【新連載】パントビスコの不都合研究所 vol.2 ゲスト 北村匠海&芳根京子
ようこそ、ここはパントビスコの不都合研究所。世の中に渦巻くありとあらゆる“不都合”な出来事や日常の些細な気づき、気になることなどをテーマに、所長のパントビスコがゲストを迎えてゆる〜くトークを繰り広げる新連載。果たして、ゲストの不都合を解決に導くことができるのか? 第二回目のゲストは、現在公開中のアニメ映画『ぼくらの7日間戦争』で声優を務める北村匠海&芳根京子。
声だけで表現することの難しさ
パントビスコ「お二人は普段それぞれ、俳優・女優として活躍されていますが、今回は声優ということで、またいつもとは違った大変さがありましたか?」
北村匠海「いやぁ、大変ですね。俳優の『俳』という字には、表現することの総称みたいな意味があるんですけど、声優はもう削いで削いで、声だけで勝負するということですし、そこに僕らは丸腰で飛び込みに行くような感覚ですね。本当にお互いを支え合いながらやっていました。完成を見るのが少し怖い部分がありましたね」
芳根京子「普段は自分自身がその役柄の服を着て、メイクをしてもらってその場所に立って…ある意味、その環境に追い詰められたからこそ出てくるものもあると思います。でも今回は、ただ目の前の映像を見て、どこまで自分がこの中に入れるだろう、ということが課題でしたね。普段環境に助けられているものを、自分の頭でつくっていかなくてはいけないっていうのは、すごく難しかったですね」
パントビスコ「なるほど。演じてみないと気づけない部分が今回見えてきたわけですね」
芳根京子「どうしても動きたくなってしまって。でも動くと音が入ってしまうので、どうしようもなく仁王立ちしていました(笑)」
パントビスコ「ちょっと次元が違うかもしれませんが、よく電話で謝っている人いますよね。(深くお辞儀をしながら)『申し訳ございませんっ!!』て。絶対に相手には見えていないのに。そういうのに似ていますよね」
北村匠海「確かに(笑)」
あのお菓子の食べ方で、大人になったことに気づく!?
パントビスコ「本作には、テーマの一つとして“大人への抵抗”というものがあると思います。そこで、お二人が大人になったな、と感じる瞬間はどんなときですか」
北村匠海「そうですね。今日本で活躍してるスポーツ選手が、もちろん良い意味なんですが、年下の選手が多くなってきたということですかね。甲子園とか見ていても、びっくりしている自分がいます!」
芳根京子「すごいわかる。駅伝とか」
北村匠海「今NBAで活躍されている八村塁さんも、同い年なんですよ。世界で闘っていて、めちゃくちゃ点を獲るあの人が同い年かぁって(笑)」
パントビスコ「そういう北村さんも、大活躍されていますけどね。芳根さんはどうですか」
芳根京子「大人になったなと思う瞬間…。些細なことでいいですか? あの、お出汁が好きになリました(笑)。今まで母が丁寧に出汁をとっていたのを見ていましたけど、あれがいかに大事かっていう。こんなに料理のコクが変わるんだって気付いたときに、『あ、大人』って思いました(笑)」
パントビスコ「大人を通り越して、40歳くらいですよね」
芳根京子「そうかもしれません(笑)」
パントビスコ「大人になっておいしいものをたくさん食べられるようになったというのもありますよね」
芳根京子「味覚が変わるのも大きいですよね。ピーマンとかゴーヤを食べられるようになったとか」
パントビスコ「あ、僕にも聞いてもらっていいですか。僕は、『コアラのマーチ』を絵柄を見ないで食べるようになったとき」
北村&芳根「あ〜!!!(同意)」
パントビスコ「小さい頃は、絵柄を一個一個見ていたのに、気づいたらそのまま食べていました」
芳根京子「わかるなぁ〜! 『おっとっと』とか。なんでしたっけ、動物の形の…」
北村匠海「『たべっ子どうぶつ』! あれがこの世で一番おいしい!!」
パントビスコ「あれはおいしいです(笑)。そんなことを考えながら、この映画を拝見していました」
芳根京子「あと、ポップコーンがキャラメルよりも塩派になったとか!」
パントビスコ「落ち着いた味にね、わかります」
北村匠海「まだキャラメル派だな〜。大人じゃないのかもしれない(笑)」
日常生活で感じる“不都合”あれこれ
パントビスコ「本題に入りますが、お二人が日常の中で不都合を感じることはありますか」
北村匠海「階段を降りるときに、もう一段あると思って踏んだら、ないときがあるじゃないですか。あれ、カウントして欲しいですよね」
パントビスコ「(笑)。誰がカウントするんですか」
北村匠海「『あと3、2、1』みたいに。あれ、すごく恥ずかしいです。よくなるんですよ、ガクってやつ」
芳根京子「今度言えるとき言いますね(笑)3からでいいですか?」
北村匠海「3からカウントお願いします」
芳根京子「かしこまりました(笑)」
北村匠海「今、AI化も進んでいるじゃないですか。コンタクレンズを装着したら、そこに出てきて欲しい」
パントビスコ「視覚的表示で、ですね」
北村匠海「そうです。3、2、1って」
パントビスコ「今思ったんですけど、北村さんの2段後ろから降りている人からしたら、『私とあの人、どっちの3、2、1なんだろう』と、余計踏み外したりとか」
北村匠海「各々にそのカウントがなきゃいけないので、やっぱり視覚的カウントがいいですね」
パントビスコ「2030年くらい?にはそうなるかもしれませんね。芳根さんは不都合に感じること、ありますか」
芳根京子「今思うことでもいいですか? 一日30時間にならないかなぁって思います」
パントビスコ「不都合ですねぇ〜。確かに。一日30時間あったら何をしますか?」
芳根京子「もうちょっといろんなことに時間をかけたいですね。一時間休憩だと、食べるのが遅いので、大体食べて終わっちゃうんです。あと30分あればなぁと思ったりしています。あと2時間寝れたらなぁとか、トータルで考えたときにきっと30時間がちょうどいいのかなって思います」
北村匠海「でも、もしかしたらもうちょい働かなきゃいけなくなるかも。1日が長くなればなるほど」
芳根京子「逆に!? じゃあ、労働基準法はそのままで、30時間になって欲しいです」
北村匠海「なるほど。それならいいですね」
パントビスコ「でも便利になるにつれて、色々詰め込まれたりもして、不便なことも増えるのかなって思いますね」
芳根京子「じゃあ、30時間にならないなら、一瞬で髪が乾くドライヤーが欲しいです! それだけで多分違うと思う!!」
北村匠海「こう、ヘルメットみたいに、頭に被ってね」
パントビスコ「ウィーンって、被って5秒くらいで乾く」
芳根京子「それだったら変わるかな。30時間っていうのはわがままでした(笑)」
北村匠海「特許取った方がいいですよ」
芳根京子「未来に期待したいと思います(笑)」
7日間の逃避行で何をする?
パントビスコ「じゃあ、ちょっと別な質問を。仮にお二人が、周りの人に内緒で7日間、古い言い方で言えばエスケープできるとしたら何をします? 何をしても大丈夫。スマホも圏外で」
北村匠海「僕はつい最近、友達とキャンプに行ったんですよ。男2人で。着いて、焚き火して。火を見ていたときに、これ多分一生やれると思いました。7日間オフがあったら、山にいたいです」
パントビスコ「真逆の生活をしたいっていうのは、もしかしたら人間の本能かもしれないですよね」
北村匠海「焚き火がなかなか点かなかったんですよね。それもすごくよくて。これまで休みがあったら海外に行きたいですと答えてたんですけど、火を見て癒されるのもありだなぁーって思いました」
芳根京子「私は、7日間休みですって言われちゃうと、絶対予定を詰め込んじゃうんですよ。だから、7日間逃げろ!って言われたら、逆に休みの日のほうが疲れちゃうタイプなので、島に7日間こもりたいって思います」
パントビスコ「島ですか?」
芳根京子「つい2ヵ月前にベトナムに行ったんです。一日だけ、ヴィラみたいなところで何もしないという贅沢なことをしてみようと思って。3泊しかないうちの1日を、何もしないで過ごしてみたら、すごく落ち着いたんですよね。リフレッシュするってこういうことなんだ!と思いました」
北村匠海「わかります。(芳根さんは)その島の中の海岸にいて、僕は島の中の森にいます」
パントビスコ「何かあったときに、助け合う(笑)」
北村匠海「魚をいただいて、僕は焚き火して」
パントビスコ「五感も研ぎ澄まされそうですよね。僕の知り合いに旅行の達人がいるんですが、一番のオススメの楽しみ方を聞いたら、芳根さんとまったく同じことを言ってました。好きなところに行って、何もしないって」
芳根京子「あ、でもそれって大人になったなって思いました! 旅行に行って何もしないって」
パントビスコ「お、上手く伏線を回収してくれましたね。それでは最後に、映画の見どころをお願いします」
北村匠海「はい。この映画における戦争というのは、学生たちが学校という管理社会を抜け出して戦いを挑むんですけど、どこかで各々考えていることが違ったり、意見がぶつかったりしていくなかで、それこそ大人になっていくっていう話でもあります。今20代前半で少し大人になってしまった僕らが、10代の方々に伝えたいメッセージがたくさん詰まっているので、モヤモヤしている子たちにぜひ観て欲しいです」
芳根京子「今の時代の『ぼくらの7日間戦争』が新しく生まれたなと思うのと同時に、宮沢りえさんが実写映画当時の役で出てくださっていたり、作品の中で繋がっている部分もあったりして、きっとこれからも繋がっていくのかなという希望を感じるんです。そうやってこの作品と一緒に今を生きているんだなって思うと、とにかく、今この時代の『ぼくらの7日間戦争』をたくさんの方に見届けてほしいなと思います」
ぼくらの7日間戦争
監督/村野佑太
脚本/大河内一楼
原作/宗田理「ぼくらの七日間戦争」(角川つばさ文庫・角川文庫/KADOKAWA刊)
出演/北村匠海、芳根京子、宮沢りえ(特別出演)ほか
URL/7dayswar.jp/
12月13日(金)全国ロードショー
©2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会
パントビスコとのコラボカフェが期間限定オープン!
カフェ・ド・ぺろち with ぼくらの7日間戦争
期間/2019年12月13日(金)〜2020年1月12日(日)
場所/EJアニメシアター新宿 5階
住所/東京都新宿区新宿3-13-3 新宿文化ビル
Profile
1997年11月3日生まれ、東京都出身。2013年ダンスロックバンド「DISH//」のメンバーとしてデビュー。17年『君の膵臓をたべたい』で日本アカデミー新人俳優賞、報知映画新人賞、おおさかシネマフェスティバル2018新人男優賞を受賞。『サヨナラまでの30分』(20)、『さくら』(20)、『思い、思われ、ふり、ふられ』(20)が待機中。
1997年2月28日生まれ、東京都出身。2013年、ドラマ「ラスト♡シンデレラ」で女優デビュー。NHK連続テレビ小説「花子とアン」(14)に出演、「べっぴんさん」(16)ではヒロインを演じる。『累 -かさね-』(18)『散り椿』(18)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『峠 最後のサムライ』(20)、『記憶屋 あなたを忘れない』(20)が待機中。
Instagramでフォロワー数53万人を抱えるマルチクリエイター。3冊の著書を出版し、現在は雑誌・Webでの連載の他、三越伊勢丹、花王、SONYなどとの企業コラボやTV出演など、業種や媒体を問わず活躍の場を広げている。Instagram: @pantovisco
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Illustration: Pantovisco Photos: Takao Iwasawa Edit & Text: Yukiko Shinto