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Culture Post

21世紀少女 vol.31
90年代ブームは音楽を更新させる
ミュージシャン&ショップオーナー、Aya Gloomy

フォトグラファー田口まき&小誌エディトリアルディレクター軍地彩弓がお送りする「21世紀少女」。クリエイターやアーティストなど、21世紀的な感覚を持つ新世代女子を紹介。今回のゲストは、ミュージシャンのAya Gloomy。EPデビュー前から週4日ほど通っていたという原宿のレコード店「BIG LOVE」にて、撮影取材を行った。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2018年3月号掲載

Photo:Maki Taguchi Director:Sayumi Gunji Text:Rie Hayashi

軍地彩弓が読み解く「ジャンルを超える、自分だけのブランドの作り方」

ピンク色の髪に、90年代に流行った“フェトウス”のキラキラパンツ。まるで『フィフス・エレメンツ』のミラ・ジョヴォヴィッチ。待ち合わせは原宿の隅にあるレコード店「BIG LOVE」。小さな店だが、インディーズ系のレコードをピックアップしていることで世界的に知られる。

彼女は昨年の2月にここが立ち上げた音楽レーベル「STBO Recording」の記念すべき一人目のアーティストとしてEPデビューした。ファッションのインフルエンサーとしてファッション雑誌に登場したりしていたが、行きつけの「BIG LOVE」のオーナー仲真史から声をかけられたことがきっかけとなった。「デモテープを渡しているわけじゃなかったのに、出してみない?と言われたのがすごくうれしかった。ちょうどプライベートでいろいろあって、その反動もあって一気に曲作りを始めたんです」。

音楽を始めたのは中学生から。「子どもの頃からMTVが流れている家でした。小学生のときから人と違うことを知りたい子どもで。その頃の憧れはビョーク。高校でGloomyというバンドを女のコ3人で結成してエレクトロポップ的なものを始めました。80年代のシンセサイザーを買って、スマホを駆使して音を作っていたんです。私が曲を作って、みんなで演奏するような感じで。でもだんだん、一人でもできるなと思ってバンドはなんとなく解散しました」。

最初に出したEPはほぼ英語のリリック。「ファッションは90年代に憧れるけど、あまり昔のアーティストには興味がないんです。Glass CandyとかにはまってYouTubeでどんどん関連動画で掘っていって。そこで海外インディーズを置いている『BIG LOVE』に通うようになったんです」。

彼女は同時にヴィンテージを“POMPOM SHOP”というショップでECとインスタで販売している。「LAのヴィンテージが大好きで、あるときすっごい買い過ぎてしまって、そこから、あ、これを通販すればお店ができるな、と思ったのがきっかけ」。90年代が流行る前からずっと好き、という彼女のスタイル。この日はいていたラガーフェルドのブーツは「水原希子ちゃんと物々交換した」という。

「最近はSNSがちょっと怖くて。みんなが見ていると思うと本当に好きなものはアップできない。告知しなきゃいけないんですけどね(笑)。次回は日本人にしかできないものを作りたい。例えば、80年代の日本の音楽。YMOやアニメのAKIRA、攻殻機動隊のようなオリエンタルなものが時代のムードかなと思います」。ジャンルもルールも超えて、軽々と自分の世界を発信していくのが今だ。

Aya Gloomyの頭の中

21世紀的感覚を持った新世代の若者は、普段どんなことを考えているのだろう? そのヒントは、彼らの周りの“モノ”にもちりばめられている。彼女の周りは、彼女の感性を形成する“本当に好きなモノ”であふれていた。

(左上から時計回りに)
1. 2017年2月14日に発売した自身のデビューEP『Ennui Ground』
2.「大好きなバンド“Siouxsie & The Banshees”の事典みたいな本。ヤフオクで見つけました」
3. “The Creatures”のアルバム『FEAST』。仲さんからのプレゼント。
4. BIG LOVEの仲さんに教えてもらった“CHURCH OF RAISM”のレコード。

(左上から時計回りに)
5. スマイリーのスノードームとぬいぐるみ。「スマイリーとエイリアンが大好きで、原宿の『おもちゃやSPI RAL』でたくさん買っています!」
6. “PRINCESS NOKIA”のEP『1992』。「彼女はめちゃくちゃカッコいい女性」
7. 昨年11月に発売した“Xenoula”のデビューアルバム。
8. BIG LOVEで初めて買ったEPは“Glass Candy”の『Feeling Without Touching』
9. 愛用しているMacBook Pro。
10. エイリアンのぬいぐるみ。

(左上から時計回りに)
11. 音楽を始めた頃に買ったMIDIキーボード。「最初の頃はこれで曲を作っていました。録音もスマホとかでかなりアナログに(笑)」
12. 愛用のヘッドフォン。
13. 仕事用のキラキラノート。

(左上から時計回りに)
14. ほぼ毎日のように着けているチョーカー。「スマイリーのキーホルダーは自分で付けました!」
15. 「私のすべてが入っているハードディスク(笑)」
16. エイリアンの指輪。
17. いちばん好きな映画『フィフス・エレメント』のパンフレット。
18. ヤフオクで見つけて買った2000年の雑誌『MONDO』。「ファッションや内容がかなりサイバーでカッコいいんですよ」

Aya Gloomyの年表

2009年 15歳
ギターを手に入れ、バンドを始める

2011年 17歳
ALESIS Micron(synthesizer)を手に入れ、独学で曲を作り始める

2015年 21歳
ロサンゼルスから買い付けした古着のONLINE SHOP『POMPOM SHOP』をオープン/ロサンゼルスで初の海外公演

2017年 23歳
初のデビュー12inch EP『 Ennui Ground』 を発売/POMPOM SHOP初のポップアップショップを開催

Aya Gloomyへの5つの質問

──今の日本をどう思いますか?(政治・経済・文化など総合的な意味で)

「音楽的なことでいっても、いまは日本国内だけを見ている人がとても多くて、何か自分で表現しようとしている人が少ない気がしています。隣の中国は文化やアーティストへの関心がとても強いし、世界的なミュージシャンが、日本にはツアーに来ないのに中国や韓国には来る、ということも多いです。少し悲しいですね…。こんなにインターネットで何でも知れる時代なのに、日本は世界の人への関心が弱い気がします。何かを深く探ろうという気持ちが弱いのかな?とも思います」

──尊敬している人や憧れの人は誰ですか?

「私をデビューさせてくれた『BIG LOVE』のオーナー仲さんです。ずっと音楽への興味関心を忘れない人だなあと思います。今まで自分がカッコいいと思うことしかやってこなかった。そういう媚びない姿勢もカッコいい。私に対しても“作りたいものを作っていいよ”と言ってやりたいようにやらせてくれながら、音楽的な感覚を教えてくれたり、的確な指摘をして、いつも私を導いてくれ、支えてくれます。これからも変わらず一緒にいたい人だと思います」

──今後の目標、挑戦したいことは何ですか?

「海外ツアーをしたいです。いろんな国に行っていろんな人に会いたいし、その国の文化やルール、人の感覚を知りたい。いまの世界の音楽に興味があるので、生で体感したいです。いちばん行きたいのはロンドン。ロンドンシーンはバンドを中心にまた新しいアーティストがたくさん出てきているので、いましか味わえない空気を感じに行きたいなぁ。あと、せっかく日本に生まれたのだから、日本人にしかできない感性を生かした音楽作りをすること。いまはそれを意識して制作しています」

──今一番興味があること、今一番怖いと思うことは、それぞれ何ですか?

「興味があることは、レコードをコレクトすること。いま持っているのは300枚くらい。昔からずっとですが、いままでもこれからも、変わらず好きでいると思います。たぶん私はレコードに限らず、好きなものを集めてしまう収集癖があるみたい。いっぱい持っていることに優越感を感んじるです。怖いことは、独りを感じること。自分自身しか信じられない時もありますが、やっぱり人に支えられて生きてきたので、信頼している人たちがいなくなってしまうかもしれないという恐怖は常にあります」

──10年後の日本はどうなっていると思いますか?

「人口知能が発達して、たくさんのAIロボットであふれていそう(笑)。人間より優秀で仕事もできて時間に左右されないロボットが、この世界の中心になってしまうんじゃないかと思うと、恐怖を感じます。でも、それによって、ロボットができないようなクリエイティブなことがもっと注目されていくんじゃないかとも思います。私の周りには、カッコいいこと、新しい感覚を自分たちで表現している友人が多いので、これからみんなで新しいものを作ってくのが楽しみです!」

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Profile

Aya Gloomy(アヤ・グルーミー)1994年生まれ、東京都出身。高校生の頃から曲を作り始め、作詞作曲アートワーク全て自身で行っている。2017年2月、初のデビューEP『Ennui Ground』を原宿のレコードレーベル BIG LOVE Records の新レーベル「STBO Records」からリリースした。18年Second EP リリース予定。

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