没後30年を迎えるキース・ヘリングを訪ねて、中村キース・ヘリング美術館へ
1990年2月16日にエイズによる合併症のため31歳という若さでこの世を去ったキース・ヘリング。今年で没後30年を迎えるキースが、混沌とした80年代のニューヨークを駆け抜けたその足跡を辿ろうと中村キース・ヘリング美術館『キース・ヘリング:エンドレス』展に足を伸ばしてみました。
館内に入ると、長い廊下の壁面にキース・ヘリングの描いたドローイングが出迎えてくれます。『闇へのスロープ』と題されているこの廊下は、ネオンアクティビスト団体ACT-UPにより製作されたカラフルなネオンを飾り、LGBTQコミュニティの多様性を象徴しているそうです。LGBTQという言葉が一般的ではなかった時代、キース・ヘリングの生前を思わせます。
サブウエィで描いていたストリートアートのドローイングに端を発し絵画、彫刻、壁画作品などで現代美術シーンに頭角を現したキース。アンディ・ウォーホルの薦めでポスター制作などの商業的な分野へも挑戦。80年代には来日も果たしていました。
死が迫った直前まで描き続けたとされる無限のエネルギーを放つ<ラディアント・ベイビー>。そちらをネオンチューブで蘇らせた1点。
こちらの『闇の展示室』の中央に飾られているのがブロンズに白金箔で象られた<オルターピース:キリストの生涯,1990>。
1990年キース最期に制作された作品で、三連の教会祭壇画(オルターピース)には聖母子像や天使がヘリングの線画で刻まれています。
『闇の展示室』に飾られているドローイングは、キース・ヘリングの深部にある闇と社会がもつ闇がオーバーラップして描かれているようでした。
文化や宗教、人種や性別を超え、自由に心の解放を願うキースの叫びにも似た作品群です。
当時、親交のあったGrace Jonesも飾られています。
キースの女性礼賛図<Untitled (Felitility/受胎能力)1983>
『希望の展示室』にはカラフルな<The Dancing Figures,1989>や
子供たちが自由に物語を想像できるように描かれた<赤と青の物語,1989>が展示されています。
注目なのがこちらの4部作
Andy Waholと合作で仕上げられているので、ダブルサイン!
キース・ヘリングがデザインしたグッズを販売する<ポップショップ>を1988年、東京にオープン。その際の足跡も飾られています。
ピーター・バラカンさんとの1ショット。来日時に多くのメディアに取り上げられたようです。ポップショップは、現在のポップアップ・ショップで、先取りですね!
体調を崩した際にもらったお薬まで!
彼が言うと説得力があります。
惜しまれてこの世を去ったキース・ヘリング。
88年にエイズであることを知らされたキースが残した言葉。そのうちやってくるである最期のときを、受け入れようとするもがきのようにも、また達観しているようにも感じました。
ミュージアムショップ横の部屋に置かれたキースヘリング集には、エイズだとわかった時の話や、同時代を生き、親交のあったジャン=ミシェル・バスキアとのくだり、この時代のニューヨーク現代アートシーンが描かれていました。
*本はここでは販売していません。
『キース・ヘリング:エンドレス』展
会場/中村キース・ヘリング美術館
会期/〜21年1月11日まで
nakamura-haring.com/
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