生成AIをはじめ、テクノロジーの進歩が創造力の価値を揺るがすなか、私たちの社会はどこへ向かうのか。AI、VR(仮想現実)、ゲームエンジンなどを活用するアーティスト12組の作品を通して、人類×技術の行方に思いを馳せたい。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年3月号掲載)

生成AIによる写真や絵画がコンテストで入賞、フェイク動画が社会を揺るがし、K-POPアイドルのVRコンサートが話題を集める現在。デジタル技術とアナログの創造性はもはや対立概念ではなく、むしろ互いに欠かせない両輪となってこれからの変革を担っていくだろう。でも一体、何のために?

テック産業は経済の原理で駆動する。AIの技術者や、ゲームエンジンを用いて仮想世界を設計するデザイナーはその担い手だ。では誰が、技術の快楽に流されず、テクノロジーの功罪や人々のアイデンティティの問題を喚起できるというのか。“炭坑のカナリア”たるアーティストにこそ、できることがあるかもしれない。



自動車や飛行機などの新技術が社会に変革をもたらした20世紀初頭の「マシン・エイジ」から100年余り。本展は、NFTアートの旗手ビープル、キャラクター用のデータアセットによる作品で知られる佐藤瞭太郎、デリバリーサービスの女性ライダーを描いた映像作品のゲーム版を出品するキム・アヨンなど、テクノロジーを駆使するアーティスト12組の作品を通して、新しい「マシン」時代の表現を予見する試み。未来を“誰か任せ”にせず、私たち自身がプレイヤーになるために。目を向けるべきヴィジョンがここにある。
「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」
最新のテクノロジーと現代アートの関係を、ゲームや対話型AIなどを用いたインタラクティブな作品やデジタル/現実空間の往来体験を通して考える展覧会。
会期/2025年2月13日(木)〜2025年6月8日(日)
会場/森美術館
住所/東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL/www.mori.art.museum
※最新情報はサイトを参照のこと。
Edit & Text : Keita Fukasawa