コレクションのショーの舞台であるチュイルリー庭園が着想源となったディオール 2026-27年秋冬コレクション。今も昔も変わらずそこにあるつかの間の出会いが生む、パリのダイナミズムとファッションの本質の交錯を描いた。メゾンの豊かな伝統を讃えるとともに、モダンなエッセンスでその魅力をまた開花させる。軽やかなマインドで、今田美桜が装う。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年10月号掲載)
イブニングガウンを再解釈。ダブルフェイスのコート

チュイルリー庭園内にある八角形の池、バッサン オクトゴナルを囲むショーのセットは、公園のアイコニックな緑色のチェアから着想を得ている。水面には人工の睡蓮が浮かび、公園に咲く花々を想起させるようなフラワーモチーフを配したルックも多く登場した。穏やかなランウェイのキーカラーと調和するように、モスグリーンのピースがその存在感を主張する。
絶妙なアイシーカラーに包まれて

シアリングのペプラムジャケットとフレアスカートは、サイドが外へ張り出すようなグラフィカルなフォルムを描く。グレーとピンクの淡いカラートーンと柔らかな素材で、メゾンの新たなエレガンスを焼き付ける。「ディオール メダリオン」ボタンがアクセントに。
新たな解釈を加えた、アイコニックなジャケット

ニットの開拓にも注力し「バー」ジャケットに広がりを見せた。シークインを織り交ぜ上品な煌めきを放つ。咲き乱れる花々が刺繍されたスカートは、動きに合わせて揺れ動く鮮やかなブルーのフリンジが配されて。優美な曲線がリズムを生むドラマティックな装いだ。会場の池にも浮かべられた睡蓮モチーフが足元を彩る。
タイムレスなバッグ「ディオール シガール」

ジョナサン・アンダーソンのファーストコレクションで登場した「ディオール シガール」バッグ。1952年発表のムッシュ ディオールによるドレス「ラ シガール」の美しい構築的なフォルムを継承しアップデートした。ミニマルなラインにメゾンのコードの一つ、ボウディテールが愛らしさを添える。ミントグリーンとメタルの繊細な配色に心奪われて。
共鳴するクリエイティビティの妙

スタンドカラーの「バー」ジャケットと、ランウェイでも多く目立ったミニ丈スカートのセットアップ。カラフルな糸やシークインが織り込まれ、ジャケットの背中には大きなボウがあしらわれた。連なるくるみボタンは、かつてクリエイティブ ディレクターを務めたジョン・ガリアーノが好んだ装飾。端正なシルエットながらもどこかエフォートレスに纏える、アンダーソンらしいさじ加減に魅了されて。
純真さ漂う大胆な仕立て

凛とした逞しさとフェミニニティを映すレースのコートは、ウエスト部分に不規則にファブリックを重ねドレープを施した。その奔放なアイデアに、イノセントな表情とダイナミックな感性が呼応する。
新たな息吹を宿す、モダン・エレガンス

クチュールピースかのような精緻なクラフツマンシップとクリエイティビティが光った本コレクション。1948年に登場した「デルフト」ドレスの、パネルを重ねたドレープを思わせる立体感をコートへ、49年の名作「ジュノン」ドレスの花びらのレイヤーをスカラップ状のエンブロイダリーでジーンズに仕立てた。アンダーソンが得意とする、ドレスアップとカジュアルが混ざり合う心地よいミスマッチ。ファッションの愉しさや感情を呼び覚ます、その奥行きに引き込まれる。
Dior
クリスチャン ディオール
TEL/0120-02-1947
URL/www.dior.com
Photos:Toshio Ohno Model:Mio Imada Hair:Yusuke Morioka Makeup:Aiko Tokashiki Fashion Editor:Nozomi Urushibara Cooperation:Backgrounds Factory
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