ライフワーク・習い事で自分と向き合う6人の女性たち
現代を生きる女性は忙しい。そんな中、自分と向き合う時間をつくり、精神と体を整えて、健やかに日々を送る人が増えている。彼女たちが取り組む、ライフワークや習い事とは。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2019年10月号掲載)
DJ・シンガー・モデル マドモアゼル ユリア
日本文化を学ぶ
勉学で好奇心を満たし美意識を高める
通信制の大学に社会人入学し、ほとんどの週末をキャンパスで過ごすというマドモアゼル・ユリア。専攻は、着物や歌舞伎をはじめとする日本の伝統文化だ。アウトプットが多い生活を送る中で、きちんと日本の文化を学びたいという気持ちが募り、思い切って入学したという。
「少し飽きっぽい性格なのですが、卒業論文を書かなくてはならないので、そんなことを言っていられず机に向かっています。学校は朝9時半からなので、今までよりも早起きになりましたね(笑)。一つのことに関して、資料や論文を読み論理的に深掘りしたことがなかったので、学ぶことは多く何より新しいことを知るのが楽しいです」。
授業では浄瑠璃や三味線、古文書を読み解くことも。大学では新しい出会いもあり、お茶を習い始めるきっかけになった。今後は、現在も手がけることがある着付けや着物関係の仕事を増やしていきたいという。
MADEMOISELLE YULIA(マドモアゼル・ユリア) コラム執筆やアワードの審査員としても活動。“GROWING PAINS”のディレクターを務め、ブランドや企業へのデザイン提供もしている。
Big Love運営 PR 平田春果
いけばな
いけばなで知る日本古来の道(どう)の精神
好きな映画監督の勅使河原氏が草月の三代目家元だったことがいけばなとの出合い。新たな表現方法を模索していた時期で、すぐ草月流いけばなを習い始めた。
「学んだことは、諸先輩方への敬意、準備、片付け、花材を整えることの大切さ。そして一人の方が年月をかけて得た技術、知識、経験について、呼吸を感じながら教えていただき、自分のものにし昇華させること。これが、過去から未来へと続く日本古来の道なのだと思います。驕らずに学び続けて謙遜であることは、仕事の場でも生かされていると思いますね」。
オンラインで上辺だけの知識を得られる今、オフラインでの人と人の関わり合いの重要さを痛感し、師範の資格を得た。現在はファッションブランドALYXやGR8などとのコラボレーションを通し、独自に表現の場を広げている。今後は海外の人へ向けた稽古をしてみたいという。
平田春果(Haruka Hirata) 1981年生まれ。東京・ギリシャ育ち。原宿の輸入レコード店“Big Love”を運営。セレクトショップGR8のPR、アーティストやキュレーター。原宿の輸入レコード店“Big Love”を運営。翻訳も手がける。
デザイナー 菊乃
ランニング
走ることで自分の心身を見つめ直す
忙しくても時間を割いて走りたい。自然と体が欲するので続けている。「ランニング中は気持ちの整理や自分自身と一対一で向き合う大切な時間。仕事以外で、何かに没頭する時間がどれだけ大切かを知りました。走ることで体重を感じるので、体の変化にも敏感になりました。走ることはストイックな行為なので、マインドが変わりメンタル強化につながっています。 フルマラソンも挑戦してみたい」。
今年、Nike×UNDERCOVER GYAKUSOUのキャンペーンにモデル出演した。仕事を通しランニングを運動としてだけでなく、生活の一部として広めていくのが目標。
菊乃(Kikuno) 「PURPLE THINGS」のデザイナー。ユナイテッドアローズアンドサンズの企画にも参加し キュレーションサイトでコラムを連載中。
Celvoke, F organicsディレクター 田上陽子
瞑想
心地よさを追求し内面と外見を美しく
自分がウェルネスでいるためには心に本質があると気づき、瞑想と出合った。「ヨガやピラティスなどのエクササイズで得られるメディテーション効果は感じていましたが、さらに深掘し、坐を組む純粋な瞑想をするようになりました。心の状態は外見や行動に表れるので、瞑想は究極のインナービューティ。毎日を心地よく過ごす手助けになっています」。
周囲に自分の感情を乱されることがあったが減り、人間関係も円滑になった。ストレスで体に力が入ることも減り、頭痛や肩こりが改善した効果も実感している。
田上陽子(Yoko Takami) PR会社に勤務後、オーガニックビューティブランドを立ち上げ、商品開発からPRまで幅広く手がける。
PR 佐竹 彩
登山
自然の中で省みるのは生きること
大学生時代、屋久島に登り自然の持つ雄大さに圧倒され、山に憧れを持った。社会人になって登山を始め、人生が一変したという。「生きる上で大切にしなければいけないことの優先順位が変わりました。誰にも頼らず、一人で何でもこなし乗り切る力と勇気も芽生えたと思います。あとは、大自然の前だと自分がすごくちっぽけに感じられ、悩んでいることが良い意味でどうでもよくなります。頭の中がクリアになるんですよ」。
1日に10時間も山道を歩き続けることもあり、足腰が鍛えられた。いつか海外の山にも登りに行きたいという。
佐竹 彩(Aya Satake) 主にビームスのウィメンズカジュアルレーベルを担当。趣味は登山と着付け。週末はだいたい長野県や北関東の山にこもっている。
デザイナー 篠崎英子
乗馬
動物と心を通わせ自らを律する
乗馬を始めたのは、小学生のときに住んだイギリスの乗馬クラブで。数十年のブランクを経て、5年前に念願のレッスンを再開した。「馬は身体が大きく、力も強い動物。指示通り動いてもらうには、支配ではなく信頼関係が大事。これは、人間関係にも当てあてはまることです。また馬は繊細な動物なので、人の精神が乱れていると気づき不安がります。なので、普段からニュートラルな精神状態と美しい姿勢を意識し、保てるようになってきました」。
訓練を遂げて技術を身に付ける喜びは、次なる挑戦の原動力にもつながっている。
篠崎英子(Eiko Shinozaki) 旅をテーマにした「Wanderclad etc..」デザイナー。セールス&マーケティングエージェンシー「Bureau」を運営。イラストレーターの活動も行う。
Text:Aika Kawada