【マカオ旅・後編】懐しさが今の気分! ポルトガル時代からの異国情緒ステイ | Numero TOKYO
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【マカオ旅・後編】懐しさが今の気分! ポルトガル時代からの異国情緒ステイ

西洋と東洋が融合した極上体験が叶うマカオ。前編のヴェルサーチェ、カール・ラガーフェルドによるラグジュアリーホテルの紹介に続き、後編ではマカオを代表する「リスボア」ブランドのホテルと、ポルトガル統治時代の面影を残すエキゾティックな街歩きをレポート。

マカオとポルトガルの親密な関係 日本との関わりも

香港の対岸に位置するマカオ。その歴史を簡単に紐解くと、中国が明王朝だった時代にポルトガルが南蛮貿易の拠点として渡来。1550年代より実効支配が始まり、1887年から植民地に。銀貿易やキリスト教宣教活動など、マカオは戦国時代から江戸時代初期にかけての日本とも深い関わりを持つ。450年近くポルトガルが実質統治していたが、1999年に返還され、中国の特別行政区となって25年が経つ。

マカオを代表する「リスボア」ブランドのホテル

第二次世界大戦後の近代マカオの繁栄に貢献した実業家、スタンレー・ホーが創設し、60年以上の歴史を誇るのがSJMリゾーツ。現在はマカオを代表する「リスボア」ブランドほか、多くのラグジュアリーホテルを運営。ちなみにリスボアとはリスボンのポルトガル語読み。前編の両ホテルに隣接し、2021年にコタイ地区にオープンしたのが「グランド リスボア パレス マカオ」だ。

グランド リスボア パレス 外観
グランド リスボア パレス 外観

スケールの大きい宮殿を思わせるゴージャスな外観だが、マカオの歴史を洗練されたモダンなインテリアで表現。海に囲まれた土地らしい、ブルーを基調にした爽やかなムード。ポルトガルの装飾タイル、アズレージョやマカオの文化を再解釈したディテールがアクセントに。

「グランド リスボア パレス マカオ」で美食を楽しむ

ロビーフロアにはマカオの歴史を表現したアートを展示。ロシア生まれで、現在はマカオを拠点に活動するコンスタンチン・ベスメルトリーや、ポルトガル人の血を引く「マカエンセ」のマルロス・マレイロスの作品など、東洋と西洋の文化をミックスしたこの地ならでは作品が出迎える。

Konstantin Bessmertny(コンスタンチン・ベスメルトリー)《W.meets E.》は高さ5m近くの作品。対になる作品も。
Konstantin Bessmertny(コンスタンチン・ベスメルトリー)《W.meets E.》は高さ5m近くの作品。対になる作品も。

レストランでは本場ならではの極上の広東料理を。広東料理の巨匠の系譜であるミシュランスター、ライ・ヤウ・ティム氏に師事したシェフ、ケン・チェン氏による「パレス ガーデン」がメインダイニング。ファーム トゥ テーブルの先駆である師同様に、新鮮な素材を吟味。伝統と革新を融合したモダンな広東料理が味わえる。ランチに趣向を凝らした飲茶も提供。なかでも蟹肉と干し貝柱入りの大きな餃子入り最高級中華スープは、繊細かつ複雑な風味が口いっぱいに広がる絶品!

「パレス ガーデン」はシノワズリを現代的にオマージュした内装も一見の価値がある。日本の三井住友銀行やフランフランのロゴデザインを手掛けている、世界的なアーティストのアラン・チャンによるデザイン。中央の35mもの菊の壁画は伝統的な蘇州刺繍で立体的に表現されており、優雅さを醸し出す。

朝食は「ザ グランド ビッフェ」で。チャーシューなどの焼物や点心をはじめとする中国料理でもちろん、アジアや欧風、またヘルシーなメニューなど豊富なバリエーションをラインナップ。香港やマカオのミルクティーやペストリーも充実している。

ザ グランド ビッフェ
ザ グランド ビッフェ

「マカオ歴史市街地区」でポルトガルを感じて

マカオの観光はタイパ島の歴史ある地域の街歩きを。スタートは「リスボア」ブランドのホテル「グランド リスボア マカオ」から。蓮をイメージしたフォルムが独創的かつ煌びやかな建築が有名で、ランドマーク的存在。最上階のペントハウスには15年連続でミシュラン三ツ星獲得の、フランスの美食を代表する「ロブション オー ドーム」を展開している。

30の歴史的建造物と広場が「マカオ歴史市街地区」として世界遺産に登録されている。街を彩る、通りの標識は中国語とポルトガル語が併記され、フォトジェニックなアズレージョの壁なども。

旧市街にあるアズレージョの装飾
旧市街にあるアズレージョの装飾

「グランド リスボア マカオ」から徒歩5分ほどにある中心的存在が「セナド広場」。本場リスボンのロシオ広場さながらの、モザイク状の石畳の波模様が印象的。中央の噴水には大航海時代を象徴する地球儀のモチーフ、周囲にはヨーロッパ式の建築が並ぶ。

セドナ広場
セドナ広場

歴史を色濃く残すのは「聖ポール天主堂跡」。1640年に建設され、1835年に火災により崩壊し、現在のファサードだけが残された。フランシスコ・ザビエルで知られるイエズス会によって創建。キリスト教弾圧により長崎から逃れてきた日本人キリシタンも建設に関わり、現在も地下納骨堂にその名が刻まれている。ほかにも「カーザ庭園」「盧家屋敷」など、財閥が残したエクレクティックな邸宅など見どころも多い。

食やスイーツにもポルトガルの影響が!

ポルトガルの影響を色濃く残す食文化も必見。その味わいを継承するレストランも多く、そのひとつ「アルベルゲ 1601」では本格的なポルトガルの伝統料理を提供。アート&カルチャーシーンの拠点、ラザロ地区にある約200年前のポルトガル風の歴史的建造物「アルベルゲ SCM」の一角に位置する。バカリャウ(干し鱈)のコロッケ、タコのサラダ、トマトリゾットに、ヴィーニョヴェルデという微発泡のグリーンワインが抜群のマリアージュ。

マカオスイーツも素朴な味わいでおすすめ。多くの旅行者が訪れるのはポルトガル由来のエッグタルトの「マーガレット カフェ エ ナタ(瑪嘉烈蛋撻店)」、マカオ名物のミルクプリンの「イーション ミルク カンパニー(義順牛奶公司)」。

そしてお土産にもぴったりなのは「パステラリア チュウイ へヨン(最香餅家)」のアーモンドクッキー(杏仁餅)。1957年創業で今も変わらぬ手仕事で作られている様子も、店先で見ることができる。

またスイーツのお供に、中国茶の老舗「ヴァ ラン コー(華聯茶葉公司)」へも。マカオの茶王が営む店では好みを伝え、香りを確かめなから、白茶からプーアル茶、ジャスミン茶などを量り売りで購入可能。

ヴァ ラン コーの茶缶
ヴァ ラン コーの茶缶

ポルトガルでも人気の、ポップなパッケージの缶詰も日持ちもするのでお土産向き。セドナ広場にも近いカラフルで可愛い「ポルトス(老人牌)」は、ポルトガル・ポルト北部の1912年創業のメーカーによるブランドの店。ツナ、イワシなどの魚を、オリーブオイルやベジタブルオイル、チリペッパーオイルなどで漬けた缶詰が揃う。

「マカオ歴史市街地区」は比較的コンパクトなので、半日もあれば徒歩で主要なところは見て回れるはず。街歩きはマカオ政府観光局のウェブサイトも参考に。

世界遺産、美食、スイーツと想像以上にポルトガル時代のカルチャーを体感でき、ポルトガルとマカオ、そして日本との関係など歴史の学び直しもできる。大人の旅の醍醐味は、訪れた土地をより深く知る喜び。懐かしさを残しながら、ラグジュアリーに発展するマカオを、ぜひ次のデスティネーションに!

グランド リスボア パレス マカオ
Grand Lisboa Palace Macau

Edit & Text:Hiroko Koizumi

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