Kōki,と巡る、5月のバラとシャネル Nº5と Vol.2 | Numero TOKYO
Beauty / Feature

Kōki,と巡る、5月のバラとシャネル Nº5と Vol.2

Rose de Mai(ローズ ドゥ メ)の収穫が行われる5月の中旬。私たちはシャネル ビューティ アンバサダーのKōki,さんと一緒に南仏・グラースを訪れました。南仏の太陽の光を浴びて可憐に咲くピンクのバラは、Nº5になくてはならない花。5月のバラとNº5が織りなす物語をKōki,さんと辿ってみます。第二回目はシャネル 専属調香師、オリヴィエ ポルジュさんへインタビュー。

Kōki,とオリヴィエが解き明かす、香水の“美しさ”とは?

まるでフランス映画に出てくる俳優さんみたいな端正な佇まいの男性が、シャネル4代目専属調香師のオリヴィエ ポルジュ。3代目専属調香師であるジャック ポルジュを父に持ち、幼い頃から香りに親しんだ彼は、抜きん出たアーティスティックな感性と才能で常に注目される存在です。

Kōki,さんがオリヴィエにインタビュー(彼女の流暢なフランス語にオリヴィエは大喜び!)。

Kōki,「香りを作る過程でどんなステップが好きですか?」

オリヴィエ「香りを作る最初のステップがとても好きです。柱となるアイデアを見つけて、そこからストラクチャーを考えていくという」

Kōki,「フレグランスの“美しさ”とは?」

オリヴィエ「香りはときには手段。纏う女性に“美しさ”を添えてくれます」

Kōki,「記憶に残る香りはなんですか?」

オリヴィエ「パリに住んでいたのですが、子どもの頃、夏になると毎年南仏に来ていました。花や草、夏の終わりの干し草の香り…この南仏特有の香りをよく憶えています」

Kōki,「恋人に贈りたいフレグランスは?」

オリヴィエ「シャネル Nº19が好きです。香りはパーソナリティを表現する、ひとつの“約束のかたち”だと思うんです。話し方や動き方と同じで、自分の個性を表現するためのもの。それがとっても、フレグランスの美しいところだと感じるんです」

シャネル Nº5は世界でもっとも美しい花束

「シャネル Nº5は世界でもっとも美しい花束。なぜならば、世界で一番プレシャスな花のエッセンスを使用しているから」と、オリヴィエは教えてくれました。「Nº5のキーとなる花は、ローズ ドゥ メとジャスミン、イランイランです。グラースで収穫するローズ ドゥ メは、ヴェルヴェットのようになめらかでハチミツのような豊かな甘さがあります。8月から10月にかけて開花するジャスミンも、ローズ ドゥ メと同じくグラースの畑で栽培され、繊細でセンシュアルな香りを放ちます。また、コモロ諸島産のイランイランはエキゾティックですが、抽出方法によって非常にフレッシュで弾ける洋梨のようなフルーティさとクリーンな爽やかさに。1920年代にして、特別な花が奏でるこの美しい香り…当時いかに“今までなかった”フレグランスとして人気に沸いたかが理解できます」(オリヴィエ ポルジュ)

Nº5は初めてクチュリエが世に出し、大きな成功をおさめた香水。1921年に初代の調香師 エルネスト ポーとマドモアゼル シャネルによって生み出されました。グラース産のジャスミンやローズ ドゥ メをはじめとし、80種類以上もの天然香料に合成香料の「アルデヒド」を大胆に組み合わせた──つまり、天然香料と合成香料が共存する香水の新時代の幕開け。

香水が「Nº5以前」と「Nº5以後」とに分けられるほどに、香りの世界に革命を起こしたと専門家たちは語り継ぎます。

今でも約100年前に誕生した当時と同じ香りを私たちが楽しめるのは、畑からボトルに至るまで、すべての工程においてクオリティを保つためのシャネルの努力があるから。職人技やオートクチュールを尊ぶメゾンだからこそ、ファッションだけでなくフレグランスの原料までも畑から管理された“オーダーメイド”。この贅沢なクリエイションによって創られている香水だからこそ、Nº5は時代を超えたタイムレスな香りなのだと改めて実感しました。伝統が現代へとしっかり受け継がれ、芸術的な手仕事によって生み出されたアートだと再確認できた旅でした。

Photos : Chanel Edit & Text : Hisako Yamazaki

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