バッハやベートーベンをはじめとする音楽家や、作家や哲学者たちの遺品を写したシリーズ『Apokryphen』、薄明かりの下に無造作に置かれるベンチを写したシリーズ『Bank』など、日本初公開となる作品を16点展示する今回の展覧会。それぞれの作品において被写体は、静かな空間のなかでじっと佇んでいる。しかし、その作品のひとつ一つをじっと眺めていると、声なく被写体が語りかけてくるように感じられないだろうか。いまや人の手を離れ、博物館に陳列された眼鏡や器は、自らの存在を誇張し、くたびれたベンチは光の向こう側へと這って進もうとしている。まるで生きているかのように……。
観る者にその解釈を委ねる、リカルダの写し出した痕跡の数々。語られるストーリーに、あなたは何を見るだろう? 何を聞くだろう?
リカルダ・ロッガン “SPOT”
会期/2015年9月1日(火)〜 11月28日(土)
会場/アンドーギャラリー 東京都江東区平野3-3-6
時間/11:00〜19:00
休廊日/日・月・祝日
TEL/03-5620-2165
WEB/www.andogallery.co.jp
Text: Kahlua Tsunoda