解しやすい共通言語によって納得していた時期を経て、今ではそれらは単なるオシャレではなく「個々のアイデンティティの表現」なのだと受け入れることができるようになりました。SNSで個人的に発信するインフルエンサーたちの貢献も大きいですが、言葉を換えれば、おおらかな時代になったわけです。とはいえ、まだまだ強いルッキズムにより傷つく人が多くいるのも確かです。もっともっと、全ての人が「生きやすい」と感じる社会になっていけばと願うばかりです。昨今は戦争や自然災害、感染症といった私たちの生活を脅かす危機が増えていることもあり、皆、今このときを楽しく自分らしく生きたい!と願うからなのでしょうか。色とりどりな人生があってしかるべきという思いから、今号は“色とりどり”をテーマにしてみました。

2020年12月頃から「風の時代」がやって来たと騒がれてきましたが、それが行きつ戻りつを繰り返して24年は本格的に「風の時代」へと突入する一年になるそうです。不穏な出来事が山積の日々だからこそ、生きていく上で大切なのは「希望」です。その「希望」はあなた自身のイマジネーションの中にこそあると西洋占星術家の猫星ラピスさんも語っています「猫星ラピスが鑑定!2024年上半期の12星座占い」(本誌p.126〜)。新しい年を生き抜く鍵が個々のイマジネーションの中にあり、それが未来を開くとはどういうことなのでしょう。

「希望」は全ての人が同様に描くことができ、手に入れることができます。それを具現化するために必要なものは何なのか。努力、我慢、忍耐、一生懸命に頑張るなどといったイメージが浮かびそうですが、そのどれもこれからの時代では不正解。これらは「地の時代」の思考回路で、発想の根幹が「所有や支配などさらなる利益や評価」を目指す「そのための忍耐」という回路図です。これからの時代は軽やかに楽しく希望を描き、平和的で人間的な解決を追求することなのだそう。現在はSNSにのってなんでもかんで瞬時に世界へ配信されます。それだけにヘイトクライムやフェイクニュースも瞬時に世界に配信されるので要注意をと占い師のムーン・リーさんは予言しています「ムーン・リーが2024年を大予言!」(本誌 p.124〜)。私たちに大切なのは、正しい情報を手にする知恵や行動力、自分だけが良かれといった欲深い考えではなく、すでに手にしているものに感謝をする心だそうで、そういう人が幸運を引き寄せると語っています。そんなこと言われても、お金は欲しいし広い家に住みたいし、おいしいものを食べて、お買い物だってたくさんしたい!と私自身も心底思うのですが、その欲望を、イマジネーションの中の「希望」に変えていくにはどうすればよいのでしょう。困惑しちゃいますよね。

風の時代は軽やかに情報が飛び交う時代です。描いた「希望」を具現化しようという発想そのものが出口を間違えているようです。広い視野で鑑定を読んでいくと、自分だけがいい思いをしようとか成功しようといった考えは通用せず、一人一人が幸せを感じ、他人を認め合うことで社会が循環し、その波動に自分の「希望」をのせていくと、踏んばらなくても形になっていくといった流れのようです(私の独断で鑑定を分析していますが間違えていたらご一報を)。

2024SSパリコレクションより。黒と白のルックが多くみうけられたシーズンですが、色とりどりなルックも提案されていました。〈一列目左から〉Isabel Marant、Givenchy、Undercover 〈二列目左から〉Marni、Louis Vuitton、Alexander McQueen〈三列目左から〉Sacai、Comme des Garçons、Valentino〈四列目左から〉Chloé、Loewe

全ては新しい年がやって来ないと判明しませんが、今までの時代の価値観や考え方、生き方とはガラリと変わるそうなので、思考回路のスイッチを本格的に「風の時代」に変えてみたいと思います。エゴを捨て、色とりどりの「希望」と共存しながら!

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Profile

田中杏子Ako Tanaka 編集長。ミラノに渡りファッションを学んだ後、雑誌や広告に携わる。帰国後はフリーのスタイリストとして『ELLE japon』『流行通信』などで編集、スタイリングに従事し『VOGUE JAPAN』の創刊メンバーとしてプロジェクトの立ち上げに参加。紙面でのスタイリングのほか広告キャンペーンのファッション・ディレクター、TV番組への出演など活動の幅を広げる。2005年『Numéro TOKYO』編集長に就任。著書に『AKO’S FASHION BOOK』(KKベストセラーズ社)がある。
Twitter: @akotanaka Instagram: @akoakotanaka

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