長澤まさみインタビュー
「カンヌは頑張っている女優を応援してくれる場所」
2014年『The Crossing(原題:太平輪)』のプロモーションをきかっけに、初めてカンヌ映画祭に参戦した女優の長澤まさみにインタビュー。担当エディターが見た彼女の姿を大公開。
レッド・カーペッドデビュー翌日の夜は、ショパールが毎年“注目の若手俳優と女優”を表彰するカンヌ伝統のアワード『ショパール・トロフィー』のアフターパーティに出席。ドレスはこの日の昼間にフィッティングをして選んだアルマーニ。3種の異なる刺繍をパッチワーク風に重ねたオーガンザがリッチ。ジュエリーはオーバル・カットのアメシストとトパーズによるドロップイヤリング、アクアマリンとタンザナイトによるカクテルリングをセレクト。
イヤリング(18KWG×アメシスト、トパーズ)¥15,000,000、リング(18KWG×アクアマリン、タンザナイト)参考商品/ともにChopard(ショパール ジャパン プレス) ドレス¥2,300,000/Giorgio Armani(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)
全部が愛にあふれていいたから出来た作品
──ディオールの撮影では、ヘアメイクの部分でも、いつもとは違う長澤まさみが表現されていたと思います。
「太眉のメイクなんかは、もともと眉毛のメイクを濃くするのが好きだったので、楽しかったです。80年代みたいな感じっていうのかな」
──たくさんのドレスを着たけど、他に印象に残ったものはあった?
「ステラ・マッカートニーかな。もともと好きなブランドなんですけど、ドレスなのにシンプルで、着こなせる背の高さがあって、今回ばかりはよかったって(笑)。あと、アルマーニも素敵でした。エレガントなんだけどストリートっぽさもあるっていうか、ちょっとポップなところもあって、かわいかった」
──映画という文脈だけでなく、モードやブランドという文脈からもカンヌを味わってもらった経験が、もしかしたら次のカンヌにつながったり、今後さまざまな映画祭に参加するときの糧にできたらいいですね。
「そうですね。カンヌは映画ファンが楽しめて、映画関係者だけでなくファッション業界の人まで、みんなで楽しもうとしてるのがいいなって思いましたし、パーティに出ることで、いろいろな国の人と友達になれた気がしたのも楽しかったです。日本の映画祭もそういう意味でもうちょっと盛り上がったらいいなって。私たち役者がそういう雰囲気を好んでいくようにしないといけないと思います」
──今回のカンヌの一番の思い出は?
「やっぱり『The Crossing』のプレス・カンファレンスです。自分が出させてもらった映画が世の中の人に届いていくんだなぁ、公開されるんだなぁっていうのがうれしかったです」
──映画の話に移りましょうか。ジョン・ウー監督との現場は、どうだった?
「とても厳しい監督で完璧さを求める人だから、撮影はとても大変だったりしました。絵や撮りたいものが明確なので、そこにハマるまではすごく時間をかける。ある人物がそのシーンにたどり着くまでの心情を毎回必ず教えてくれたし、指導も丁寧で、いい意味で完璧主義なんだろうと思います。そして、全部が愛にあふれているからできることでもあると思いました」
──それは映画への愛ということ?
「映画というより、作品の中のすべての表現に対してですね。例えばバイオレンスのシーンがその人の愛を表現することもある、それも一つの愛の形なんだっていう考え方をする人。人物の行動の一つ一つにものすごく意味を込める。だから、監督の作品にみんなが魅了されるのかなと思います」
──“いい意味で完璧主義”という表現があったけど、具体的に、監督の導きで自分の演技が完璧に近づいたと思うシーンは?
「もともとは予定されていなかった金城武さんとのキスシーンのときに、『雅子(※長澤さんの役名)という存在の強さに愛と覚悟みたいなものを込めたいから、感情をもう少し強くぶつけてほしい』と言われたりしました」
──アジアの大スター、金城武さんと共演した感想もぜひとも聞かないとなりませんが…。
「ものすごく真面目な方です。すごくひょうひょうとしていて、淡々と、でも仕事を一生懸命にやっている人という印象です。ちなみに今回はキスシーンしかないのに、ネットとかで私がヌードになってるという情報が流れていたりしてるんで、この場で訂正しておきます(笑)」
──ちなみに、ヌードにならずともパーフェクトボディの持ち主であることは今も昔も一目瞭然だけど、特にここ最近、何か特別なメンテナンスはしている?
「ジムには通っていて、体幹は鍛えてるんですけど、教えてくれる先生が上手なので、鍛えた部位が必ず筋肉痛になる。痛みが取れたら行く感じで、ストレッチも込みで2時間みっちりやってます。あと、テレビ番組で一緒になったプロのサンバダンサーの工藤めぐみさんからサンバを習ってみようかなと思ってて。ガッツのある人で、ブラジルのチームに入らないとリオのカーニバルに出れないからって、単身ブラジルに住んで出場したりしてるんです。外国でやることだけが偉いとは思わないけど、自分がやりたいことを世界という規模で行動に移せる人からもらう勇気は大きいと思う。そういうのが好きで、外国での仕事に昔から興味があったのかも」
Photo:Saskia Lawaks
Edit & Text:Yuka Okada