犬山紙子が描く「幸せを掴んだ女性たち」 | Numero TOKYO - Part 3
Fashion / Post

犬山紙子が描く「幸せを掴んだ女性たち」

「地雷女子」や「負け美女」たちの実態を世に送り続けてきた犬山紙子が共感する、“オンナの幸せの見つけ方”とは? 身近にいる、さまざまな形で幸せを掴みとった女性たちのエピソードを書き下ろしイラストとともにご紹介。

Episode 03
欲に溢れ、生命力に溢れる
スタイリストのAちゃん

「この人毎日毎日幸せがダダ漏れてるな…」と思うのはスタイリストのAちゃん。いっつも笑顔でどんな情報でも楽しそうに語る彼女は非常に欲に素直だ。旅、ファッション、食事、ネットや漫画、あらゆるものを楽しみ尽くしている。

特に旅。彼女のインスタを開けば、「え? また旅行してるの?」とびっくりする。台湾のリーユエタン、タイのクラビ、ベトナムのダナンと日本ではメジャーではないけど評判の良いアジアから、パリ、ローマ、ニューヨーク、バルセロナなどザ・観光地まで。台湾なんか年に4回は行っている。写真から色とりどりの「非日常」「異文化」「楽しい」「旨い」「綺麗」が洪水のように溢れ出ていて、素直に「いいっ!いいなあ~!」と思うのだ。そこらのキラキラ系女子なんて目じゃないぜ、ガチのキラキラってのは心底楽しんでないと見せつけられないものなんだぜって。でも、彼女はフリーのスタイリストではないから、全部会社に申請して旅行をしているわけで。

「仕事よりも海外旅行」と豪語する彼女は、旅の前に仕事を終わらせ(サラッと言うけどとんでもない労働)、やりたい仕事がその期間に舞い込んだとて断るのだそう。もちろん私にそんな勇気はなく、彼女の「欲に素直に生きる」という難しさを乗り越える姿を、あと20年くらいしたらそうなりたいという、欲深いくせにチキンな私の将来の夢に重ねている。仕事欲ばっかり優先させてプライベート欲を疎かにするのもよろしくないものですもの。そんな欲に素直な彼女の顔からは日々幸せがこぼれ落ちており、だからなのか、彼女は実年齢よりめっちゃくちゃ若く見える。旅で見つけたかわいい雑貨や家具に囲まれ、海外で見つけたブランドの洋服を身にまとい、それらを仕事に活かし、少女みたいな顔をして笑うアラフォーの彼女。「ほんと年齢なんてただの記号だな」と思う。人は年齢じゃなくて、いかに生命力に溢れるか、なんだ。そして、彼女は欲とは生命力そのものだと体現している。私だって欲を最大限楽しみきらないと死ねない、これぞ生きる力、若さなんだ。

「異国ならではの見返りのない優しさを感じると本当に幸せ。台湾に何度も行くのは本当にみんな優しいから」と言う彼女。旅行で物欲や刺激欲以外にも人間欲もしっかりチャージしている。

幸せの見つけ方、Aちゃんの場合
「自分なりのエナジーをチャージする方法を知っているということ。」

「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2017年3月号は「ハッピーホリック」特集。2017年型の幸せを掴む方法が満載! ぜひチェックして。

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Text&Illustration:Kamiko Inuyama

Profile

犬山紙子(Kamiko Inuyama) 1981年生まれのコラムニスト、エッセイスト。出版社で編集者として勤務後、ニート生活を送るが、美女たちのトホホネタをまとめたエッセイ「負け美女」で作家デビュー。雑誌、ラジオ、テレビなど、メディアでも活躍。『嫌われ女子50』『言ってはいけないクソバイス』また、峰なゆかとの共著『邪道モテ!』など著書も多数。

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