長澤まさみインタビュー
「カンヌは頑張っている女優を応援してくれる場所」
2014年『The Crossing(原題:太平輪)』のプロモーションをきかっけに、初めてカンヌ映画祭に参戦した女優の長澤まさみにインタビュー。担当エディターが見た彼女の姿を大公開。
毎年5月に南仏で行われるカンヌ国際映画祭。今年、長澤まさみが初日のレッドカーペットに登場したことは日本でも多くのメディアで取り上げられた。2014年、長澤まさみの初カンヌと舞台裏に独占密着。その姿からはリアルな映画祭の有り様と同時に世界を見据えた女優の現在が見えてくる。
ショパールのイヤリング、ブレスレット、リングを味方につけてのカンヌ・デビュー。勝負ドレスは、出発前の東京でいくつかのブランドを試着した結果、“ジュエリーが引き立つシンプルなデザインと歩きやすさ”が気に入って自身が選んだステラ マッカートニー。サンダルは日本未入荷のジミー・チュウ。
イヤリング(18KWG×ダイヤモンド)¥25,450,000 ブレスレット、リングともに参考商品/すべてChopard(ショパール ジャパン プレス) ドレス参考商品/Stella McCartney(ステラマッカートニー ジャパン)
カンヌ滞在も終盤の夕方、待ち合わせをしていた映画関係者で込み合うホテルのカフェに、長澤まさみは遅れることなく「このインタビューまでちょっと時間があったから、近くの蚤の市に行ってきちゃった」と少しホクホク顔で現れた。何か買い物をしたのか尋ねてみると、リングを買ったという。その後、やって来たギャルソンにオーダーしたのはオレンジジュース。お酒をほとんど口にしない彼女の好物で渇いた喉と疲れを潤しながら、今回の初カンヌを語ってもらった。
『ここから頑張ってね』という目で見守ってもらった気がしている
──今回、『The Crossing(原題:太平輪)』のプロモーションでカンヌに行くと聞いたときの気持ちは、どんなものだった?
「本当はコンペティションで来たかったなとは思ったけど、プロモーションで来るっていうのもなかなかない機会だし、純粋に海外の映画祭は楽しそうだなって思っていたので、うれしかったです。カンヌについてもどんな場所なのか全くイメージできなかったけど、いろいろな映画を見ることができるとは聞いていて、日本では上映されない映画も見れたりするのかなぁ、行ってみたいなぁって」
──初日からレッドカーペットに参加して、カンヌでしか借りることができないショパールのジュエリーやアルマーニのドレスをフィッティングして、ディオールでメイクアップをして、SPも送迎車も付いてきて…。すべてがスペシャルな体験だったと思うけど、とりたてて高揚するわけでもなく、淡々と楽しんでいたのが印象的でした。実際、緊張していなかったですよね?
「ふふ(笑)、そうですね。でも、カンヌってこんな感じなんだなというのを体験できたのは面白かったし、勉強になりました。歴史のある一流ブランドってすごいなと思ったし、限られた人しか身に着けられないものなんだなとも思ったけど、一方で、誰にでも身に着けることを許されたものでもあるのかなと感じたりしました」
──それは自分が身に着けることができたんだから、誰にでもチャンスがあると思えたということ?
「そうなんです。私なんてカンヌで有名な女優でも何でもないし、ただ、こういうことをきっかけに、それに似合う人になるってことが大切だなって思いました。思い描く自分になるように努力したり、成長していくなかで、似合うようになっていくことができるのであれば、誰でも着ることができるのが一流のブランドというものなんだと思います。ショパールのパーティで会った女優のアデルが『初めてのカンヌは大変よね。私もそうだった。頑張って』みたいなことを言ってくれたのも印象的で、アデルだって特別なポジションからスタートしたわけではないんだなって。ショパールでは女性社長のキャロラインさんにもすごく良くしていただいて、『ここから頑張ってね』という目で見守ってもらった気がしています。カンヌは頑張っている女優を応援してくれる場所。本当の意味で一流のジュエリーが似合う女になるには、自分はまだまだ全然これからです。頑張らないと」
──ディオールの最新コレクションはどうだった?
「なかなか自分のお金で手が届くブランドではないし、もっとガーリーでふわふわっとしたデザインのドレスが多い印象があったんですけど、今回いろいろと着させてもらって、むしろどれもすごくカッコいいなって思いました」
Photo:Saskia Lawaks
Edit & Text:Yuka Okada