今世紀最大の衝撃作品、ロバート・ダウニー監督の『パトニー・スウォープ』が7月22日に公開
今年、観るべき映画のひとつにあげたいのがこちら1969年に製作された「パトニー・スォープ」。アメリカ社会に蔓延るマイノリティや黒人差別を、痛烈な風刺とともに描いた衝撃作です。
第一印象は、すごい挑戦的な映画、ということ。今でこそ表面化したBlack Lives Matterにはじまり、男尊女卑やモラルハラスメント、若年層のエロティシズム描写、宗教や民族への冒涜、フリークスといった当時の社会が“裏側”におしやろうとしていた箇所に光をあて、スピーディにコミカルに、たっぷりの風刺をこめて挑み描かれている。モノクロ映像とカラー映像がテンポよく入れ替わり、音楽や効果音も絶妙なタイミングで使われていて、目が離せない80分となっています。
69年は、間違いなくいまよりも閉鎖的で偏見に満ち溢れていた社会だったのに、そんな時代にこの衝撃作品を世に送りだす姿勢は、カウンターカルチャーに立ち位置を決めた映画界の異分子と言わざるを得ない。そんなアウトサイダーとして人生をまっとうしたロバート・ダウニー監督は昨年7月にこの世を去った。彼の息子でありハリウッドスターのロバート・ダウニー・Jrは父の死に際し、ハリウッドに組せずインディペンデントにこだわった父親について「彼はアメリカ映画界における偉大なる真の異端児だった。」と最高のエールで亡き父親の人生に言葉を添えている。
1969年に製作された『パトニー・スウォープ』が全米映画ファンの間で新たに注目を浴びるきっかけとなったのは、2016年に ナショナル・フィルム・レジストリーに選出され、その後マーティン・スコセッシが設立したフィルム・ファンデーションとアカデミーフィルムアーカイブによって2019年にデジタル復元がなされたことに端を発す。また復元は、優れた映画を後世に残すことを目的として設立されたジョージ・ルーカス・ファミリー・ファンデーションの資金援助も得ているというから、映画界では後世に残すべき重要作品として大切に扱われた経緯がわかる。
また『パトニー・スウォープ』はジム・ジャームッシュやポール・トーマス・アンダーソンなど多くの映画作家に影響を与えている。特にポール・トーマス・アンダーソンは本作品を、生涯もっとも影響を受けた作品の一つに挙げている。アンダーソンは作品『ブギーナイツ』で、ドン・チードルが演じるバック・スウォープというキャラクターを創造し本作へのオマージュとしたり、最新作『リコリス・ピザ』で第94回アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞3部門にノミネートされた際には「ロバート・ダウニーに捧ぐ」という献辞でスピーチを締め括り、ファンとしての敬意も表現している。
当時では考えられないほどにインパクトあるこの映画が、今の社会に受け入れられ、風刺の裏に描こうとした真のメッセージが歪まずに届いていくことを願わずにはいられない。ぜひ、この機会に『パトニー・スウォープ』をご覧いただきたい!!
7月22日渋谷ホワイトシネクイントにて公開です。
「パトニー・スウォープ」-デジタル・レストア・バージョン-
監督/ロバート・ダウニー
主演/アーノルド・ジョンソン
原題/Putney Swope 1969年/アメリカ映画/上映時間 85分/白黒・カラー
提供/RIPPLE V 、3DAP Japan LLC
配給/RIPPLE V
公式ホームページ/https://putneyswope.jp
公式 facebook/https://www.facebook.com/putneyswope.jp
公式 twitter/@putneyswopejp
公式 instagram/@putneyswope.jp