大友良英が導く!「札幌国際芸術祭2017」現地レポート(前編) | Numero TOKYO
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大友良英が導く!
「札幌国際芸術祭2017」現地レポート(前編)

日本全国、地域発のアートイベントが花盛り。「音楽フェスもいいけどアートもね!」的な楽しみはもう常識。10月1日まで開催中の、いま話題の『札幌国際芸術祭2017』について、現地レポートをお届けします。

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前回(2014年)から続く会場のひとつ「モエレ沼公園」空撮。敷地全体がイサム・ノグチの造形作品 大友良英が逆に聞く 「芸術祭ってなんだ?」の一大実験 上記の冒頭、どこかで聞いたようなフレーズだと思ったならご愛敬。この導入文、じつは「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2017年9月号(7月28日発売)「この夏注目のアートフェスガイド2017」からのリフレイン。同記事で開催を予告したこの夏の芸術祭は、北は札幌、石巻、奥能登から、横浜、京都、神戸、道後温泉、種子島まで。その中でも今回は、北の大地から革新の息吹を放つ『札幌国際芸術祭2017』の様子をレポートしたい。
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『札幌国際芸術祭2017』メインヴィジュアル その前に、話は数千〜1万年前にさかのぼる。北海道の西部、石狩平野を流れる豊平川が土砂を運び、広大な扇状地を形成。その原野を、アイヌの人々は豊平川の名から転じて「サッポロ」と呼んだ。1869(明治2)年、この地を北方開拓の拠点に見定めた明治政府は「開拓使」を設置。湿地帯を切り拓き、「札幌」は北海道経済の中心地として急発展を遂げていく。 そして約150年が経った2014年、ゲストディレクターに音楽家の坂本龍一を迎え、この地で初となる大型国際展『札幌国際芸術祭2014』が実現。「都市と自然」というテーマを掲げて、豊かな自然に恵まれ、豪雪地帯ながら約200万人の人口を擁する札幌でしか成し得ない芸術祭のあり方を追求した。(その際のレポートはNumero.jp「札幌へ! 最新アートを巡る夏──『札幌国際芸術祭2014』」を一読されたし) 翻って現在。奇しくも同じ音楽家として2代目ゲストディレクターに就任した大友良英が掲げた『札幌国際芸術祭2017』のテーマは、「芸術祭ってなんだ?」。そしてサブテーマは「ガラクタの星座たち」。待望の一大イベントにもかかわらず“ガラクタ”を標榜し、主催する側が逆に“芸術祭とは何か”を問いかける……。日本各地の“地域アート”関係者やその愛好家のみならず、あらゆる人の脳味噌に「?」を投げかける挑戦的な逆質問。その答えを求めて、札幌へ飛んだ。
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島袋道浩『一石を投じる』(2014年)アイヌの聖地から北海道庁赤れんが庁舎前の北3条広場に運ばれた石(2014年の開催風景より)

雄大なるイサム・ノグチ彫刻の大地 「モエレ沼公園」へ

Text:Keita Fukasawa

Profile

深沢慶太Keita Fukasawa コントリビューティング・エディターほか、フリー編集者、ライターとしても活躍。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numero TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集やインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)などがある。『Numéro TOKYO』では、アート/デザイン/カルチャー分野の記事を担当。

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