野田秀樹演出『赤鬼』が問う「差別」と「偏見」 | Numero TOKYO
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野田秀樹演出『赤鬼』が問う「差別」と「偏見」

東京芸術劇場の演劇自主事業としての公演が、7月24日再開される。上演されるのは芸術監督・野田秀樹が作・演出を務める『赤鬼』だ。 『赤鬼』は、ある漁村に“赤鬼”がやってくることで、既存の世界が異なる存在によって脅かされ、揺り動かされる様子を描く作品である。見えないものを恐れる人間が「精神を暴発」させる。まさに、今、私たちが日常直面している事態そのものだ。 しかし、これは偶然の一致ではない。この『赤鬼』が初演された1996年は、HIV感染を理由に現役を退いていたNBAのマジック・ジョンソンが復帰し、日本でも前年に「薬害エイズ問題」が取りざたされている頃である。人種差別を禁じた南アフリカ共和国憲法が施行されたのも1996年だ。今、この時期に存在感を増す『赤鬼』は、ずっと“他者への想像力の欠如と不寛容”“移民や異なる人種への差別” “未知なる存在といかに共存するか”を訴えてきた作品なのだ。だからこそ、ロンドンやタイといった外国での公演も受け入れられてきたのだろう。

一部の人のものだと信じられてきた「偏見」や「差別」。こうしたテーマを、世界の多くの人が実感することになった今、私たちの方がやっと『赤鬼』をキャッチできそうになっている。私たちは、この「コロナの時代」を通して、ある意味この上ない機会を与えられようとしているのかもしれない。

野田の直筆メッセージの言葉を借りれば“「やる価値」も「見る価値」もある作品に仕上がってしまった”『赤鬼』を演じるのは、野田が演劇人の発掘・育成を目指して募集し、ワークショップなどで修業に励んできた「東京演劇道場」の道場生たち。この道場生たちをいくつかの組に分けて上演することになっている。コロナへの対応の中から生まれる化学反応を演出家は期待しているに違いない。

舞台『赤鬼』

日程/2020年7月24日(金・祝)~8月16日(日)
会場/東京芸術劇場 シアターイースト
作・演出/野田秀樹
出演/東京演劇道場生等

整理番号付自由席(税込) ※当日の入場は整理番号順となります。
前売一般 ¥5,000/65歳以上 ¥4,500/25歳以下 ¥3,500/高校生以下 ¥1,000
当日一般 ¥5,500
※未就学児入場不可
※65歳以上・25歳以下・高校生以下チケットは、劇場ボックスオフィスで前売のみ取扱い(枚数限定・要証明書)。

チケット取扱い・お問い合わせ/東京芸術劇場ボックスオフィス
https://www.geigeki.jp/t/
※24 時間受付(メンテナンスの時間を除く)
Tel/0570-010-296 (休館日を除く10:00~19:00)
※一部携帯電話、PHS、IP電話からは、ご利用いただけません。
窓口/営業時間 休館日を除く10:00~19:00

チケットぴあイープラスローソンチケット
協力/NODA・MAP
企画制作/東京芸術劇場

公演公式ページURL/
https://www.geigeki.jp/performance/theater240/

Text: Reiko Nakamura

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