Culture / Post
Numero TOKYOおすすめの2018年11月の本
あまたある新刊本の中から、ヌメロ・トウキョウがとっておきの3冊をご紹介。
『愛なき世界』
著者/三浦しをん 価格/¥1,600 発行/中央公論新社愛を傾けることの意味と価値を描く青春群像劇
愛の概念をもたない植物の研究にすべてを捧げる大学院生と、彼女へ想いを寄せる洋食屋の見習い。二人の恋の行方と、研究室のゆかいな変わり者たちの姿を通し、多様な愛の形を描き出す。ひたむきに生きる人々の物語を、優しい眼差しで紡ぎ続ける著者の真骨頂。『ジャック・オブ・スペード』
著者/ジョイス・キャロル・オーツ
訳者/栩木玲子
価格/¥2,300
発行/河出書房新社
ノーベル賞候補とされる巨匠が暴く、人間の本質
「紳士のためのスティーブン・キング」と称される人気作家でありながら、覆面作家としてノワール作品を発表し続ける主人公。盗作疑惑で告発されたことを機に、彼の理性と本性の境界がゆらぎはじめる。人間の「善」と「悪」の不確かさを描く、異色ミステリー。
『あのころ、天皇は神だった』
著者/ジュリー・オオツカ
訳者/小竹由美子
価格/¥2,300
発行/フィルムアート社
新訳で蘇る、フォークナー賞作家のデビュー作
戦時中の米国で、強制退去により追われた日系人一家の姿を描いた本書。収容所での暮らしや、息を殺しながら生きる戦後の日々の描写は胸をえぐると同時に、我々の祖先が他国の誰かの心を同様に傷つけた歴史を突き付ける。戦争の意味を静かに問う、不朽の名作。
Text:Miki Hayashi Edit:Sayaka Ito