usagi bon ごはん vol.121 白魚と小松菜 | Numero TOKYO
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usagi bon ごはん vol.121 白魚と小松菜

アーティスト河原シンスケがプロデュースする「usagi」監修の、レストラン「Univers S.」シェフ今平慎太郎の料理をわが家に。旬の食材や一皿にまつわるエッセイとともに送る、五感で楽しむビューティフードの秘伝レシピ連載「usagi bon ごはん」。第121回は、白魚と小松菜。

白魚と小松菜

醤油を味噌に変えたり、小松菜を三つ葉や長ネギなどお好みの卵寄せにしてください。

【材料】 4人分

白魚 200g
卵 3個
小松菜 1束
精進出汁 600ml(※レシピはこちらを参照)
日本酒 50ml
醤油 大さじ1
精製していない塩 5gぐらい

【作り方】
1. 白魚は洗って水気を切る。
2. 小松菜は3cmほどの長さに切る。
3. 精進出汁に日本酒、醤油、塩を入れ、ひと煮だちさせたら、1の白魚、2の小松菜を入れて煮る。
4. 3に割りほぐした卵を、全体に流し入れ火を止めて、蓋をして約3分ほど蒸らす。
5. 4を器に盛り、上から一味唐辛子ふる。

優しい味わい

個人の見解かもしれないが、日本の味付けがどんどん濃くなっている気がする。汗を沢山かく労働者の人達は塩分補給の為もあって、自然と身体が定食屋の濃いめの味を欲するのは昔からポピュラーで、それは理にかなった自然なものだ。そうでは無くて、何もかも、どこもかしこも味付けが濃いめ。其々の素材の美味しさも季節の香りもわからない程で、一口目は美味しいかもしれないが、舌は一口一口、味が重なって口の中側は忙しく反応して暴れまくっているようだ。それが当たり前の日常になると、味わうという事が鈍感になって繊細な味がわからなくなっていく。

外国の人達にとってライスは付け合わせの野菜と同じなので、そこにはソースが必要で、日本食の時にもご飯にソースや、醤油をかける光景を見かける。すると「米の味がわからないのか?」なんて偉そうに言う日本人もいるけれど、日本の日常の惣菜も凄く味が濃く、そんな繊細な事を指摘出来る立場では無くなって来たように思う。

白魚と小松菜とふわふわの卵に精進出汁。日本の繊細な優しい味わいが無くならないことを祈るばかり。

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Art Work & Text:Shinsuke Kawahara Photo & Food Direction:Shintaro Imahira Edit:Chiho Inoue

Profile

河原シンスケShinsuke Kawahara 80年代初頭よりパリを拠点に活動するアーティスト/クリエイティブディレクター。エルメス、ルイ・ヴィトンやバカラをはじめ、数々のブランドや雑誌とのコラボレーションでも知られている。(Photo: Keiichi Nitta)
今平慎太郎Shintaro Imahira 1974年、北海道出身。旭川、札幌のホテルで修行を積み、2014年札幌国際芸術祭のガラディナーで河原シンスケと初コラボレーション。17年の「usagi tokyo」立ち上げのため、上京しシェフに就任。19年2月札幌にレストラン「Univers S.(ユニヴェール エス)」をオープン。 Instagram/@univers.s.2019(Photo: Ayako Masunaga)

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