今すぐ聴くべき、メロウでチルな韓国R&Bとヒップホップ! 大人のためのK-POP入門(最終回)
韓国でミュージシャンとして活躍し、現在は、ラジオパーソナリティやK-POPの日本語ボーカルディレクションなどを手がける、NICE73(ナイスナナサン)をナビゲーターに迎えた「大人のためのK-POP入門」。これまでK-POPアイドルを中心にご紹介しましたが、最終回は、オルタナティブシーンにも名を馳せる、韓国のR&B、ヒップホップ、ロックなどの若手実力派ミュージシャンをご紹介します。メジャーとインディシーンを横断し、韓国のみならず世界からも注目されている彼ら。最新の韓国音楽シーンを知りたいなら、今すぐチェックを!
韓国のR&B / ヒップホップシーンのディグり方
音楽番組に出演するメジャーなK-POPアイドルのほかにも、韓国の音楽シーンを深く知りたい! そんな方におすすめなのは、この連載の第3回でも紹介したヒップホップサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』や、『AOMG』『H1GHER MUSIC』など有名レーベルのコンピレーションから好きなミュージシャンを見つける方法です。ヒップホップやR&Bのミュージシャンは、近いテイストのミュージシャンをフィーチャリングしていることが多いので、好きな楽曲に参加しているミュージシャンを辿るとお気に入りの一曲が見つかるはずです。
もうひとつはインスタグラムの活用です。お気に入りのミュージシャンのアカウントをフォローすると、ストーリーで友達のミュージシャンの新譜が紹介されていたり、誰と打ち合わせしたか、メンション付きでポストされていることもあります。特にインディーズのミュージシャンは、自らプロデューサーにコンタクトして次の作品に繋げることもあるので、メンションされたプロデューサーを辿ると、面白い音楽に出会えるかもしれません。
今回の「チルなR&B / ヒップホップ」では、紹介したいミュージシャンが多すぎて、名前を挙げたのはごく一部です。他にもたくさん、素敵なミュージシャンがいるので、ぜひぜひ深掘りしてみてください。
なぜ韓国には歌が上手い人が多いのか
よく、「なぜ韓国には歌が上手い人が多いのか」と質問されることがあります。日本にも素晴らしいミュージシャンがたくさんいるので、韓国だけが特別ではありませんが、考えられる理由としては、外国語だから新鮮に聴こえること、そして韓国語の発声の特性によるものなのではないかと思います。体格・骨格の違いもあるかもしれませんが、日常的に使っている言葉が、喉を鍛えている可能性があるのではないかと思っています。詳しくは私のYouTubeで解説しているので、興味のある方はぜひこちらをご覧ください。
そんなことを踏まえつつ、大人が聴きたいチルなミュージシャンをご紹介します!
BAEKHYUN(ベクヒョン)
大人気ボーイズグループ「EXO」や「SuperM」で活躍する「ベクヒョン」のソロワークです。日本盤ミニアルバム『BAEKHYUN』やミニアルバム『Bambi』も大好評ですが、おすすめは昨年リリースされた『Delight』の『Love Again』。人気シンガーでありプロデューサーの「Colde(コールド)」が作詞作曲を手掛けています。
Wonstein(ウォンシュタイン)
ヒップホップサバイバル番組『Show Me The Money 9』で注目された、「ウォンシュタイン」。彼はとにかく声が魅力的です。昨年リリースしたアルバム『ZOO』も最高ですが、まずは番組でも大好評だった『Infrared Camera』(赤外線カメラ)を聴いてみてください。
Seo Samuel(ソ・サムエル)
私が韓国のホセ・ジェイムズと呼んでいる「ソ・サムエル」は、とにかく曲がいい! 彼は2015年に『Frameworks』でデビューしたのですが、当初はヒップホップ色が強かったのですが、最近ではラップとメロディアスな歌をミックスする独自のジャンルを確立しつつあります。まず、聴いて欲しいのは、2020年リリースの『UNITY II』の『Cycle』。それから少し前の作品ですが、2016年の『window』も最高です。
Mokyo(モキョ)
「Mokyo」が昨年末リリースしたアルバム『accent friend』は全曲必聴です。まずは、人気アーティスト「DEAN」をフィーチャーした「paranoid(feat. DEAN)」を。人気のラッパーpH-1をフィーチャリングした「snipper(feat.pH-1)」も、アルバム2曲目の「Four」は、ヴェルベット・アンダーグラウンドの雰囲気を感じる1曲です。
sogumm(ソグム)
ハスキーな声が魅力の「ソグム」は、AOMG所属の女性シンガーでありオルタナティブバンド「Balming Tiger」のメンバーです。まずチェックしたい一曲は、日本でも人気のバンド「HYUKOH(ヒョゴ)」のフロントマン、オ・ヒョクと組んだ『yayou hoi』です。ZICOをフィーチャリングした『My Taste』もおすすめです。
CADEJO(カデホ)
2018年に結成された3ピースバンド「カデホ」。彼らの音楽は、ジャズ、ファンク、ヒップホップ、R&Bなど、さまざまなジャンルをクロスオーバーし、韓国国内のみならず、世界から注目されています。昨年末に韓国でリリースされた『FREEBODY』は4月に日本盤が発売されて人気が高まりつつあります。
Yerin Baek(ペク・イェリン)
10歳の頃から「バラードの天才」と呼ばれ、デュオ「15&」やバンド「TheVolunteers」でも活躍していた韓国の人気シンガー、ペク・イェリン。日本では、ドラマ『愛の不時着』の挿入歌『Here I am Again』で有名ですが、昨年リリースされた、全編英語詞のアルバム『tellusboutyourself』は、洗練されたR&Bと透明感のある歌声が最高にいい! 『不時着』ファンの方もそうでない方も、ぜひ聴いてみてください。
Stella Jang(ステラ・ジャン)
学生時代をフランスで過ごし、韓国語、フランス語、英語など多言語を操るマルチリンガルの「ステラ・ジャン」。昨年のインディーズチャートでは年間6位に入りました。今後、活躍が期待される若手シンガーソングライターの筆頭です。
PENOMECO(ペノメコ)
ITZYやNCTなどアイドルの作詞も手がける人気アーティスト「PENOMECO」。この春、『江南スタイル』でおなじみのPSYが主宰する「P NATION」に参加したことでも話題に。新しいアルバム『Dry Flower』の「Actually, Pt.2」は、親友でもあるZICOの曲「Actually」の続編です。ZICO版は、彼氏とケンカ中の女友達に告白するという内容ですが、続編では、その女友達の彼氏側の歌詞になっています。2曲合わせて聴いてみてください。
これまで4回に渡り連載した「大人のためのK-POP入門」。みなさん、無事に沼にハマれたでしょうか。今年も大型新人のデビューや、人気グループのカムバック、新曲のリリースが続々と予定されています。ぜひ、お気に入りを見つけて、推しのいる生活をお楽しみください。
Interview & Text:Miho Matsuda Edit:Chiho Inoue