ソムリエ店長がそっと教える、バレンタインデーに贈りたいワイン7選
みなさんこんにちは、ワインブロガーのヒマワインです! さて、バレンタインデーといえば、最近は女性から男性にチョコレートを贈るイベントから、恋人はもちろん、友人や自分にも贈り物をして気持ちを伝える日、みたいになりつつある気がします。
となると俄然ワインの出番! 愛情も、感謝の気持ちも、その他複雑な感情もワインならば伝達可能。というわけで、東京・恵比寿のワインショップ、ワインマーケットパーティーのソムリエ店長こと沼田英之さんに、バレンタインにおすすめのワインを教えてもらいました!
【目次】
バレンタインデーに贈りたいワインの条件とは?
【1本目】テタンジェ プレスティージュ ロゼ N.V.
【2本目】テヌータ・ディタリア エロス シャルドネ・ルビコーネ 2022
【3本目】ブレッド&バター ロゼ 2021
【4本目】ボタニカ ビッグフラワー メルロー 2021
【5本目】マアジ カンポフィオリンIGT 2020
【6本目】ル・マルキ・ド・カロン・セギュール2020
【7本目】アプトホフ ムスカリス ベーレンアウスレーゼ2018
バレンタインデーに贈りたいワインまとめ
バレンタインデーに贈りたいワインの条件とは?
ヒマワイン(以下、ヒマ)「さて、今日は『バレンタインデーに贈りたいワイン』がテーマです。どんなワインがいいんでしょうね、バレンタイン」
沼田店長(以下、店長)「私は、バレンタインデーでは、ワインが脇役でいいと思うんです」
ヒマ「ほう」
店長「バレンタインデーが恋人や親しい友人と過ごす日ですよね。そこでワインをプレゼントするとすれば、それは『その日に一緒に飲むワイン』がいいと思うんです」
ヒマ「なるほど、ちょっといい料理と合わせちゃったりして」
店長「そうです。だから、プレゼントだからといって高級ワインである必要はなく、カジュアルに楽しめるちょっといいワインを選ぶのがいい。そのとき、ラベルなどに個性があると話も盛り上がりますよね」
ヒマ「たしかに。フランスのシャトー・ナントカとか、ドメーヌ・ホニャララよりも、わかりやすい特徴があったほうがいいですよね。贈る相手がワイン好きとは限らないわけだし」
店長「ですよね。まとめると、
・高すぎない(その日のうちに開けられる)
・個性がある
・もちろんおいしい
以上3点が重要です。この条件を満たすワインを7本ほど選んでみましたので、早速見ていきましょうか」
ヒマ「ぜひお願いします!」
バレンタインデーに贈りたいワイン1:テタンジェ プレスティージュ ロゼ N.V.
店長「まずはこれ。『テタンジェ プレスティージュ ロゼ N.V.』」
ヒマ「おっ、シャンパーニュですね。しかもロゼで、色合いが実に美しいですね」
店長「これは税込12,650円する高級ワインですが、変な話ロゼのシャンパーニュならなんでもおすすめ(笑)。っていうのも、ロゼワインって意外と買わないじゃないですか」
ヒマ「飲むとおいしいんですが、たしかに買う頻度はそんなに高くないですね」
店長「ところが、バレンタインデーなどの贈り物として選ぶと、これが非常に喜ばれるんです。自分では選ばないからこそ、もらうと嬉しいことってあるじゃないですか」
ヒマ「あっ、たしかに」
店長「ただし、ひとつだけ条件があって、それはボトルが透明なものを選ぶこと」
ヒマ「ロゼワインは色を見せるために透明なボトルを使う場合が多いんですが、なかには品質保護の観点から透明じゃないものを使うケースもありますからね」
店長「やっぱり色が見えてこそですから。合わせていただいたいのは、ズバリ甘さ控えめのクッキー。ハーブやスパイスと一緒に焼き上げたものなんかは最高に合います」
ヒマ「軽めのお菓子にロゼシャンパーニュ、バレンタインに最高の組み合わせですね!」
バレンタインデーに贈りたいワイン2:テヌータ・ディタリア エロス シャルドネ・ルビコーネ 2022
店長「続いてはこれです」
ヒマ「ハートのラベルで名前がエロス! なんというかこう、仮にもらったら困惑してしまいそうな気がしなくもありません(笑)」
店長「エロスはギリシャ神話の愛の神で、愛だけじゃなくて友情も象徴するんだそうです。いわゆる「本命」的に使うのは気恥ずかしいかもですが、新婚の友だちにプレゼントするとか、覚えておくと便利なんです」
ヒマ「唯一無二の個性を持っているのは間違いありませんね」
店長「そしてこのワイン、なによりおいしいんですよ。ちょっと飲んでみてください」
ヒマ「ほんとだ! イタリアのワインとは思えないくらいクリスピーで華やかな味わい。しかも値段で2度驚きです。2090円とかなりお手頃なんですね」
店長「そうなんですよ。価格に対して味もいいから、『愛してます』って贈るというか、『一緒に飲もうよ』くらいのテンションで贈るのが吉です」
バレンタインデーに贈りたいワイン3:ブレッド&バター ロゼ 2021
ヒマ「次は大人気ワインの『ブレッド&バター』ですね。しかしロゼは盲点! 飲んだことないです」
店長「先ほどのシャンパーニュと同様に、ロゼはバレンタインにおすすめ。そして、これは4,180円とちょっと高級なんですが、とにかく味がいいんです」
ヒマ「4,000円を超すロゼって、それこそ自分ではなかなか買わないです」
店長「ですよね。高級なロゼは飲む機会が意外とない。だからこそ何を選んでいいかもわからない。そして、選ぶべきはこれです。ブレッド&バター自体、ワインショップでの指名買い需要NO.1の大人気ワインですしね」
ヒマ「いやー、これもめっちゃくちゃおいしいですね。ロゼなのになんというか、味が濃いです。目をつぶって飲んだら赤ワインだと言いそう」
店長「ロゼと合わせる料理は生ハムやスモークサーモンという印象ですが、この味わいならばメインの肉料理とも合わせられますよね。あと、ピザも良さそう」
ヒマ「ピザはピザでも『高麗カルビ』とか合いそうです(笑)」
店長「照り焼きチキンピザなんか最高でしょうね! ぜひ、バレンタインのピザパーティのお供に選んでもらいたいです」
バレンタインデーに贈りたいワイン4:ボタニカ ビッグフラワー メルロー 2021
ヒマ「続いては南アフリカのワインですね。南アフリカというと『アフリカでワイン!?』と思われがちですが、ワイン界隈ではコスパに優れた産地として知られています」
店長「これは、南アフリカに詳しい専門家が100点満点中95点をつけたワイン。それだけ高評価にも関わらず、3,245円とちょっとしたプレゼントにちょうどいい価格なのも魅力。しかもラベルが花ですからね」
ヒマ「花の代わりにワインを贈ろう、ってやつですね」
店長「男性の場合、せっかくお花をいただいても枯らせてしまいますしね(笑)。私だけかもしれませんが」
ヒマ「家にワイングラスはあっても花瓶はなかったりしますから(笑)」
店長「ですので、食卓に花を飾る代わりにこのワインを置いて、会話に花を咲かせていただきたいんです」
ヒマ「そして味がいい。抜群に本格的ですね。渋みや酸味がしっかりとあるから、ワインを飲み慣れている人のほうが喜びそうな味です」
店長「花の茎のような少し青っぽい香りもあって、まさしに花を味わっているような印象を受けると思います。合わせていただきたいのはスパイシーな料理。カツオのタタキに食べるラー油をかけたものなどが合いそうです」
バレンタインデーに贈りたいワイン5:マアジ カンポフィオリンIGT 2020
店長「続いてはイタリアワイン『マアジ カンポフィオリンIGT 2020』です。イタリアには『アマローネ』は陰干ししたブドウで造る高級ワインがありますが、これは陰干しブドウを30%使用した、いわば“ベビーアマローネ”。その分値段も2,970円とお手頃です」
ヒマ「飲んでみると、ちょっとコーヒーのようなニュアンスを感じますね。甘みがありつつも、焙煎香のようなものや、木の深みを感じます」
店長「そう、そのようなニュアンスがあることもあって、これはズバリ、チョコレートと合わせてもらいたいんです」
ヒマ「おお、カツオのタタキから一気にバレンタインっぽくなりましたね(笑)」
店長「甘いミルクチョコだとさすがに負けてしまいますが、カカオの含有量が70%以上のチョコレートであれば、しっかりマリアージュしてくれると思います」
ヒマ「価格も手頃だし、これはいい選択肢ですね」
店長「最初に申し上げたように、ワインはあくまで脇役でいい。メインのプレゼントなり、チョコレートなりの箱があって、その脇に置いておくのにふさわしい。そんなワインです」
ヒマ「1万円のワインをプレゼントしても、『今すぐ飲もう』とはなりにくいですもんね(笑)」
店長「最高のワインは誕生日やクリスマスに。食事やチョコレートと一緒に楽しめて会話が弾む。そんなワインをバレンタインには贈ろう、ということですね」
バレンタインデーに贈りたいワイン6:ル・マルキ・ド・カロン・セギュール2020
ヒマ「続いては、出ましたね。定番中の定番、ハートのラベルのボルドー格付け3級『カロン・セギュール』」
店長「はい、これはそのセカンドラベルのル・マルキ・ド・カロン・セギュール2020というワインで、価格は7,920円」
ヒマ「これはもう、世界一有名な愛を伝えるワインですよね」
店長「ワインの教科書があったら、10ページ目までには登場するワインがカロン・セギュールですが、ファーストラベルは2万円、3万円してしまうのでセカンドにしてみました」
ヒマ「飲んでびっくり、開けたてからおいしいですね! 2020と若めのヴィンテージですが、スミレの花や鉛筆のようなボルドーワインらしい香りに、重厚な渋みと酸味に負けない果実味があって、香りも味も素晴らしいです」
店長「セカンドといっても、使っている新樽の比率が違ったり、熟成の長さがわずかに違う程度。品種の構成はやや異なりますが、それ以外はファーストと遜色ないんです。それでいて若い状態からおいしく飲めて、価格も手が届きやすいですよね」
ヒマ「セカンドならではのメリットがあるってことですね。これは合わせるならばどんな料理でしょう?」
店長「やはりお肉ですね。まずはなんでもいいので、肉を焼きましょう。そこに合わせるとっておきのソースをお教えします」
ヒマ「おっ、いいですね。期待」
店長「まず、料理用の安いワインをフライパンに入れて沸騰させ、アルコール分を飛ばします。そこにバターをたっぷり。さらに、ティースプーン1杯分のハチミツを加えます。お好みで塩胡椒で味を整えて完成。これをお肉にかけて、このワインを合わせてください。そして、もしあったらミカンの皮を少しだけ削って入れてあげると最高」
ヒマ「『柑橘の要素を加えるとワインに合う理論』ですね。これなら簡単そうだし、やってみたいです」
バレンタインデーに贈りたいワイン7:アプトホフ ムスカリス ベーレンアウスレーゼ2018
ヒマ「さて、最後は甘口ワインですね」
店長「はい。ここまでの6本は悩んだ末に選んだんですが、正直のこのワインに関しては『最近飲んで、すごくおいしかったから』っていう理由で選んでしまいました(笑)」
ヒマ「いやでも、バレンタインにドイツの甘口ワインはいい選択肢ですよね」
店長「そしてこれ、実はPIWI(ピーヴィー)品種なんですよ」
ヒマ「急にマニアックになった! PIWI品種とは、耐病性を高めた交配品種のことですね」
店長「このワインは「『ソラリス』という品種と『ムスカテラー』という品種を交配させて生まれた『ムスカリス』という品種を使用しているそうです」
ヒマ「うーん、初耳の品種ですが……いや驚いた、飲んでみるとめちゃくちゃおいしいですねこれは! まず突き抜けるような甘みがありつつ、フレッシュな酸味もあるから甘ったるくはなく、アクセント程度の苦味もあるから複雑味もある。めちゃくちゃ良くできた甘口ワインです」
店長「しっかりとグレープフルーツや金柑といった柑橘のニュアンスが感じられるのがいい。500mlで7,700円とそれなりにお値段はしますが、甘口ワインは開栓後も長持ちしますから、毎晩ちびちび飲むのがまた楽しい」
ヒマ「PIWI品種は病気に強い分栽培コストが下げられる可能性があると思いますが、それもあっても高コスパなのかもしれませんね。10,000円以上するワインに引けを取らないと思います」
店長「バレンタインデーの食後のデザート代わりに、あるいは食後のチーズやデザートと一緒に楽しんでもらいたいですね」
バレンタインデーに贈りたいワインまとめ
ヒマ「というわけで7本のワインを見てきましたが、どれも個性的なワインでした」
店長「デイリーワインとはまた違う、ちょっと特別なワイン。主役にはならないけど、楽しい時間を過ごすための名脇役にはなってくれる。そんなワインたちだと思うんです」
ヒマ「どれもわかりやすい味わいなので、普段ワインを飲まない人にも良さそうです」
店長「成人を迎えたお子さんに、親御さんからチョコの代わりにワインを贈るなんていうのも提案したいですね」
ヒマ「恋人に贈るも良し、友人やご家族、あるいは自分に贈るのにもいい。ワインと一緒に、ぜひバレンタインデーを楽しんでもらいたいですね!」
ワインマーケット パーティ
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F
営業時間/11:00〜20:00
TEL/03-5424-2580
winemart.jp
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