新時代をつくるクリエイターのつながり vol.3 ヴァージル・アブロー
アレッサンドロ・ミケーレ、ジョナサン・アンダーソン、ヴァージル・アブロー。今のモードを牽引する3人の審美眼と、世代とジャンルを超えて彼らとつながる次世代クリエイターとは。vol.3は、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のメンズを率いるVirgil Abloh(ヴァージル・アブロー)。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2019年9月号掲載)
“時代の寵児”が備えた希有な審美眼と編集センス
オフ-ホワイトを手がけるほか、ルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック・ディレクターでもある彼は、既存のものを引用し、新たにアレンジすることでオリジナルに昇華させる自身のクリエイションについて、「3%の新たな試みを加える」と説明する。マルセル・デュシャンやレム・コールハースといった偉大な先達に始まり、現在進行形のストリートカルチャーに至るまで、享受した影響を隠さないてらいのなさが彼の魅力である。クラシックとモダン、ハイカルチャーとロウブロウ。それらを巧みにエディットするセンスは実に今日的。セルフポートレイトで注目を浴び始める
Christina Paik(クリスティーナ・パク)/フォトグラファー
スタイルアイコンとして知られる彼女もアブローに才能を見いだされた1人。連作「セルフポートレートシリーズ」が彼の目に留まり、立ち上げから現在に至るまでオフ-ホワイトのレディースコレクションのキャンペーンやランウェイ、バックステージなどの撮影を手がけている。
ルイ・ヴィトンをはじめ、サカイやアクネからサポートを受けるなど注目度は高い。自身の名を冠したアパレルライン「CP」も展開。
ジャンルやシーンを華麗に横断する才媛
Peggy⦆Gou(ペギー・グー)/DJ、プロデューサー
韓国出身のペギー・グーは、現在ベルリンを拠点に活動するDJ/プロデューサー。
今秋にはキリンというブランド(写真左)を立ち上げるなど、その活動は多岐にわたる。アブローとの親交も厚く、よく一緒にイベントを開きDJすることも。アブローはかつて自身のミューズについて、自分のスタイルを持ち、慣習にとらわれない新時代の女性と定義したが、彼女はその最たる例といえよう。
“ネクスト アブロー”の新進気鋭デザイナー
Samuel Ross(サミュエル・ロス)/「ア コールド ウォール」デザイナー
今回紹介する中で直接アブローの薫陶を受けたのが、サミュエル・ロスである。現在はア コールド ウォール主宰として、ナイキやオークリーとも協業を行う逸材は、かつて3年もの間アブローの右腕としてキャリアを形成した。
大学卒業後にデザイン事務所で働きながらインスタグラムに作品をアップしていたところ、DMでスカウトされたという逸話はミレニアル世代ならでは。
アブローもファンを公言する新世代ラッパー
Playboi Carti(プレイボーイ・カルティ)/アーティスト
1996年アトランタ生まれ。2017年にデビューアルバム『Play b oi Carti』をリリースすると、たちまち新世代を代表するアーティストに。
アブローはかつてインタビューの中で、ミーゴスらと並びカルティを自身のクリエイティビティを刺激する存在に挙げており、ルイ・ヴィト
ン メンズのデビューコレクションではラストルックのモデルに起用した(写真は、オフ-ホワイトの2019秋冬のランウェイより)。
内省的なモチーフをアイロニカルに切り取る異才
題府基之/写真家
先月LAで開催されたアブロー主催のアート展「カミング オブ エイジ」にアリ・マルコポロスやエド・テンプルトンらとともに参加。もともと美術界で評価も高いが、コマーシャルとは無縁で、ストリートカルチャーと密接にリンクした作風ではないだけに、アブローの嗅覚には驚かされた。彼のインスタには題府のzineが掲載されており、誰かの受け売りではないのも好印象。
Text:Tetsuya Sato Edit:Sayaka Ito