
日本からヨーロッパへの旅路は、距離があるからこそ移動時間をいかに快適に、そして安心して過ごせるかが旅全体の充足度を大きく左右する。数ある航空会社の中で、イギリスの航空格付け会社スカイトラックスのランキングにおいて「北欧のベストエアライン」として15回連続で頂点に輝いているフィンランドのフラッグキャリア「フィンエアー(Finnair)」は、まさにその理想を叶えてくれるエアラインだ。
今回、年間50回以上飛行機に乗る旅好きライターが、実際にフィンエアーの最新ビジネスクラスを利用してわかった「欧州旅行のベストな選択肢」となる理由を紐解く。
日本から欧州への就航数が最大級。羽田発の深夜便で、翌朝には欧州の各都市へ

今回の旅のスタートは東京・羽田空港から。私が利用したのは羽田空港を21:50に出発し、ヘルシンキに現地時間の翌日4:40に到着する深夜便だ。仕事終わりにそのまま空港へ向かえるため、タイムパフォーマンスが良い。

さらに、フィンエアーはヘルシンキ空港を経由拠点として幅広いネットワークを提供しており、日本からの直行便がない欧州各都市へもスムーズにアクセスできる。日本からの就航数(羽田・成田・関西・名古屋)も欧州系航空会社として最大級で、このスケジュールの良さと圧倒的なネットワークこそが、第一の魅力といえそうだ。
また、フィンエアーはワンワールド・アライアンスに加盟しているため、上級会員やビジネスクラス利用者は、搭乗までの待ち時間にJAL(日本航空)のサクララウンジで過ごせるのも大きなメリットだ。食事やアルコール類の提供があるのはもちろん、シャワールームも備えられているので、フライト前にリフレッシュできるのは大変ありがたい。
まるで空の上のリビング!? マリメッコに包まれる革新的なシート「AirLounge」

フィンランドといえば、デザイン大国。フィンエアーは、シートのデザインやキャビンアテンダント(以下、CA)の制服、アメニティなど、細部に至るまでデザイン性が高い。北欧好きなら、搭乗した瞬間から、そのスマートな設えに心がときめくはずだ。

私が搭乗した羽田発の深夜便は、最新世代のエアバス A350-900型機。ビジネスクラスも、新型シートの「AirLounge(エアラウンジ)」を採用している。各席に扉はないものの、シェル構造のため座ったときに周りの視線が気にならず、プライベート感がある。

特筆すべきは、背もたれが倒れるリクライニング機能を削ぎ落としていること。最初は「リクライニングしないシート?」と驚いたが、包み込まれるような広い空間の中で、備え付けのクッションを使い、足を伸ばしたりあぐらをかいたりと、ソファでくつろぐように自分の一番楽な姿勢を見つけることができる。何事も合理主義なフィンランド人の国民性が表れたシートだ。

就寝時にはそのまま広いフルフラットのベッドへと体位を変えることができ、まるで「自分専用のリビング」にいるようなプライベート感が高まる。さらに就寝時には、着席時とは異なるシートベルトも用意されており、こういった安全性への配慮にも好感が持てた。

さらに気分を上げてくれるのが、フィンランドを代表するブランド「マリメッコ(Marimekko)」とコラボレーションした限定アメニティだ。アイマスクやポーチ、スリッパやブランケットには、アイコニックなテキスタイルが採用されており、アメニティキットはギフトとして持ち帰ることもできる。
日系並みの安心感! フィンランドの食文化も反映したノルディックな機内食

外資系エアラインに乗る際、言葉の壁やサービスの違いに少なからずストレスを感じることはないだろうか。フィンエアーが高く評価される理由に、日本人CAが多く乗務していることも影響しているように思う。

日本発着便の多くには日本人CAが乗務しており、そのサービスレベルは日系エアライン並みに行き届いている。ウェルカムシャンパーニュのサービス、機内での細かなリクエストや、食事のタイミングなど、母国語でニュアンスまで伝えられる安心感はこの上ない。

そして何より、機内食でも北欧、フィンランドの文化を感じられるのが嬉しい。食事の始まりを告げるのは、北欧らしい黒いライ麦パンや、噛みしめるほどに小麦の甘みが広がるロールパン。温かい状態で提供される質の高いパンこそが、フィンエアーのホスピタリティの象徴でもある。

ビジネスクラスのメニュー表には、和と北欧の食文化が融合したラインアップが並ぶ。例えば前菜は「スモークサーモンとカブのロースト」と「あべ鶏の香味蒸しと焼きナス」、選べるメインは「鰤のかんずり味噌焼き」や、サンショウの香りを効かせた「牛肉のすき焼き風」、「ほうれん草とリコッタチーズのカネロニ」など。

しかもカップやグラス、器はフィンランドブランドの「イッタラ」なのだから、心が躍る。食後のデザートには、ピスタチオバニラソースを添えたカヌレや、シナモン香るリンゴのシブーストを。フィンランドの老舗ティーハウス「Nordqvist(ノードクヴィスト)」も用意されており、日本人の舌に寄り添うクオリティの高い料理で、北欧のエッセンスも感じられる食体験になっている。

ヘルシンキ到着前の朝食は、チャイブが香るふんわりとしたスクランブルエッグに、厚切りのベーコン、マッシュルーム、そして彩り豊かなラタトゥイユ。フィンエアー名物のブルーベリージュースに、温かいパン類、みずみずしいフルーツやヨーグルト、ハムとチーズを添えたコンチネンタルなワンプレートは、これからの滞在に向けて身体を内側から目覚めさせてくれるようだ。
アルコールセレクションも白眉だ。フィンランドの森で手摘みされたベリーから作られる「Ainoa(アイノア)」のベリーワイン、リンゴンベリーやハニー、メドウスイートが醸し出す「Kaste(カステ)」、フィンランドを代表する蒸留所「Kyrö(キュロ)」のジンを使ったシグネチャーカクテル「Northern Blush」など。ハッリ・コスキネンがデザインしたイッタラの「ウルティマツーレ」のグラスウェアで供される特別感も、格別だ。
本格サウナやフィンランドの名物料理が充実! 北欧デザイン満載のヘルシンキ空港のラウンジ

ヘルシンキ空港は欧州のハブ空港でありながら、コンパクトで機能的な設計により最短35分という乗り継ぎのスムーズさを誇る。それでいていたるところにアルヴァ・アアルトやエーロ・アールニオといった巨匠たちの家具が配され、空港としては世界初のセカンドハンドショップが構えるなど、見どころも満載だ。そして、フィンエアーのラウンジもかなりの充実ぶりなので、ワンワールドの上級会員や、ビジネスクラス利用者はぜひともゆったりと過ごしたい。

フィンエアーのラウンジは、アルテック(Artek)などの名作家具が配置され、フィンランドの自然を思わせる木目やアースカラーで統一された居心地の良い空間だ。ビュッフェには新鮮なサラダや温かい北欧料理が並び、小腹を満たすだけでなく、しっかりとした食事まで堪能できる。

特筆すべきは、非シェンゲンの上級会員ラウンジ「Platinum Wing(プラチナ・ウイング)」の存在だ。なんとここには、空港内ながら本場のフィンランド式サウナが完備されている。

黒を基調とした落ち着いたサウナ室で、熱したストーンに水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」まで楽しめる本格派。長時間の移動で凝り固まった身体をサウナでほぐし、よく冷えたドリンクで喉を潤す……。これぞ欧州旅でフィンエアーを選ぶべき理由の一つだ。
フィンランド観光も満喫。最大5日間滞在できる、ストップオーバー

さらに、日本とヨーロッパの往復フライトを予約している場合、最大5日間ヘルシンキでストップオーバー(途中降機)できる。空港からヘルシンキ市内までは電車で約30分とアクセスも抜群のため、ショートトリップに最適だ。

ヘルシンキは街がコンパクトで歩いて回りやすく、治安も良く、カフェや博物館、ショッピング施設やサウナも充実しており、女性の一人旅にも向いている。また、キャッシュレス決済が浸透しており、地下鉄やバスなどの公共交通機関もクレジットカードのタッチ決済で乗車できるため、短期間の滞在なら現金を下ろさないで過ごすことができるほど。
北欧デザインと温かなホスピタリティに包まれるフィンランドの翼

日本夜発・現地早朝着で日本とヨーロッパを効率よく結ぶという圧倒的な合理性を備えながら、一歩機内に足を踏み入れた瞬間から北欧の美しいデザインと温かなホスピタリティに包まれるフィンエアー。次のヨーロッパへの旅の翼に選んでみては。
取材協力:フィンエアー
URL/www.finnair.com/jp-ja
Photos & Text:Riho Nakamori
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