「エモーショナルなダンスは、人間にしかできない」 ダンサー・KYOKAが語る、身体の奥にあるもの
ヌメロ・トウキョウ創刊200号となる10月号(8月28日発売)では、世界を舞台に活躍するダンサーのKYOKAがヒロタカのジュエリーを纏い登場。あわせて公開されたショートムービー『Black Swan』では、もがき苦しみながら成長していく黒鳥(=Black Swan)を即興のダンスで表現し、現場の空気を一瞬で自分のものへと変えていった。その姿は彼女のダンス人生にも重なる。逆境の中でも自身のスタイルを貫いてきた苦悩や葛藤、自分自身との向き合い方、そして若きダンサーたちへ伝えたい思いとは。
![[鼻]「ALL ABOUT BASICS」セプタムカフ(K10YG)¥59,400 [左耳]「MANHATTAN」クロスビー ダイヤモンドフープピアスMサイズ(SV925×K10YG×DIA)¥66,000♦ [右耳]〈上から〉同ピアス Sサイズ¥55,000♦ 同ピアス Lサイズ¥158,400(ペア販売)♦ [首元]〈上から〉三連で着けた「PIPISTRELLO」ケーブルチェーンネックレス(オキシダイズドシルバー×K18YG)¥176,000 「K18 ALL ABOUT BASICS」ラダーチェーンネックレス(K18YG)¥522,500 「K18 CELESTIALS」〈THE MOON〉ダイヤモンドチャーム(K18YG×DIA)¥374,000 [右手]「EQUINOX」ピラミッド ブラッドストーン リングMサイズ(SV925×ブラッドストーン)¥89,100♦/すべてHirotaka(ヒロタカ 表参道ヒルズ) レザードレス¥624,800/Adam Lippes(アダム・リペス) ブラ/スタイリスト私物レザードレス¥624,800/Adam Lippes(アダム・リペス) ブラ/スタイリスト私物 ♦印は9月10日に発売予定。](https://numero.jp/wp-content/uploads/2026/08/26_08_10_Hirotaka3-1.jpg)
苦悩を知っている人こそ、輝きは強くなる
──今回の動画撮影で、「黒鳥」を表現するKYOKAさんのダンスは圧巻でした。どんなことを意識して身体で表現しましたか。
「もがきながらもいろいろなことを経験して成長していくストーリーを表現できたらなと思いました。そういう意味では私のダンス人生も、半分以上が苦しかったんですよね。結果を残し続けるのはとても難しいことですし、常に走り続けることは精神的にキツイときもある。結果を手にすると、周りからもいろいろな声が聞こえてきたりして、常にハッピーでいられないっていうのが現実で。やっぱり輝いている裏では、それなりの苦しみや努力があって。でも私だけでなく周りのダンサーもこういうことを経験して活躍していると思うんです。その経験をしている人こそ、輝きは強いのかなとこの数年で感じています。キツイことがあっても、ダンスをやらなきゃよかったと思ったことは一切ないですし、それが今後の自分につながるっていうのもわかっているので、ネガティブではなくポジティブに受け取っていこうと心がけています。前にしか道はないので」
──いままでどのような壁にぶつかりましたか。
「病気を患ったことも大きかったですが、それは自分との戦いだったので……。人間関係では学ぶことがたくさんありました。自分の周りの人が苦しんでいると私もつらくなってしまったり。これだけ経験してもまだあるのかと思いますし、人と人の関係はスムーズにいくものではないので、やっぱり日々学びですね。この先まだまだ出合ってない考え方を知ることがあると思うので、日々新しい発見に柔軟に対応できる人でいたいと思います」
──苦しいこともうれしいことも一歩引いた視点から、ご自身を見ているように感じます。
「そうですね。幼い頃からダンスの大会に出場してきましたが、作品をつくるうえでも客観的にレースを見ないといけないので自然と身に付いたのかもしれません。今はダンサーとしてだけでなく、一人の人間として、自分がどう振る舞えば周りからどう見られるのか、そういう深い部分まで考えられるようになったと思います」
──ダンスバトルで相手と戦う際はどんなことを大切にしていますか。
「相手へのリスペクトの気持ちですね。バトルが終わるとみんなすごく仲が良いので、お互いにリスペクトし合っているなと感じます。嫌いだから勝ちたいのではなく、リスペクトしているからこそ勝ちたいという気持ちですね」
──昨年は韓国の音楽授賞式「MAMA AWARD」でパフォーマーとして出演されていました。ダンスを始めた頃と今とでは「誰に向けて踊るか」という意識に変化はありましたか。
「その意識は踊る場所によって違います。『MAMA AWARD』ではダンサーとしてではなく、パフォーマーになるんですよね。目の前にいるお客さんを楽しませることが第一です。一方、ダンスバトルでは自分自身を見せることに重点を置きます。でも大きなステージが増えたからこそ、その切り替えがよりできるようになりました」
──あんなに大きな舞台に立つと、どんな気持ちが込み上げてくるのでしょうか。
「初めて海外に行ったときってワクワクするじゃないですか。ああいう気持ちです。私は緊張というより、ワクワクのが強いんですよね。基本的に海外の活動のほうが多いので、初めての場所に怖さみたいなものは感じないです。逆にダンスにつながるインスピレーションをもらえますね。実際に現地に行ってみて、触れて感じることがたくさんあるので」
──最近行った中で、刺激をもらった場所は?
「国によってスタイルも違えば、人柄も違うのでどこに行っても面白いです。ブラジルはみんな陽気でダンスがベースにある。一方アジアの人たちはシャイなので、いい意味で真面目でクリーンなダンスをします。踊っていて気持ちが上がる瞬間は、国ごとではなく誰と踊るかですね。表舞台にかかわらず、練習するときに上がるときもありますし、誰とこの空間をシェアするかです。でもやっぱり、ファミリーといえる仲間たちと一緒に踊るのがいちばん楽しいですね」
![[鼻]「ALL ABOUT BASICS」セプタムカフ(K10YG)¥35,200 [右耳]<上から>アコヤパール イヤーカフ Sサイズ(K10YG×アコヤパール)¥33,000 アコヤパール イヤーカフ(K10YG×アコヤパール)¥75,900 「BELUGA」アコヤパールダイヤモンドイヤーカフ(K10YG×DIA×アコヤパール)¥95,700 南洋パールイヤーカフ(K10YG×南洋パール)¥68,200 「BUMBLEBEE」アコヤパールダイヤモンド イヤーカフ(K10YG×DIA×アコヤパール)¥129,800 「BELUGA」アコヤパールダイヤモンド イヤーカフ(K10YG×DIA×アコヤパール)¥139,700 「PUNCTURE」バックスピア アコヤパールピアス(K10YG×アコヤパール)¥100,100 同バックスピア ドアノッカー アコヤパールピアスLサイズ(K10YG×アコヤパール)¥209,000/すべてHirotaka(ヒロタカ 表参道ヒルズ) 軟骨のピアス/本人私物 ブラトップ/スタイリスト私物 ロングスカート¥39,600/Yuuna Ichikawa(ユウナ イチカワ)](https://numero.jp/wp-content/uploads/2026/08/26_08_10_Hirotaka2-1.jpg)
30代になって変わった、自分との向き合い方
──ダンサーにとって身体は何よりの表現手段だと思います。30代を迎え、身体との向き合い方に変化はありましたか。最近大切にしているセルフケアもあれば教えてください。
「歳を重ねると、前のようにすぐに回復しない、戻せないですね。あと幼い頃から『ちょっと休むと誰かに抜かされるかもしれない』と思ってしまうので、しんどくても休まず走り続けていて、なかなか休めないんですよね。休まなきゃいけないのはわかっているんですが。その中でも続けているのは漢方ですね。海外遠征でよく中国に行くのですが、皆さんが想像する“中華”ではなく、ナチュラルなものしか使っていない健康的なお料理もたくさんあって。そこで食事をしたことをきっかけに、漢方や薬膳茶を買って日常的に取り入れるようにしています。おかげで以前より体の調子は良くなりました」
──最近、プライベートでハマっていることは?
「空き時間は映画を観ることが多いです。昔は怖くて全然見れなかったんですけど、最近はクリーピーなホラー映画をよく観ますね。スイートなラブストーリーは全く観ないです(笑)。演技はダンスと似ていて、言葉を使わず首の角度で悲しさや怒りを表現するシーンをみるととても勉強になります。ホラーの不気味な画は頭の中に残っていて、ダンスに取り入れることもあります」
──反対に、⾃然からインスピレーションを受けることはありますか。
「山の中や、鳥の鳴き声、ジャングルを思わせる音、海や波の音など、作られた音楽ではなく、自然が生み出す音楽には、人間として感じるものがたくさんあります。波の音がリズムに聴こえることもあって、リラックスしたいときやリフレッシュしたいときは、自然を感じたいなといつも思います」
──これまで積み重ねてきたキャリアを経て、今のKYOKAさんはまだ追いかけたいものがあるのか、それとも今ある自分の表現を深めていきたいのか、お聞かせください。
「病気になる前は、『次はこの大会』『次は優勝』と常に目標を決めて走っていました。でも目標を決めると一直線になりすぎてしまうタイプなので、自分の時間や休む時間まで削ってしまって、それが病気につながってしまった部分もありました。だからそのタイミングで“目標を決めること”をやめたんです。今はそのときに感じるインスピレーションや直感を大切にして、判断するようにしています。その生き方をここ数年続けていますが、そのほうがずっと楽しいですし、自分を必要以上に追い込まずにいられる。今の私にはこの向き合い方が合っている気がします」
──直感を信じたほうが、今の自分に正直にいられますよね。
「そうですね。あと最近ダンスで大事にしていることは“人間味”です。ダンスからその人のライフスタイルを感じられるような、人間味のあるダンサーになりたいと強く思うようになりました。最近はロボットもダンスができるようになってきているんですよ。でも人間だからこそ表現できるものは、感情やエモーショナルな部分だなと思うので、そこを色濃く表現できるように踊っていきたいですね」
──人間味のあるダンスに必要なことは何だと思いますか?
「やっぱり、自分の奥底にある気持ちを表に出して表現するということですね。今の若いダンサーたちを見ていると、自分の気持ちを表現できない子が多いなという印象を受けます。それは、コロナ禍が若い子たちにすごく大きな影響を与えたからなのかな、と思っていて。自分の気持ちを言いたくても言えない、騒ぎたくても騒げない、それが当たり前になっていました。ダンスの会場でもリアクションをしない空気が普通になっていて。あとSNSの影響で、人が人をジャッジすることが当たり前になっている今だからこそ、なおさら難しいですよね。でもダンサーやパフォーマーとしては、反応があることで生まれるエネルギーはとても大きいんです。ありがたいことに、今は小さな子どもたちが私に憧れてくれたりするので、私自身がそういう姿を見せ続けることで、若い子たちの扉を開くきっかけになれたらうれしいです。私は海外へ行くことが当たり前なので、その大切さを実感していますが、日本の中だけでは見えない景色や価値観もたくさんあります。だから、若い世代にはどんどん外へ出て、さまざまな経験をしてほしいと思っています」
Photos:Yusuke Miyazaki Styling:Chie Atsumi Makeup:Yuka Washizu Hair:Takayuki Shibata Nail:Kana Kikuchi Interview & Text:Saki Shibata Managing Editor:Naho Sasaki Edit:Mariko Kimbara
Profile


