森本啓太個展「After Dark」開催中＠KOTARO NUKAGA

16歳でカナダに移住し、絵画制作を学んだ森本啓太。なかでも古典絵画の技法や構図に関心を持ち、バロック期の絵画のような光の表現と、現代社会の日常的な風景をモチーフとして組み合わせる作品を描いてきた。ありきたりな風景の中にある美しさや、何者でもないものが主人公になるという、独自のナラティブを生み出す手法「マジックリアリズム」の系譜に位置づけられながらも、現代社会を見つめる森本ならではまなざしは、見るものに新鮮さを与える。 本展では新作ペインティング21点が公開。美術史の中でも人々を魅了してきた「光」というモチーフを、現代の消費社会の中で人々を惹きつけるものにまで拡張し、捉えたという。それは自動販売機やファーストフード店、駐車場の電飾サインなどとさまざまで、21世紀の日常的な経験を描き出している。

森本はこうしたアノニマスな場所に光を当て、どこかで見た風景のようであり、どこでもない場所を生み出している。その闇と光のコントラストによって、一時的に私たちが現実世界から逃げ込める場所「ヘテロトピア（他なる場所）」をつくり出しているのだ。
現代社会において多くの人が生きづらさを感じているなか、森本の絵画はそういったある種の「生きづらさ」から軽やかに逸脱してみせているといえるだろう。注目の展示は、12月25日（土）まで。お見逃しなく。

　※掲載情報は12月1日時点のものです。
　開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

森本啓太「After Dark」
会期／2021年11月20日（木）〜12月25日（土）
会場／KOTARO NUKAGA
住所／東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F
時間／11:00〜18:00
休廊／日・月曜、祝日
URL／www.kotaronukaga.com