アートブックの目利きが推薦するプール写真集リスト
建築として、スポーツとして、またノスタルジックな夏の思い出として、これまで多くのアーティストが魅了されてきた「プール」というモチーフ。アートブックを扱う出版社や書店の目利きたちが選ぶとっておきの一冊とは?(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年4月号掲載)
青幻舎 Recommend
スロバキアのプール施設を舞台にした建築とアートの世界
「スロバキア人の写真家、マーリア・シュヴァルボヴァーの代表作であるこの一冊は、社会主義体制下の面影を残すスロバキアの水泳施設で撮影されたもの。透明感のあるパステルカラーの色彩と幾何学的な構図には、遠い未来のようなイメージとレトロな懐かしさが同居しています。一見ポップな写真ですが、よく見るとさまざまな思索を楽しめるはず」
大学で文化財修復や考古学を学んでいた著者によるプールの写真は、世界的フォトコンテスト・ハッセルブラッドマスターズアワード2018(アート部門)を受賞。SNSでも注目を集めている。
NADiff Recommend
「金沢21世紀美術館に常設されている『スイミング・プール』など、大掛かりな空間を使った観客参加型の作品で知られるレアンドロ・エルリッヒの新作を収録した日本初の個展カタログ。「ありふれた?(The Ordinary?)」というタイトル通り、私たちの固定概念を揺さぶりながらも、親しみやすく純粋に作品を体感させてくれる仕掛けに溢れています」日常感覚を揺さぶるプール・インスタレーション。
金沢21世紀美術館での展示作品のほか、過去の主要作品、インタビューなども収録した大ボリューム。ごくありきたりなものに未知の要素や新しいアイデアを加えたレアンドロ作品の魅力が凝縮されている。
『The Ordinary?』レアンドロ・エルリッヒ ¥5,500
銀座 蔦屋書店 Recommend
世界中の写真家がとらえた普遍的なプールの美しさ
「フランス出身の写真家カリーヌ・ラヴェルの『Poolscapes』は、ヨーロッパの公共プールとアメリカのプライベートプールを被写体にしたノスタルジックな一冊。また、元デザイナーの写真家ケリー・クラインによる『Pools』には、古今東西の写真家によるプールのイメージが収録されており、プールという存在の多様な魅力が堪能できます」