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Culture Post

片山正通の秘蔵モノ・コレクション公開

書籍からアート作品まで、インテリアデザイナー 片山正通のコレクションを拝見しにオフィス訪問! 収集のきっかけからアートへの思い、ショッピングの心構えまで話を聞いた。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2017年5月号掲載)

Photos : Yoshimitsu Umekawa
Interview & Text : Keita Fukasawa

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自らデザインした自身のオフィス「ワンダーウォール」にて。アーティスト・KAWSからプレゼントされた作品『Untitled(MBFB7)』(2014年)

研ぎ澄まされた空間デザインの数々で、世界を驚嘆させてきたインテリアデザイナー片山正通。その創造性の源泉は物欲にあり! 書籍にCD、骨董に家具、ハードコアな現代アートまで。膨大かつ縦横無尽なるそのコレクションが、6月25日(日)まで、東京オペラシティ アートギャラリーにて公開中だ。 その展示に向けた品々が搬出目前のオフィスにて、繰り広げられた“もの×語り”の迷宮とは。

“出会い頭”の蒐コレクション集人生──片山正通かく語りき

酔狂か嫉妬か偏愛か。自らに創造力を与えてきた買い物遍歴を、余すところなく露出(ディスプレイ)する体当たりの展覧会「片山正通的百科全書 Life is hard…Let’s go shopping.」。なぜ買い続けるのか。その先に何が見えるのか──。いよいよ6月25日までとなった展覧会の開催直前、展示に臨む片山正通、その人間像を問うインタビュー。

──オフィスの至る所に膨大な数のコレクションが陳列されていて、完全に圧倒されました。

「この新しいオフィスに移ってから、打ち合わせに来た方とコミュニケーションが深まることが増えましたね。アート作品から家具、動物の剥製や数万枚ものCD、世界中で見つけてきたガラクタまで内容はバラバラですが、様々なものが僕のことを代弁してくれたり、それを見た人の中に謎が生まれたり……でも僕は、自分のことをコレクターだと思ったことは一度もないんです。確かに、アートや骨董は値が張る以上、集中力を持って買ってはいます。自分の中で欲しいものに対するトレンドもあるし、そういう側面も含めて、コレクションがある種の表現になっているのかもしれません」

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世界各国の古道具や人形、骨董と現代アート。<左手壁>村上隆の初期作品『Signboard TAKASHI』(1991年) <その右下>薬箪笥の上に置かれたペインティングはマーク・グロッチャン『Untitled (Creamsicle 700)』(2007年) <棚右端>十字架状の物体は教会懺悔室の突端(19世紀フランス)

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<正面右の上下2点>リアム・ギリック『Progressive Revision』 <左上下2点>同『RestrictedDiscussion』(ともに2013年) <その左下>19世紀フランスの炭坑作業員の革製ヘルメット

──収集を始めたきっかけは、そもそも何だったのでしょうか。

「単純にものが好きなんです。原点はたぶん、子どもの頃に夢中になったプロ野球カード集めかもしれない。アート作品に関しては、10年ほど前に現代アートギャラリーTARO NASUの那須太郎さんに出会ったことが大きいですね。アートを買うのは自分には関係のない、ブルジョワなものだと思っていたけれど、レクチャーを受けるうちに、むしろアートには自分が音楽やファッションから受けてきたのと同等のインパクトがあることに気づきました。それまでの物質的なものとは逆に、概念や権利など形のない価値に触れる体験がある。これまで自分の中にあった価値観とはまったく違う、もう一つのドアを開けてもらった感覚ですね」

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出展作品より、河原温『“Friday” JULY 14, 2000 “TODAY” series No.26,』(2000年)

清水の舞台から飛び降りる覚悟で買った、この河原温(かわらおん)による日付(デート・)のペイティング作品にしても、ここには何かがあるし、何もないともいえる。日頃手がけているデザインの仕事は、課題をいかにわかりやすく丁寧に解決していくかが問われますが、アートは逆にすごく乱暴で暴力的。そこにすごく憧れるし、自分がその表現と対等になる唯一の方法は、買うことしかないと思ったんです。だからショッピングは僕にとって“闘い”でもあるんですよ」

『買ってくれ』という声が聞こえる

Profile

片山正通(Masamichi Katayama) インテリアデザイナー。ワンダーウォール代表、武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科教授。1966年、岡山県生まれ。現在、世界で最も注目を集めるインテリアデザイナーの一人。近作にピエール・エルメ・パリ 青山、ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店など。現在、外務省によるJapan Houseがロンドンで進行中。武蔵野美術大学での特別講義の対談を収録した最新刊『片山正通教授の「未来」の「仕事」のつくり方』(マガジンハウス)が4/ 6 発売予定。<>www.wonder-wall.com

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