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Culture Post

21世紀少女 vol.4
カメラマン 安藤きをく+モデル 華歩
スマホ時代の新クリエイター

フォトグラファー田口まき&小誌エディトリアルディレクター軍地彩弓がお送りする「21世紀少女」。クリエイターやアーティストなど、21世紀的な感覚を持つ新世代女子を一人ずつ紹介する連載。Vol.4のゲストは、Twitter上に突如現れたカメラマンの安藤きをくと、そのミューズであるモデルの華歩。写真の色合いや雰囲気そのままに、まるで小説の中から出てきたような二人の関係性が心に残った。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2015年6月号掲載)

Photo:Maki Taguchi
Director:Sayumi Gunji
Text:Rie Hayashi

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軍地彩弓が読み解く「写真と小説の共依存関係」

この連載は「21世紀少女」。ゆえに女子を扱うのが筋だが、今回の主役は二人で成立している。安藤きをくと、モデルの華歩。二人が作品をTwitter、 Instagramで発表してからまだ1年しかたっていない。なのに、そのファンは増え続け、この数カ月、毎月開催している写真展には大勢のファンが押し寄せる。独特の色と、アンニュイな雰囲気。数坪の小さな写真展では、まるでボルタンスキーのような光に照らされた風景写真と壁一面の花と華歩。地球儀が回る空間は、いわゆる写真展とはちょっと違う雰囲気だ。

安藤きをくがカメラを手にしたのはたった1年前だ。「大学在学中からずっと小説家になろうと思っていました。だけど、なかなか思うような評価を受けなくて、それで最初Web上に発表した小説をTwitterのbotで掲載し始めたんです」。その頃、ある編集者から「君の小説は情景描写が甘い」と言われ、写真を撮って情景を切り取る練習をし始めたという。写真は一枚で完結する。その魅力にはまっていった。最初に言葉がある。それを表現するためにモデルが必要になり、Twitter上で募集し、華歩に出会った。「最初はフォロワーが多い人だから、写真撮ってもらいたい、というきっかけでした。撮影は毎回すごく大変で、時にけんかすることもあります」。華歩のアンニュイな表情も二人の作風の一つだ。冷たくて、寂しくて、温かい。そんな東京の風景は今の20代の心象風景にも見える。“何かを失った人”。彼の小説のテーマはそのまま写真のテーマにもなっている。

カメラマンとして独立して食べられるようになるのはなかなか難しい。だが、スマホ時代の彼らにとって、有名になることは手のひらら発信することから始まった。口コミであっという間に約3万のファンを持つようになった。いまでは定期的に写真展を開く。入場料は500円。そこでは手作りの写真集、スマホケースなどが飛ぶように売れる。ちゃんと仕事として成り立っている。

でも、これが彼らの結末ではない。きをくにとっては小説家として賞を取り認められること、華歩にとってはメジャーモデルとしてデビューすることがゴールだ。「僕たちはまだ本物ではない。だから不安もある。写真は仕事として、小説は自分を表現するために続けていきたい」。ここには若い現実がある。それを超える夢もある。手探りしながら、しっかりと歩む二人の姿が、見えないネットの糸と、リアルな展示会場で結ばれ、たくさんの共感を得ている。この関係性がとても今なんだな、そう思えた。

安藤きをくと華歩を読み解く
周りの“モノ”たち

Profile

安藤きをく(Kikuwo Ando) 写真家歴は約1年。Twitterに投稿する写真が話題を呼び、作品展をいくつも開催。写真集やグッズも販売している。 華歩(Kaho) 独特の雰囲気を持つフリーモデル。1993年生まれ。

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