萬田久子が語る現在と過去「モテる男性だったから、私自身も頑張れた」 | Numero TOKYO - Part 5
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萬田久子が語る現在と過去「モテる男性だったから、私自身も頑張れた」

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──結婚していても愛し合っていない人がいる中で、籍に関係なく信頼し合って長く添い遂げる人たちもいる。その違いはどこにあると? 「相性でしょうね。『腐れ縁だね』って二人で笑っていたけど、その一方で「籍を入れていたら別れていただろうね」ともよく話していました。いつでも別れられるという自由さが逆によかったのかもしれません」
──実際、籍を入れていたらあの時に別れていた、という瞬間も…? 「いっぱいありますよ。でも、私が別れたい時は向こうが私を必要で、向こうが別れたい時は、私が彼を必要で。本当にダメかもしれない…という時に母が病気をしたり、いろいろな問題が起きて、それが関係を修復させたり。最終的には、こんな別れになっちゃいましたけど。最期は、本当に「あれ? こんなに早いの?」って思うほどあっけなかった」
──どこかで「あなたは、これからこう生きなさいよ」という話をする時間はあったんですか? 「なかったですね。でも子どもたちには何か言ったのかな? そう思うくらい、子どもたちが私を支えてくれました。彼の長男が、心配してしょっちゅう電話をくれたり、長女がNYから帰ってくると食事をしたり」
──お子さんたちとのわだかまりは最初から大丈夫だったのですか? 「それぞれにあったと思います。でも、彼が「全員が仲良くしろ」っていう人だったので。キャプテンがちゃんとしていたので、私も子どもたちを可愛がるのがルールだったし、子どもたちも「チャコちゃん」に従わなくてはいけない。それは彼がきちんとしていたからこそだと思います」
──どしっと支えてくれていたお母様が7年前に、パートナーの方が2年前に亡くなり、いよいよ自分で自分を支えなくちゃいけませんね。 「本当に精一杯です。でも、スタッフや、未亡人の会じゃないけど女性ばかりで集まったり、みんなの支えでどうにかね(笑)。自分で自分のコアをちゃんとしておかなくちゃという気持ちは、母が生きていた頃よりも、彼がいた頃よりも強く持てるようになりました。去って行く人もいますが、彼が元気だった時以上に気にして声をかけてくださる方もたくさんいます。彼が生前、蒔いておいてくれた種が今の私を支えてくれているんだなと感じることも多いです」
Photos:Yasutomo Ebisu Styling:Tsugumi Watari for Self Interview & Text:Atsuko Udo
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