Food / Editor's Post

下北沢・発酵デパートメントの店内ツアー&精進発酵ランチコースを体験

お店は、小田急線下北沢駅が地下化したことによって新たに生まれた土地にオープンしたBONUS TRACK内にあります。BONUS TRACKは本屋B&Bが移転してきたことや(発酵デパートメントの真上が本屋B&Bです)、古着屋や一風変わった名前のお店が肩をよせあっていることもあって、真新しい商業施設であっても下北っぽさはありました。
お店は、小田急線下北沢駅が地下化したことによって新たに生まれた土地にオープンしたBONUS TRACK内にあります。BONUS TRACKは本屋B&Bが移転してきたことや(発酵デパートメントの真上が本屋B&Bです)、古着屋や一風変わった名前のお店が肩をよせあっていることもあって、真新しい商業施設であっても下北っぽさはありました。

合言葉は「世界の発酵みんな集まれ!」

「世界の発酵みんな集まれ!」をテーマに掲げ、各地のユニークな発酵食材や食べ物、お酒を取り揃えるショップ、発酵デパートメント。コロナ自粛期間にあたる今年の4月にオープンし、満を持して10月から発酵づくしのランチコースがスタートしたということで、発酵デザイナー・小倉ヒラクさんによる店内ツアーとメニュー解説つきのランチコースに参加してきました。

ツアー冒頭に小倉さんは、「トレンドにひっかからない謎の物体を集めています」とコメント。発酵デパートメントは、各地の多様な発酵文化に魅力を感じ、それを継承するための活動拠点であり、「ニッチの巨大な集合体」なのだそうです。

中でも味噌や醤油といった調味料が豊富かつ売れ筋とのことで、のれんをくぐってすぐ目に飛び込んでくるのは全国津々浦々から集められた醤油&味噌コーナー。生で飲んでも美味しいというお酢や、“本当の”柴漬け(花のような香りがします)、納豆なども人気で、甘酒、クラフトビール、ワイン、焼酎、変わったものでいうと「松浦漬(鯨の軟骨の酒粕漬け)」のような極地的に発展してきた発酵食品も扱っていらっしゃいます。

私は左のお酢を購入してみました(名前……!)。「一度使うと他のお酢には戻れない」と小倉さんも太鼓判を押す逸品です。写真右、鮎の発酵食品も「川のテロワールを味わえる」絶品とのこと。リエットも熟鮓(なれずし)も気になります。発酵の味わいが生かされている食品を選ぶことで、結果的に添加物を使用していないものが多くなったそうで、要冷蔵の食材も多数。

発酵づくしのランチコース、その中身は

まず、提供される料理のポリシーから食材のルーツ、メニューの解説が書かれたガイドブックが配られました。「精進発酵ランチコース」は、卵、肉、魚に加え、砂糖、にんにくや生姜など体に不要な負担をかける食材不使用、さらにはグルテンフリー。発酵点心、利き味噌に始まり、メインとなる麺、ドリンクのペアリングからデザートまで、ストイックに発酵を満喫できるフルコースです。山梨県のFAR YEAST BREEWING「TOKYO BLOND」という生クラフトビール(マスカットみたいにフルーティで、しっかりと後から苦みが追いかけてくる、絶妙なバランス!)を飲みながら料理を待ちました。

左がザワークラウトとジャガイモを自家製の“ポテト味噌”で味付けした点心、右がコリコリした食感の切り干し大根キムチと韓国春雨の点心。
左がザワークラウトとジャガイモを自家製の“ポテト味噌”で味付けした点心、右がコリコリした食感の切り干し大根キムチと韓国春雨の点心。

利き味噌は、そのまま食べ比べたり、蒸し野菜や点心と一緒に味の変化を楽しんだりできます。チーズのような味のみそだまが、やみつきに……お酒が飲みたくなる味噌です。

この日のメインは二種類の麺から選べました。こちらは「焼き茄子とすんきの米麺」。しいたけ出汁と底引き溜まりのスープに、じっくり火を通した茄子とすんきをトッピングした、酸味と辛味を楽しめるあっさりとした麺です。

そしてこちらはインパクト大の「発酵ボルシチ風米麺」。乾燥野菜の出汁に炒めたビーツ、ザワークラウトの漬け汁で旨味を出して、隠し味は乳酸菌発酵のキノコの漬け汁。ポテトフリットがいいアクセントになって、見た目の面白さ、派手さに反して、酸味を層にしたようなジェエントルな味わいでした。

デザートは、酒粕と米麹で醸した酒粕甘酒をベースにしたフルーツグラタン。乳酸菌発酵したお米とレモン果汁でマリネしたイチジク、パイナップル、柿、みかんが添えられています。これが、本当に砂糖を使ってないの? という甘さ。

ここまでペロリと発酵を味わい尽くし、お腹いっぱいでもなんだか軽やか。好奇心も刺激され、食後は料理をしたくなりました。

精進発酵ランチコース

提供時間/11:30〜14:00 水曜定休
価格/¥2,500
※小倉ヒラクによる解説付きコースは金曜限定
*ランチコースの内容は時期により変わります
※現在は予約のみ受け付け。
https://hakko-department.com/lunch/

イートインコーナーからキッチンのほうを見やると、発酵中の謎の瓶がずらりと並んでいます。

かもすぞー(©︎もやしもん)とオリゼーの声が聞こえたような気がしました(ビールを飲んだせい?)。

発酵デパートメント

住所/東京都世田谷区北沢2-36-15 BONUS TRACK内
URL/hakko-department.com
Instagram:@hakko.department

Profile

井上千穂Chiho Inoue ウェブ・コンテンツ・ディレクター。『Numero TOKYO』創刊に参加し、エディターとして主に特集を担当。2011年に卒業後、ウェブマガジン「honeyee.com」「.fatale」の副編集長をつとめ、19年よりNumero TOKYOへ出戻り。外出自粛生活を機に念願のクラシックギターを購入。映画『ビフォア』シリーズのセリーヌ(ジュリー・デルピー)と『はじまりのうた』のグレタ(キーラ・ナイトレイ)のような弾き語りを理想に掲げ、イメトレには余念がない、二児の母。

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