香水とクチュールを密接に結ぶ特別なフレグランス コレクション、「ラ コレクシオン プリヴェ」。来日したディオール パフューム クリエイション ディレクターのフランシス・クルジャンと山下智久による、クリエイションへのリスペクトが響き合う豪華な対談が実現した。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年5月号掲載)

Francis Kurkdjian
Dior Perfume Creation Director
フランシス・クルジャン/フランス出身。わずか25歳で世界的人気となる香水を発表し、一躍脚光を浴びて以来、香水史に残る数々の名香を手がけ、多くの国際的な賞を獲得。2009年に芸術文化勲章「シュバリエ」を受勲。21年にディオール パフューム クリエイション ディレクターに就任。ディオールのフレグランスに新たな息吹を吹き込んでいる。
Tomohisa Yamashita
山下智久/1985年4月9日、千葉県出身。96年より芸能活動をスタート。最近は俳優として活動の場を海外にも広げており、主演作『神の雫/Drops of God』(日仏米共同制作)が第52回国際エミー賞の連続ドラマ部門を受賞し話題に。2026年には映画版『正直不動産』で8年ぶりに日本映画に主演予定。21年5月からディオール ビューティー アンバサダー。
フランシス・クルジャン(以下、F)「私が初来日したのは20年前の2005年でしたが、それ以来、私は日本にずっと魅了され続けています。何百年もの長い伝統と歴史、それに現代的なテクノロジーがうまく融合されている点に非常に惹かれています。
山下智久(以下、T)「長い歴史があるというのは、日本とフランスに共通していることですね。歴史だけでなく、現代的なものとの対比に魅力を感じていただけるのは、率直に日本人として嬉しく思います」
F「伝統を大切にしながらも、現代そして未来へつなげていく感覚や、自然に対する敬意を大切にする点もすばらしい。それに、美意識やディテールへの高度なこだわりも、日本特有のものでリスペクトしています」
T「僕は、初めてフランスを訪れたのが11〜12年前で、最近は撮影で長期滞在もしていましたが、フランスの人たちは日本人に対して優しいと感じますし、とても好きな国です。パリは街並みも洗練されていて、外を歩いているだけで美術館にいるような気分になりますし、セーヌの川岸を歩いていると自然が近くに感じられて、ストレスを上手にコントロールできる街だなと感じています。南フランスもとても美しい場所で、パリとはまた違う魅力があります」
F「多くの香りに触れる機会があると思いますが、山下さんにとって香りとはどんな存在なのでしょう」
T「目に見えないけれど、深く記憶に残る、大切な人生のアイテムだと思っています。アンバサダーとしていろいろな機会をいただき、ムッシュ ディオールの生い立ちや歴史を知ることで、より香りを深く楽しめるようになったと思っています。フランシスさんが、香りの世界に魅せられた一番のきっかけは何だったのでしょう」
F「これを話し始めたら1冊の本が書けそうです。一番のきっかけは本当に偶然ですが、山下さんがおっしゃったように〝目に見えないものでありながら、非常に強い感動をもたらし、思い出と結びついて記憶を呼び覚ましてくれる〞という香りならではの魅力です」
T「香りを創作するときはどんな作業から着手されるのですか」
F「どのようなストーリーを香りで語るのか、まずその物語を考えます。そして、香りの名前を考えることが多いですね。創業からディオールは、女性に〝夢〞を与えるメゾンとして存在していますが、山下さんもまさに〝夢〞を与える仕事を何十年も続けてきています。パフォーマーとして大切にしていることは何ですか」
T「僕は応援してくれている人に、夢や希望を届けたい、という思いでずっと仕事をしてきています。仕事をする上で、何を信念としているかという話になると思うのですが、〝夢を与えたい〞というのは、アーティストやクリエイターなどあらゆる業種に共通しているのではと思います」
山下智久が語る、フランシスとの出会い

「〝知る〞ということは〝変わる〞ということだと僕は思っていて。フランシスさんに出会う前と出会った後では、同じ香りでも別物に感じるんです。それは彼の言葉を通じて、香りへのこだわりや思いを知ったから。知ることで新しい感覚の扉が開いたと思っています」
フランシス・クルジャンと山下は、昨年フランスで会い、香りについて対話をしたという。以来、山下が感じている〝変化〞とは?
「香りのレイヤーを、より深くクリアに感じられるようになった気がします。僕が肌につけたときに発する香りも、以前とは違う気がするぐらい、香りへの意識の仕方が変わったのだと思います。どう表現すると伝わるのかな……たとえば、お酒をつくるときに濾過を重ねて雑味を取り除くとおいしくなるように、クリアに自分の感覚に届くようになった気がしています」

より研ぎ澄まされたピュアな感覚で、香りと向き合うようになったという山下。クチュールの精神が生きたフレグランスコレクション「ラ コレクシオン プリヴェ」の22種の香りの世界をどう楽しんでいる?
「『ラッキー』『グリ ディオール』など、季節やTPOでいろいろな香りを選んで纏っています。最近は、フランシスさんが手がけた新作『ボア タリスマン』も愛用しています。濃密なウッディ&スモーキーの香りでクラシカルさとエレガンスも感じられて、すてきな香りです。かねてから、魅惑的なウッディが好きだったのですが、今改めて気に入っています」


クチュールと香水。その密接なつながりを表現する
22本の物語「ラ コレクシオン プリヴェ」
ディオールの類まれなるヘリテージにインスパイアされた個性豊かな香り、エレガントでユニークなデザイン、そのすべてにメゾンの誇りとスピリット、伝統が生きる特別なフレグランス コレクション。全22種を紹介。

右から:
〈ボア タリスマン〉角砂糖の甘さを忍ばせたウッディ グルマンの新作。
〈ニュールック〉フランキンセンスとアルデヒドが響き合う洗練の香り。
〈ディオリビエラ〉イチジクやローズが夏の南仏へ誘う。
〈ジャスミン デ ザンジュ〉
〈グリ ディオール〉
〈エデン ロック〉地中海の楽園をイメージした香り。
〈ホーリー ピオニー〉肌の上で豊かに花開くフルーティー ノート。
〈スパイス ブレンド〉幾種ものスパイスが奏でるエキゾティックな調べ。
〈パープル ウード〉スパイスが神秘的に香るウード。
〈トバカラー〉スモーキー&フルーティーな水タバコを思わせる香り。
〈ディオラムール〉アイリスを秘めたパウダリーな“愛の香り”。
メゾンの象徴的なプリントやデザインコードで香水のキャップを好みにカスタマイズできるクチュール キャップ も発売に。

右から:
〈サンタル ノワール〉サンダルウッドやレザーの神秘的な香り。
〈ウード ローズウッド〉稀少な香木が力強くセンシュアルに香る。
〈ウード イスパハン〉 ウードとダマスクローズの官能的な出合い。
〈アンブル ニュイ〉ローズが煌めく魅惑のアンバー。
〈ローズ カブキ〉ローズとムスクが優美に重なる。
〈テ カシミ ア〉ホワイトティーと白い花々の柔らかな香り。
〈サクラ〉
〈ラッキー〉
〈ルージュ トラファルガー〉ベリーやパチョリが華やかに煌めく。
〈ボア ダルジャン〉アイ リスの余韻を残すエレガントなウッディ。
〈ラ コル ノワール〉ディオールの城に咲くローズのダイナミックな香り。

ラ コレクシオン プリヴェの香水を、メゾンのデザインを纏ったトランクに収めることができる特別なアイテムも発売に。店舗・数量限定。
パルファン・クリスチャン・ディオール
TEL/03-3239-0618
URL/www.dior.com
Photos : Maciej Kucia Photos : Shinmei(still life) Makeup : Yuka Washizu Hair : Jun Goto Styling : Masayuki Sakurai Editorial Assistants : Saki Tanaka, Makoto Matsuoka Edit & Text:Naho Sasaki