いま買うべきアーティスト、教えます vol.2 住吉智恵 | Numero TOKYO
Art / Feature

いま買うべきアーティスト、教えます vol.2 住吉智恵

初めてアートを買いたい人、新たな作品に出合いたい人必見! 長年アートを見続けているクリエイターやライター、ギャラリーのディレクターたちが注目するアーティストを紹介。作品は3~100万円のものまで。あなたの心にささる作品を見つけてみて。きっと楽しい景色が待っているはず。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年6月号掲載)

Navigator 02|アートプロデューサー、ライター 住吉智恵

『Holobiont―Hoppípolla』(2021) 陶土 釉薬 ¥165,000
『Holobiont―Hoppípolla』(2021) 陶土 釉薬 ¥165,000

自然界のあらゆる生命の可能性を心ゆくまで想像してほしい
「自分で選んだ作品を日々愛でることは、植物や動物などの生きものを育て慈しむ感覚とも似ているところがあるかもしれません。大小島真木は生きとし生けるものが複雑に絡み合いながら生態系をつくり、自然界のあらゆる生命が無限に連鎖する環世界のイメージを縦横無尽に描きます。その想像力は深海や宇宙にまで広がりを見せ、既成の絵画の領域に収まらず、壁や床、天井、中空へと増殖するスケールの大きな作品にも驚かされます。ありったけの想像力を駆使して伴走したいアーティストの一人です」

【大小島真木|おおこじま・まき】
現代美術家。1987年生まれ、東京都出身。異なるものたちの「環世界」、その「あいだ」に立ち、絡まり合う生と死の諸相を描くことを追求している。インド、ポーランド、中国、メキシコ、フランスなどで滞在制作。14年にVOCA奨励賞を受賞。17年にはアニエスベーが支援するTara Ocean 財団が率いる科学探査船タラ号太平洋プロジェクトに参加。主な参加展覧会は「コロナ禍とアマビエ」(22年、角川武蔵野ミュージアム)など。http://www.ohkojima.com/top.htm

『KIOKU NO KATACHI』(2022)
『KIOKU NO KATACHI』(2022)

偶発的な気づきや引っかかりが別の場所へと意識を運んでくれる
「グラフィティをベースに、ドローイング、スプレーやコラージュを用いたペインティング、廃棄物を使ったオブジェ、テキスタイルワークなどを制作するNAZE。ストリートカルチャー出身の作家のなかでも卓抜したヴィジュアルセンスから弾け出る色や形の魅力はもちろん、近年では心の中に湧き上がる言葉を自身に言い聞かせるように書き入れた作品に心惹かれます。ローマ字で綴られたシンプルなフレーズは、直感でなく脳内でいったん音読するプロセスを経て、そこから人の生き方や社会のイシューへと広がり、自身の思考や感情に向き合うことを促してくれます。その世界は知的で刺激的です」

【NAZE|ナゼ】
1989年生まれ、茨城県出身。グラフィティカルチャーをベースに、触覚的な筆致で描かれるドローイング、スプレーやコラージュを用いたペインティング、廃棄物を使ったオブジェ、テキスタイルワークなどの作品を制作している。近年の主な展覧会は「Flowers」(20年、FINCH ARTS、京都)など。Instagram@naze.989

※価格は4月8日現在のものです。

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Text:Saki Shibata

Profile

住吉智恵Chie Sumiyoshi 東京都生まれ。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。1990年代よりアートジャーナリストとして活動。2003-15年 オルタナティヴスペース&カフェバーTRAUMARISを主宰。現在も各所で展覧会やパフォーミングアーツの企画を手がける。16年より子育て世代のアーティストとオーディエンスを応援するプラットフォーム「ダンス保育園!!」実行委員会代表。18年よりバイリンガルのカルチャーレビューサイト「RealTokyo」ディレクター。©︎MP・Risaku Suzuki
www.realtokyo.co.jp

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