山口智子の人生「40代初めの自分が、今の幸せを作ってくれている」 | Numero TOKYO - Part 2
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山口智子の人生「40代初めの自分が、今の幸せを作ってくれている」

Numero TOKYO 83号/きっかけは“コレ”でした vol.56 指原莉乃
Numero TOKYO 83号/きっかけは“コレ”でした vol.56 指原莉乃
──山口さんが演じるのは、春太の元妻でもある“いい年して自分探し中”の鴨田静。どんな人物だと捉えていますか? 「静は過去に結婚に失敗するというどん底を経験し、そこから上を見上げて突進してきた女性。すごくエネルギッシュで、その有り余るエネルギーをどこにぶつけていいのやら、迷いながらもがいているのですが、そもそも人生を今より良くしていきたい、もっと幸せになりたいという向上心や意欲は、女性なら誰しもが本質的に持っているものだと思います。そう思うと、静の行動力あふれる生き方や自己実現の道へと突き進む様子は、他人事ではないというか、親しみを覚えますね。一度とことん追い詰められて、文字どおり“ポキッと折れて”しまったけれど、そこで負けずに突き抜けてしまった彼女ならではの炸裂するパワーは、尊敬に値するものだと思います」
──静の個性は“自分探し”がキーワードになっていますが、大人になってからの自分探しについては、どんなふうに考えますか? 「若い頃の人生の悩みは、自分に何ができるか、もしくはどう人と関わって生きていくかということよりも、まず現実に向き合うことで精いっぱい。生きていくためにはどうしたらいいのかという、基本的な手段探しという意味合いのほうが強いかもしれない。だから人生の中身や彩り方を模索するのは、実は大人特有のことで、大人になって初めて味わえるうれしい悩みなのかもしれませんね。静についても“いい年をして”というよりは、大人になったからこその心の成長段階を歩んでいるというか、次のステップを目指して向上している途中なのかな、と受け止めています」
──山口さん自身、人生をどう生きていくかという点において、影響を受けた出来事は何でしたか? 「大事な時期は40代の初めの頃にあったように思います。幸せなことに、いま自分が人生を楽しみながら、より良く生きようと思いながら進めるのは、その頃の経験が大きいかなと。ふと手にした本がきっかけだったのですが、日本の伝統工芸や手仕事に興味を抱いて、実際にもの作りの現場に出合うチャンスに恵まれた時期がありました。日本全国のさまざまな作り手さんにお会いして、話を伺うという貴重な体験を通して、意識が変わっていきました」

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