「白ワインの世界」を知るための5本のワインとは? ペアリングのコツをソムリエ店長に聞いてみた|Numero TOKYO
Life / Feature

「白ワインの世界」を知るための5本のワインとは? ペアリングのコツをソムリエ店長に聞いてみた

ワインには興味があるけれど、赤ワインの渋みが少し苦手という方は少なくありません。そこで今回は白ワインをテーマに「これさえ飲んでおけば白ワインの世界がわかる」という基本の5品種・5産地のワインを厳選。Numero.jpの連載でおなじみ、ワインマーケット・パーティ店長の沼田英之ソムリエに、ワインブロガーのヒマワインが解説してもらいました!

白ワインの基本を知るための5本とは?

ヒマワイン(以下、ヒマ)「今回は『白ワインの世界を知るための5本』というテーマです」

沼田店長(以下、店長)「いいですね! 白ワインは、赤ワインと違ってぶどうの皮を漬け込まずに果汁を搾って発酵させるため、基本的にはタンニン(渋み)がありません。そのため、フレッシュでフルーティーなものが多く、いろいろな料理と合わせやすいのが魅力です」

ヒマ 「たしかに! 赤ワインは苦手だけど、白ワインは好きっていう方は意外と多いですよね」

店長 「はい。今回は、白ワインの基本を知るために知っておくべき5つの品種を厳選して紹介します。相性の良い料理と合わせて紹介しますので、ぜひレストランやご自宅でのワイン選びの参考にしてもらいたいですね」

ヒマ 「いいですね! では、さっそく白ワインの全体像がわかる基本の5本を紹介していただきましょう」

カルパッチョに合わせて! ニュージーランドの「ソーヴィニヨン・ブラン」

フラミンガム マールボロソーヴィニヨン・ブラン 2024 ¥3,520
フラミンガム マールボロソーヴィニヨン・ブラン 2024 ¥3,520

店長 「まずは、ニュージーランドを代表する白ワイン品種『ソーヴィニヨン・ブラン』です」

ヒマ 「グラスから爽やかな香りが溢れてきますね! キリッと冷やして美味しく飲める品種ですよね」

店長 「おっしゃる通りです。グレープフルーツやレモン、ライム、シークワーサーといった柑橘系の香りをイメージしてもらうとわかりやすいです。もともとはフランスのロワール地方が原産ですが、いまやニュージーランド産のものが世界的な人気です」

ヒマ 「個人的に、1,000円台のいわゆる“安ワイン”でも品質がもっとも安定していると感じるのがソーヴィニヨン・ブランです。この品種を使ったワインには、どんな料理が合いますか?」

店長 「ワインに生グレープフルーツを搾ったようなフレッシュさとハーブのような香りがあるので、淡白なホタテやヒラメのカルパッチョにライムやレモンのドレッシングをかけ、ディルなどのハーブを添えた前菜とは最高の相性です」

ヒマ 「それ絶対に美味しいじゃないですか……! コース料理のスタートとなる『1杯目の白』として大活躍しそうです」

店長「キリッと冷やしておいしい品種なので、暑い季節にはとくにおすすめですよ。私のおすすめは、『フラミンガム』が造る『ソーヴィニヨン・ブラン』。価格もさほど高くなく、クセのない味わいでとてもおいしいですよ!」

ソーセージや豚肉と! ドイツの「リースリング」

ケラー ラインヘッセン リースリング トロッケン2023 ¥8,250
ケラー ラインヘッセン リースリング トロッケン2023 ¥8,250

店長 「2本目は、ドイツの『リースリング』です。ラベルに『トロッケン』と書いてあるのがポイントです」

ヒマ 「トロッケンっていうのは『辛口』って意味ですね」

店長 「はい。リースリングは洋梨や白桃のような香りと、ギュッと引き締まった強い酸味を兼ね備えています。ほんのりと石油(ペトロール)のようなニュアンスがあるのもこの品種の特徴です」

ヒマ「石油のような香りというと変に聞こえるかもですが、これがまたなんとも言えず魅力的なんですよね。このワインはどんな料理が合いますか?」

店長 「ドイツといえばソーセージですが、やっぱり合います。ソーセージにマスタードとザワークラウト(キャベツの漬物)を添えた料理などは最高ですね。リースリングの酸味と、ザワークラウトの発酵した酸味が綺麗に同調(マッチ)するんですよ」

ヒマ「いいですね! 白っぽい料理と白ワインが合う説ですね」

店長「はい。白ワイン=魚料理と決めつける必要は実は全然ありません。ソーセージは肉料理ですが、リースリングとの相性は抜群です。スーパーで売っているソーセージに、粒マスタードをたっぷりとつけて味わってみてください」

ヒマ「最高です。おすすめいただいた『ケラー』という生産者のリースリングも素晴らしい味です」

店長「ドイツのラインヘッセンという地方を代表する生産者。特別な日に開けていただきたいワインです」

まるで「こたつで食べるみかん」!? 南アフリカの「シュナン・ブラン」

フラム・ワインズ シュナン・ブラン 2022 ¥5,500
フラム・ワインズ シュナン・ブラン 2022 ¥5,500

店長 「3つめの品種は、南アフリカの『シュナン・ブラン』です。もともとフランスのロワール地方で甘口ワインとして有名な品種ですが、それが南アフリカに渡って大栄えした品種です」

ヒマ「シュナン・ブランは、正直ちょっと地味な品種です(笑)」

店長「たしかに、今回紹介する他の品種比べれば少し知名度は劣るかもしれません。でも、素晴らしいワインがたくさんあるんですよ」

ヒマ「安ワインの話ばかりで恐縮ですが、南アフリカのシュナン・ブランもコスパに優れたワインが多い。ハズレが少ないんですよね」

店長 「ソーヴィニヨン・ブランがフレッシュな柑橘、リースリングが白桃だとしたら、私の中でシュナン・ブランは『こたつに入った時に食べるみかん』のイメージなんです」

ヒマ 「わかる! 酸味が強すぎず、果実味も適度にあって、こたつのみかんを無限に食べ続けてしまうように、無限に飲み続けてしまう(笑)。このフラム・ワインズのシュナン・ブランもちょっと自然派っぽいニュアンスがあっておいしいです」

店長 「シュナン・ブランのおすすめペアリングですが、みかんの印象だけに和食にもよく合うんです。以前、みかんの中身をくり抜いて器にし、そこにお出汁とタラ、タラの白子を入れてオーブンで焼いた料理と合わせたことがあるんですが、みかんの風味とお出汁の旨味に驚くほど合いました。ぜひ、お出汁と合わせてみてほしいですね」

白ワインの王様! カリフォルニアの「シャルドネ」

マウント・エデン・ヴィンヤーズ シャルドネ ウルフ・ヴィンヤード・エドナ・ヴァレー 2022 ¥5,280
マウント・エデン・ヴィンヤーズ シャルドネ ウルフ・ヴィンヤード・エドナ・ヴァレー 2022 ¥5,280

店長 「4本目は、世界で一番ポピュラーな白ワインの代表格『シャルドネ』です」

ヒマ「間違いなく世界で一番有名な白ワイン品種ですね。なぜ世界で一番有名かといえば、単純においしいワインが造りやすいからだと私は思います」

店長 「シャルドネという品種は、樽で熟成させることでクリーミーさやバタースコッチのような香ばしい風味が生まれます。アメリカ・カリフォルニアの『マウント・エデン』はまさにその王道の味わいです」

ヒマ 「これは問答無用でうますぎますね。香ばしくてまろやかで、バニラのような香りも感じられます」

店長「教科書的に言えば、鶏のクリーム煮や、バターをたっぷり使ったヒラメのムニエルなどに合わせるのが王道です」

ヒマ 「もっと手軽に合わせるならどうでしょう?」

店長 「コンテチーズを切って、トースターで焼いた食パンと一緒に流し込むだけでも最高です! 香ばしさがあるので、お塩で食べるトンカツにも合いますし、アヒージョにもいいですね」

ヒマ「肉にも負けないパワーがあるのがシャルドネということですね」

飲むアロマテラピー! アルザスの「ゲヴュルツトラミネール」

ジュリアン・シャール ソフィー・シャール・ゲヴェルツトラミネール ¥3,850
ジュリアン・シャール ソフィー・シャール・ゲヴェルツトラミネール ¥3,850

ヒマ 「最後は、フランス・アルザス地方の『ゲヴュルツトラミネール』ですね。“知って欲しい”品種という意味では、これがNO.1かもしれません」

店長「同意です。成人式を迎える娘さんを持つお父さんが、娘さんと乾杯するためのワインを探しているとしたら、私はこの品種を提案します」

ヒマ「ゲヴュルツトラミネールという呪文のような名称の品種ですが、特徴を言うならば?」

店長「ズバリ、『バラとライチの香り』です。実はこの品種には『ゲラニオール』という、バラの精油成分と全く同じ香り成分が含まれているんです」

ヒマ「バラみたいな香りがするわけではなく、バラそのものの香りがするわけですね」

店長「そういうことですね。グラスから立ち上る香りだけで幸せな気分になれる、まさに『飲むアロマテラピー』です」

ヒマ「しかもライチのようなニュアンスまでついてくる。飲みやすさも抜群なんですよ」

店長「このジュリアン・シャールのゲヴュルツトラミネールは個人的にとてもおすすめのワイン。グラスを回した瞬間から、バラの花束を思わせる、ものすごく華やかな香りを楽しめます」

ヒマ 「これはワインを初めて飲む20歳の方や、ちょっとお酒が苦手だけどワインを楽しみたいという方への入り口として大正解のワインですね!」

店長 「間違いないです。食事と合わせるのが少し難しいほど華やかですが、クミンシードの入ったウォッシュチーズや、バラのシャーベットなどと合わせると素晴らしい体験ができますよ」

ヒマ「スパイシーなエスニック料理にも良さそうですね!」

飲みやすくて料理に合う! 白ワインを楽しもう

ヒマ 「今回はニュージーランド、ドイツ、南アフリカ、アメリカ、フランスと、5つの代表的な白ワインを飲み比べました。これだけで前菜からメインまで、赤ワインなしでコースが通せちゃいますね!」

店長「そうなんですよ。そして、この5品種を知っておけば、レストランのグラスワインをオーダーする際に困ることはなくなると思います」

ヒマ「グラスワインが複数種から選べるようなワインに力を入れているお店であれば、とくにシャルドネやソーヴィニヨン・ブランは選べる可能性が高いですもんね」

店長「はい。前菜に合わせてソーヴィニヨン・ブラン、メインやその手前のクリーミーな料理に合わせてシャルドネという風に選んでいただけると、食事の満足度が跳ね上がると思います」

ヒマ「たしかに!」

店長 「白ワイン=魚料理という固定観念は必要ないんです。お酒の経験が少ない方ならゲヴュルツトラミネール。さっぱりしたワインが好きならソーヴィニヨン・ブランやリースリング。果実味の強いものや濃厚なものを試したいならシュナン・ブランやシャルドネを選んでみてくださいね」

ワインマーケット パーティ
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F
営業時間/11:00〜20:00
TEL/03-5424-2580
URL/winemart.jp


Photos & Text:Hima_Wine

Profile

沼田英之 Hideyuki Numata ソムリエ、1978年生まれ。ホテルやレストラン勤務後、イタリア・トスカーナに留学。帰国後、レストランにソムリエとして勤務し、その後フランスワイン専門店ラ・ヴィネに入社。現在は姉妹店である都内屈指の大型店、ワインマーケット パーティの店長を務める。
ヒマワイン Hima_wine ワイン大好きワインブロガー。ブログ「ヒマだしワインのむ。」運営
https://himawine.hatenablog.com/
YouTube「Nagiさんと、ワインについてかんがえる。Channel」共同運営
https://www.youtube.com/@nagi-himawine
Twitter:@hima_wine
 

Magazine

June 2026 N°197

2026.4.28 発売

Color for Color

色いろの愉しみ

オンライン書店で購入する