山口智子の人生「40代初めの自分が、今の幸せを作ってくれている」 | Numero TOKYO - Part 4
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山口智子の人生「40代初めの自分が、今の幸せを作ってくれている」

Numero TOKYO 83号/きっかけは“コレ”でした vol.56 指原莉乃
Numero TOKYO 83号/きっかけは“コレ”でした vol.56 指原莉乃
──その出会いによって、ご自身の生き方も変わったということですか? 「はい。職人さんたちは、10年でも100年でも使い続けられるものを、自然の恵みを生かして一つ一つ心を込めて手がけている。それは消費されてやがて消えていく消耗品とは違い、人々が生活の中で愛情を持って付き合っていけるもの。何十年、あるいは一生をかけてでも本当にそばに置いておきたいものや心地いいと感じられるものを求め、それによって得られたものと過ごしていくのは、何て幸せな人生だろうと思うようになりました。もの作りの精神を学ぶことで、私自身が携わっているもの作り、つまり、俳優としての作品への関わり方にも大きな変化がありました。世の中の流れとして、今は経済的利潤を重視しすぎて、とても短いスパンで結果を出すことを求められがちですよね。でも本物を追求するなら、それが時間を要するなら、ちゃんと時間をかけていいんだなと」
──現代においては忘れてしまいがちな意識が、職人さんたちの世界にはあったのですね。 「私も目先の結果ではなく、10年先、100年先にも誇りに思える仕事に関わっていきたいと、はっきり意識するようになりました。そうしたら心のブレや迷いが消えていました。一生をかけてでもやり遂げたいと思えることが大切で、大変な手間や時間がかかったとしても選びたいこと、長い間待たなければいけないとしても妥協せずに待ちたいもの。そういうことを優先しながら、物事を選択するようになっていきました。未来に対して胸を張れる最高の『今』を、私もしっかりと作っていきたいと思っています」
Photo:Takeshi Shinto Styling:Keiko Shimizu Hair & Makeup:Michiru Interview & Text:Subaru Kawachi Edit:Saori Asaka

山口智子(やまぐち・ともこ)

1964年生まれ。88年、連続テレビ小説『純ちゃんの応援歌』でヒロインに選ばれ女優デビュー。以降、『ダブル・キッチン』『29 歳のクリスマス』『ロングバケーション』などTV ドラマ出演が続き、同世代の女性たちの圧倒的な支持を得る。また近年は、世界の音楽文化を探る映像シリーズ『LISTEN.』(BS朝日)の制作を続けている。新ドラマ『心がポキッとね』(フジテレビ系毎週水曜22時〜)は、19年ぶりのラブストーリー連続ドラマ出演となる。

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