
60年代末から始まった戦後日本美術における重要な動向「もの派」を理論と実践で牽引したアーティスト、李禹煥(リ・ウファン)。東京・谷中のSCAI THE BATHHOUSEでは4年ぶりとなる個展が開催中だ。
「もの派」の重要な作家のひとりとして知られ、50年以上にわたり精力的に制作を続ける李禹煥。2022年に国立新美術館で開催された大規模回顧展が話題を呼んだことも記憶に新しい。
(参考)「もの派」を代表するアーティスト、李禹煥の大規模回顧展 @国立新美術館
本展では、素材の物質性に着目して立体と平面を横断するその仕事を、1970年代から2026年までのドローイングと彫刻を通して紹介。1970年代後半から80年代初頭にかけて紙に木炭や水彩で描かれたドローイングは、反復する行為の痕跡によって時間の経過を示す同時期の代表作『線より』や『点より』との連関を想起させる作品ものだ。
絵の具や木炭といった画材や支持体である紙を、伝統的な芸術における表象や意味の領域から解放し、それらのものとものとしての関係を現前させる李の絵画は、さまざまな相互関係が画面を越えて、展示空間やそこに佇む私たちにも開かれていくようである。

すべては相互に関連しあっているという世界観は、李の彫刻にも通底する。本展で紹介する『関係項』は、作家の恣意的な表現を極力排しながら、自然や人工の素材を空間に配置する立体作品のシリーズだ。李の作品に繰り返し現われる石と、異なる形状の鉄が組み合わせられ、ものともの、ものと人、ものと場所との関係を問いかける。

ベニス、ニューヨーク、アヴィニヨンの3都市と同時期開催となった本展。あらためて日本で李禹煥作品の魅力に触れられる機会だ。会期は10月10日(土)まで。
※掲載情報は8月25日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
「李禹煥 : Work on Paper / Sculpture」
会期/2026年8月4日(火)〜10月10日(土)
会場/SCAI THE BATHHOUSE
住所/東京都台東区谷中 6-1-23
時間/12:00〜18:00
休廊/日・月・祝日
URL/www.scaithebathhouse.com/ja/
Text:Akane Naniwa
