私たちがいま惹かれるのは、ただ写真映えするスポットではなく、その背景にある文脈や体験を通して立ち上がるナラティブ(物語性)なのかもしれない。土地の風土や歴史、五感に目を向ける全国各地のニュースポットをチェックして。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年6月号掲載)
大谷グランド・センター|栃木
採石場で栄えた大谷の歴史を紡ぐランドマーク


JR宇都宮駅から車で30分ほどにある岩山の一角。1967年に竣工し、観光施設として栄えるも閉業した建物が35年近い空白の期間を経て、アートと食の文化拠点に。大浴場だったアートスペースには、大谷地域の記憶を追想させる、アーティストYOSHIROTTENの作品を展示。レストランでは栃木産の食材を使った食事を味わえる。水分を含むと緑を帯びる大谷石の表情の移ろいを望みながら、この地に流れる時間に思いを馳せたい。

大谷グランド・センター
住所/栃木県宇都宮市大谷町1396-29
営業時間/10:00~17:00(カフェ11:00~17:00、レストラン11:00~15:00)
休館日/火・水
minä perhonen Morioka|岩手
ものづくりが息づく街の風土に共鳴


古くから染めもの文化が発展した盛岡・紺屋町。ものづくりが脈々と受け継がれる土地にミナ ペルホネンのショップがオープン。一本木のカウンターはデザイナーの皆川明が岩手県内の森で見つけたもの。入り口正面の廊下は通り抜けになっており、その先の建物には中津川を望むカフェやマーケット、作家を紹介する展示が。地元の人に親しまれてきた景色を新たなフレームで写し出し、訪れる人と地域を緩やかにつなぐ。

minä perhonen Morioka
住所/岩手県盛岡市紺屋町4-29
営業時間/10:00~18:00
休館日/水
SKWAT KAMEARI ART CENTRE|亀有
下町・亀有に生まれた新たなアートスポット


遊休施設を“占拠”し、カルチャーの発信拠点として“解放”する「SKWAT」が、JR常磐線高架下に誕生させた空間。アートブック専門のディストリビューターやレコードショップ、カフェ、ギャラリー施設が併設され、下町風情が残る亀有に新たなカルチャーが混ざり合う。現在、亀有駅側に拡張する増設工事中で、5月中旬には完成予定。街に吹き込まれる新風が、どんな化学反応を起こすのか注目が集まる。

SKWAT KAMEARI ART CENTRE(SKAC)
住所/東京都葛飾区西亀有3-26-4
営業時間/11:00~19:00
休館日/月・火(祝日を除く)
大多喜有用植物苑|千葉
多角的な関わりから有用植物の可能性に触れる

左:オリジナルブランド「OHG Scent Research(オーエイチジー セント リサーチ)」のお香やルームスプレーなどのフレグランスアイテムを販売。 右:烏山椒の野草カレー¥1,500
西洋ハーブの施設として50年にわたり親しまれてきた「大多喜ハーブガーデン」が一新。日本やアジアで古来より人の暮らしに寄り添ってきたヨモギやドクダミなどの有用植物に焦点を当てる。「雑草」とくくられてきた植物の生態に触れ、食堂やショップを通してその活用の仕方を知ることができ、苑内の建材や塗装などにも植物由来の素材を採用。鑑賞体験を超えた多角的な関わりによって、現代では希薄になってしまった植物との関係性を結び直すきっかけに。植物が息づく暮らしを五感で体感して。

大多喜有用植物苑
住所/千葉県夷隅郡大多喜町小土呂2423
営業時間/10:00~17:00
Quaro|原宿
4つのフロアを通して感覚をひらく空間体験

右:2階でのみ提供されるアップル チャイ トディーとジンジャーレモンのモクテル各¥880、人気メニューのクアロワッサン¥770。
“都市のなかで感覚を回復させる”サードプレイスが原宿キャットストリートに誕生。それぞれにテーマを持つ4フロアで構成され、訪れた人の感覚をひらいていく。地下1階(オープン時期未定)は完全予約制のコーヒーコースを提供する「変容」、1階はテイクアウトがメインのコーヒースタンド「流れ」、2階はDJブースを備えたミュージックバー「共鳴」、3階はギャラリー兼ポップアップスペースの「編集」。各フロアでのみ楽しめるメニューもあり、その日の気分で楽しんで。

Quaro
住所/東京都渋谷区神宮前4-25-32
営業時間/8:00~20:00
坂本ヤエカ|白金
音楽家・坂本龍一の遺志を引き継ぐ図書空間


音楽家・坂本龍一が、知の共有を目的に自身の蔵書を未来に残すべく始めた図書構想「坂本図書」。その遺志を引き継いだヤエカが運営する「坂本ヤエカ」は、より多くの人にひらけた場所を目指す。生前親しんだ本と同タイトルの古書が並び、事前予約なしで閲覧や購入ができる。坂本の気配を感じられることを第一に、中庭にはNYの自宅で行っていたピアノを自然に還す実験を再現。自然とその哲学に意識が向かう。

坂本ヤエカ
住所/東京都港区白金4-7-10 YAECA HOME STORE 1F
営業時間/11:00~19:00
休館日/火
REMEDY CAVE|表参道
ピンクソルトの洞窟で心の声と向き合う


スキンケアブランド「スノー フォックス スキンケア」日本直営店として誕生した会員制(月額¥7,700)のコンセプト薬店。スキンケア、リフレクソロジー、漢方の三位一体の運用で美をサポート。来店したらまずピンクソルトの洞窟へ。リラクゼーション効果のあるハロセラピーやリフレクソロジーを通して体の不調をキャッチ。薬剤師によるカウンセリングで最適な漢方を提案する。心に耳を傾けリズムを整える時間を。

REMEDY CAVE
住所/東京都渋谷区神宮前5-45-8 NORTH AOYAMA 1F-A
営業時間/11:00~19:00
休館日/不定休
FOR/M KYOTO|京都
音楽が好きなすべての人にひらかれた複合施設


京都を拠点とする音楽レーベル「ペンギンマーケットレコーズ」代表の鈴木哲也が立ち上げた音の複合施設。1階は音楽が好きなすべての人にひらかれ、定期的なイベントの開催やレコードを販売。「好きなレコードを大きな音で聴く会」を筆頭に、朝ライブやプレイリストとともに半生を振り返るトークショーなど、数々の実験的な企画を実施。音楽を共通言語に、世代も国籍も超えたつながりが生まれている。

FOR/M KYOTO
住所/京都府京都市北区紫野西野町29-4
休館日/不定休
Interview & Text:Nao Kadokami Edit:Miyu Kadota





