秋のアート体験に超新星現る!『岡山芸術交流 2016』レポート | Numero TOKYO - Part 3
Art / Post

秋のアート体験に超新星現る!
『岡山芸術交流 2016』レポート

岡山といえば、瀬戸内海を望む “晴れの国”、世界的なデニムの聖地、超高級フルーツ、桃太郎伝説etc.。そしていまこそ注目すべきは “最先端の現代アート”。いま岡山で何が起きているのか? その答えがここにある!

okayama art summit 2016
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そして……散策気分で次なる会場をめざす途中、いきなり視界に飛び込んできた衝撃の眺め。街なかの駐車場のアスファルトを砕き割り、まるで宇宙から落下してきた隕石のように巨大な銀色の物体が鎮座している!!!! 限りなく事件性の高いインパクトを放つこの作品は、「デ・ステイル」のメンバー、ジョルジュ・ヴァントンゲルローの彫刻が空から降ってきた……という奇天烈きわまる想定を現実化してしまった、ライアン・ガンダーによる作品だ。

okayama art summit 2016
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こうして街のただ中にアートを挿入する試みは、かつての城下町・岡山の中枢ともいえる岡山城にも。特徴的な造形に黒漆塗りの威容から「烏城(うじょう)」とも呼ばれるその天守閣の入り口では、ノア・バーカーによる音のインスタレーションが響いている。

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また、リレーショナルアートの第一人者として日本でも高い人気を誇るリクリット・ティラヴァーニャは、かつての天守閣を支えた礎石の上に工事用足場とミラー仕上げの茶室を制作。取材当日は着物姿のパフォーマー、上田舞から茶が振る舞われる一幕も。

okayama art summit 2016
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快調に展示めぐりを進めるなか、その衝撃は岡山城の二の丸に位置し、国宝を含む国内屈指の刀剣コレクションで知られる林原美術館で訪れた。建物内から何気なく、美しい芝生が広がる中庭を目にして絶句。横たわる裸婦像の頭部が蜂の巣で覆われ、そのまわりをおびただしい数のミツバチが飛び回っている……!!!!!! ドイツの国際展『ドクメンタ13』でも発表された作品だが、今回は地元企業の山田養蜂場が全面協力。岡山の気候風土と自然の力による、現在進行形のアートといえるだろう。

okayama art summit 2016
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一方、オリエント美術専門の公立美術館としては日本で唯一の岡山市立オリエント美術館では、歴史的資料が並ぶ常設展示空間のあちこちに、現代アート作品がそしらぬ顔で挿入されていた。天窓からの光が差し込む吹き抜けには、“ピタゴラスイッチ”的な作品『事の次第』で知られる2人組アーティスト、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイスによるネズミとクマのぬいぐるみが浮遊。2体が不条理な出来事を繰り広げる映像とともに、シュールな雰囲気を醸し出している。

建築 × 岡山の名店で織りなす “おもてなし” を味わう

Text:Keita Fukasawa

Profile

深沢慶太Keita Fukasawa コントリビューティング・エディターほか、フリー編集者、ライターとしても活躍。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numero TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集やインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)などがある。『Numéro TOKYO』では、アート/デザイン/カルチャー分野の記事を担当。

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