21世紀少女 vol.4
カメラマン 安藤きをく+モデル 華歩
スマホ時代の新クリエイター
フォトグラファー田口まき&小誌エディトリアルディレクター軍地彩弓がお送りする「21世紀少女」。クリエイターやアーティストなど、21世紀的な感覚を持つ新世代女子を一人ずつ紹介する連載。Vol.4のゲストは、Twitter上に突如現れたカメラマンの安藤きをくと、そのミューズであるモデルの華歩。写真の色合いや雰囲気そのままに、まるで小説の中から出てきたような二人の関係性が心に残った。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2015年6月号掲載)
安藤きをく(華歩)の年表
2007年 18歳
生まれ育った鹿児島県の徳之島を離れ上京。
2010年 21歳
向いていないと諦め、大学の建築学科を中退。
2011年 22歳
出版社の文芸部に勤務し、小説家を志す。
2014年 24歳
情景描写力を付けるため、3月に写真を始める。
「被写体募集」に応募してきた華歩と出会う。
安藤きをくと華歩への5つの質問
──今の日本をどう思いますか?(政治・経済・文化など総合的な意味で)
安藤「文化に関しては、めちゃくちゃ崩しやすい状況なんだなって感じます。だからこそ自分のような人間が出てこられたというか。大きいものが小さくなって、小さいものが自分たちの縄張りを広げていっている感じがします」
華歩「流れやすいし、流されやすいと思います。例えば“可愛い”という言葉も対象がすぐ変わったり多用されたりしていますよね。似たようなものもどんどん出てくるし。本物の言葉の意味を失っている気がします」
──尊敬している人や憧れの人は誰ですか?
安藤「尾崎豊さん。中2の頃に初めてCDを買って感銘を受けました。僕は離島出身なので、都会を歌う尾崎豊に憧れていたのですが、実際に自分も東京に来てみたら、島で感じていたこととすごく近いな、と思ったんです。そのどこにいても同じ“決して一人ではない孤独感”に共感して尊敬しています」
華歩「松任谷由実さん。柔らかい歌詞や曲だけど、内心は燃えている、勝ち気な女性で、憧れています。私もそうなりたい!曲は『コバルト・アワー』が好き」
──今後の目標、挑戦したいことは何ですか?
安藤「カメラマン/写真家だけじゃない人物になること。カメラをいい意味で道具として扱ってこれから先、他の表現方法をするときでも、そこに“安藤らしさ”が出てくればいいなと思っています」
華歩「まずは、自分の名前と顔を皆さんに覚えてもらうこと。“モデル”という言葉は“みんなの見本”という意味ですが、私の場合はそういうことじゃなくて、みんなが真似できないような存在になりたい。唯一無二の存在になりたいです」
──今一番興味があること、今一番怖いと思うことは、それぞれ何ですか?
安藤「1カ月後の自分に興味があるし、怖いです。自分の感覚とかって自然に変わっていくものだと思うんですけど、その時に出した作品が大衆に受け入れられなかったらどうしよう、という恐怖は、正直常にあります。Twitterの数値に対しての不安は、今は無くなりましたけど」
華歩「このモデルの仕事について考えることが楽しいです。怖いことは興味の対象が次のモノに移っていってしまうこと。私に興味を持ってくれる人がいなくなってしまうこと」
──10年後の日本はどうなっていると思いますか?
安藤「主流じゃないものが主流になっていると思うので、いま主流のものがどうなっているのかが気になります。例えば、いまTVが弱くなってサブカルが強くなっていたり。それが少し怖いんですよ。みんなが中級者のようになってプロがいなくなってしまったら、10年後の日本は面白くないなと思います」
華歩「人間のモデルがいなくなっちゃうのかな。PCで何でも作れてしまうので、生身が必要とされなくなるのかも、とか変なことを考えてしまいます」
Photo:Maki Taguchi
Director:Sayumi Gunji
Text:Rie Hayashi