犬山紙子が描く「幸せを掴んだ女性たち」 | Numero TOKYO - Part 2
Fashion / Post

犬山紙子が描く「幸せを掴んだ女性たち」

「地雷女子」や「負け美女」たちの実態を世に送り続けてきた犬山紙子が共感する、“オンナの幸せの見つけ方”とは? 身近にいる、さまざまな形で幸せを掴みとった女性たちのエピソードを書き下ろしイラストとともにご紹介。

Episode 02
自由でシンプル。
義足モデルのGちゃん

Gちゃんに初めて会った時の印象は「自由な空気の人だなあ」だった。グリッと大きな瞳にロングの髪に緑のロングドレス姿。私は初対面の人に変に気を使いすぎておかしなことによくなるけど、彼女は初対面の私とごく自然に話してくれて(人見知りらしいのだけど)その自由な空気が私にも移ってものすごく心地が良かった。

彼女は義足モデルをやっている。と言うと私たちは勝手にいろんなことを思うだろう。義足であることに勝手に意味付をして、固定観念をぶつけて。でも、Gちゃんは自由だ。自由だからそんな固定観念の上をフワフワと美しい義足姿で踊っては、俯瞰でこっちを見ている。いいなあ、最強だ。

彼女の幸せは、美味しいご飯を食べて、気のおけない友人とバカをやって、楽しいお酒を飲んでカラオケをしているときに訪れる。特に食の優先順位が高く、ピクニックにお弁当を作って持って行ったり、夜中に無心で煮込み料理を作って精神統一したり、ひとり居酒屋をしたり、食で幸せになるチャンスを1度たりとも逃がさないハンターだ。「何かにハマれる人は凄く幸せそうでいいよね。憧れる」と言うが、Gちゃんだって食にこんだけ情熱を注いでるんだから相当なもので。そういえば偶然Gちゃんと会ったのもおいしいレストランだったっけ。凄くシンプルに人生を楽しんで幸せを感じているのだ。人目ばっかり気にして、シンプルに楽しめばいいものをこねくり回して結局わけがわからないものにしてしまう私にその姿はなんとも眩しい。

シンプルな彼女は義足がモデルとして武器になると思ったら、武器にする。面白そうと思ったらその仕事をする。人目を気にせず彼女はやりたいことをやるのだ。それは簡単なようで、強さと自信と自由さが必要だ。決してポーズじゃできないこと。「友達が『テレビでGちゃんを見てすごくかっこよくて感動したのと同時に、そんな人と私が出会うことができたのは、私も今まで頑張ってここまできたからなんだよなあって、自分の事までちょっと誇らしく思えた』と言ってくれた時に、幸せってこうやって伝染するんだって思って。この言葉を思い出すとホロリと泣けるのよ」と幸せそうなGちゃん。

彼女の周りには幸せの良い循環が存在している。人が引き寄せられるのも納得なのだ。

幸せの見つけ方、Gちゃんの場合
「自分らしさを見失わないこと。個性を武器にすることで幸せを掴む!」

スタイリストAちゃんの場合

Text&Illustration:Kamiko Inuyama

Profile

犬山紙子(Kamiko Inuyama) 1981年生まれのコラムニスト、エッセイスト。出版社で編集者として勤務後、ニート生活を送るが、美女たちのトホホネタをまとめたエッセイ「負け美女」で作家デビュー。雑誌、ラジオ、テレビなど、メディアでも活躍。『嫌われ女子50』『言ってはいけないクソバイス』また、峰なゆかとの共著『邪道モテ!』など著書も多数。

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