ニセコ/丸沼/センス・オブ・ワンダー | Numero TOKYO
Culture / Editor's Post

ニセコ/丸沼/センス・オブ・ワンダー

あっという間に1月も終わろうとしていますが……冬休みの話です。旅先で、こんな本を読みました。

『センス・オブ・ワンダー』は、半世紀以上も前に環境問題に警鐘を鳴らし、いまもなお読み継がれている『沈黙の春』の著者レイチェル・カーソンによる遺言書のようなメッセージが詰まった一冊。大雑把に要約すると、子どもなら誰しもに備わっている「不思議なものに驚嘆する感性(=センス・オブ・ワンダー)」を一生持ち続けたい(そして子どもにも持ち続けてほしい)ならば、自然の中へ探検に出かけてみるといいよ! といった内容なのですが、ハッとしたのは「知ることは感じることの半分も重要ではない」という言葉です。

また収録されている写真もふいに涙がこぼれてしまうような美しさで、仕事も子育てもなんだか肩に力が入ってしまう働く親こと私の心はだいぶほぐれました。(その効果がまだ続いているのか、実は一昨日も積雪を期待するがあまり真夜中に起きてしまい……2時半ごろは都内も雪が降っていました)

で、雪といえば、こちら。ノルウェー出身のアーティスト、オケイ・カヤの新譜のレビューもぜひ読んでみてください。

ノルウェーからやって来たベッドルーム・ポップの新たな旗手、オケイ・カヤ

記事内でも掲載している「Baby Little Tween」という曲のMVはニセコで撮影されているのですが、断片的につなぎ合わされたホームビデオのような映像と幻想的な歌声、エキセントリックで実験的な演出の妙にハマってしまい何度も観ています。

ちなみに私、年末年始は20数年ぶりのスキーに出かけていました。この冬は記録的な小雪も心配ですが、今回訪れた丸沼高原はしっかりと積もっていて、パウダースノーで、地元の方が「バブル以来だねっ!」とはしゃぐほどの混みっぷり。で、で、バブルで雪山といえば『私をスキーに連れてって』や「東京ラブストーリー」ですよね。リアルタイムで好きだったので、2020年となったいま、あちこちの駅で見かけるJR SKI SKIのポスター(オールホワイトのスタイリング!)や、後者のリメイク版のニュースにも動揺している今日この頃です……。

Profile

井上千穂Chiho Inoue フィーチャー・ディレクター。『Numero TOKYO』創刊時よりエディターとして主に特集を担当。2011年よりウェブマガジン「honeyee.com」「.fatale」の副編集長をつとめ、19年より出戻り現職。作り手の話を聞き、ものづくりの背景を知るとお財布の紐が緩みます。夜な夜な韓国ドラマに、休日は自然の中に逃避しがち。子連れ旅もお手のものな二児の母。

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